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戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
織田家仕官編

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逃走

山中の隠された城から、俺たちは必死に逃げていた。


「こっちだ!」


俺が先頭を走り、その後ろを五兵衛、なつき、熊が続く。少し離れたところを、くろが走っていた。


「はぁ……はぁ……」


山道を走り続け、ようやく俺たちは足を止めた。


「ここまで来れば、大丈夫か?」


俺が振り返る。追ってくる人間の姿はない。


「どうだ、くろ?」


くろが耳を動かした。


「モォ……」


なつきがくろの様子を見る。


「人の気配はないって」


「そうか」


俺はようやく息を吐いた。


「助かった……」


五兵衛が木の幹にもたれかかる。


「正男様……俺は、もう走れません……」


「五兵衛、まだ若いだろ」


「若さと体力は別物です」


「……まあ、そうだな」


俺たちはその場で少し休むことにした。熊も地面に座り込み、大きな口を開けて息をしている。


「お前も疲れたよな」


俺が熊に近づくと、熊はゆっくりと顔を近づけてきた。


ぺろっ。


「うわっ!」


熊が俺の手を舐めた。


「ははっ。元気そうだな」


熊は嬉しそうに俺の横に座った。


なつきが笑う。


「この熊、正男にも懐いたね」


「最初は警戒してたんだけどな」


「助けてもらったからじゃない?」


「そうかもしれないな」


俺は熊の頭を軽く撫でた。熊は気持ちよさそうに目を細める。すると、俺の肩に頭を乗せてきた。


「重い! 重い!」


「ははは。甘えてるんだよ」


なつきは俺が慌てる様子を見て面白がっている。


ふぅー。


熊から解放された俺は、山の奥を見た。


「それにしても……さっきの城は、一体何なんだ?」


五兵衛の表情が険しくなった。


「普通の山城ではありませんでした」


「俺もそう思う」


大量の武器と鍛冶場。武器を保管していた巨大な建築物。そして、山の中に築かれた巨大な城。あそこには、明らかに普通ではない規模の人間が集まっている。


「剣が百本」


俺が呟く。


「槍が二百本。弓も大量にありました」


五兵衛が続ける。


「それに、熊を使って武器を運んでた」


なつきが言った。


「そうだ。あれだけの武器を、一体どこへ運んでいる?」


「城の中ではないでしょうか」


五兵衛が答える。


「いや……」


俺は首を横に振った。


「男たちは言っていた。『例の場所へ運ぶ』と」


「つまり、あの城は終着点じゃない可能性がある」


五兵衛が目を見開いた。


「では……あの城から、さらに武器が運ばれている?」


「そう考えるのが自然だ」


俺は山の奥を見た。


「あの城は、武器を集める場所なのかもしれない」


「それなら、誰が何のために……」


あの山には、俺たちがまだ知らない何かがある。


「……やっぱり、俺たちだけで調べるのは危険だな」


五兵衛が頷いた。


「一度、戻ったほうがいいでしょう」


「俺もそう思う。このことを報告する」


俺は山を振り返った。


あれだけの武器と人間。そして、山中に築かれた巨大な城。俺たちだけの問題ではない。下手をすれば、織田家そのものに関わる話だ。


「ただ……この熊をどうするかだな」


俺が熊を見ると、熊は俺を見つめ、それからなつきの隣へぴったりと寄り添った。


「熊は、あたしたちと一緒に行きたいって」


「やっぱりそうか」


「うん」


なつきが熊の頭を撫でる。熊は気持ちよさそうに目を閉じた。


五兵衛が熊を見ると、熊も五兵衛をじっと見つめた。


「……なんでしょう」


熊が一歩近づく。


「え?」


さらに一歩。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


熊が五兵衛の肩に前足を乗せた。


「重い! 重いです!」


なつきが笑い出す。


「熊、五兵衛のこと気に入ったみたい」


「僕は全然嬉しくありません!」


俺も思わず笑ってしまった。


「五兵衛、仲間が増えてよかったな」


「正男様! 他人事だと思って!」


山中に、俺たちの笑い声が響いた。


◇


俺たちは再び山を下り始めて、しばらく経った。


険しい山道を進みながら、俺たちは慎重に足を進めていた。


「この道で大丈夫ですか?」


五兵衛が周囲を見回す。


「ああ。来た道をそのまま戻るより、少し離れた道を使ったほうがいい」


「なるほど。追手が来る可能性がありますからね」


「そういうことだ」


俺たちは、できるだけ人目につかない道を選んでいた。


先頭を歩くのはなつき。その隣には熊がいる。熊はなつきのすぐそばを歩き、時々鼻を近づけていた。


「熊、疲れてない?」


なつきが熊の顔を覗き込むと、熊は嬉しそうに鼻を鳴らした。


「元気みたいだね。ならよかった」


俺は後ろから二人を眺めていた。熊はなつきにすっかり懐いている。まあ、助けてもらったのだから当然かもしれない。


そんなことを考えていると、後ろからくろの声が聞こえた。


「モォ……」


俺が振り返る。


「どうした、くろ?」


くろが俺を見て、それからなつきと熊を見る。そして、もう一度俺を見た。


「……?」


なんだ? なにが言いたいんだ?


くろは少し不満そうな顔をしている。なつきも振り返った。


「どうしたの?」


「モォ……」


くろが低い声で鳴く。


なつきが首を傾げたが、すぐに何かに気づいたようだった。


「……あ」


「どうした?」


「くろ、ちょっと不満そう」


「不満?」


「うん」


なつきが熊を見る。熊はなつきの隣にぴったりとくっついていた。


「もしかして……」


なつきが指を指しながら笑った。


「くろ、熊にやきもち焼いてる!」


「え?」


くろは熊を見る。熊もくろを見る。しばらくの間、二頭が無言で見つめ合った。


俺は二頭の間に入った。


「おいおい、喧嘩するなよ」


熊は俺を見ると大人しくなった。ところが、くろはまだ熊を見ている。


「くろ」


俺がくろの頭を撫でると、くろは少しだけ顔を俺に寄せてきた。


「よしよし」


「モォ……」


「……やっぱり、やきもちか?」


くろが俺の肩に頭を押しつけてきた。


「重い! 重いって」


俺は笑いながら、くろの首を撫でる。なつきが楽しそうに笑った。


「くろも可愛がられたいと思ってるんじゃない?」


「そんなこと言われてもな……」


俺は熊を見る。熊はなつきの隣で大人しくしていた。


「じゃあ、くろも熊と仲良くすればいいだろ」


「モォ?」


くろが熊を見る。俺は熊の頭を撫でた。


「ほら。こいつも仲間だ」


熊がくろに近づくと、くろは少し警戒したように熊を見た。熊が鼻を近づける。


くんくん。


くろも鼻を近づける。


くんくん。


二頭は互いの匂いを確認した。


「どうだ?」


俺が見守っていると、熊がくろの頭を舐めた。


「おお」


くろが一瞬固まった。そして、少し嬉しそうに鳴いた。


「モォ……」


「仲良くなったみたい」


なつきが笑う。


「よかった」


俺も安心した。これで少しは、くろのやきもちも収まっただろう。


ところが、次の瞬間、くろがなつきの横にやってきた。そして、なつきと熊の間に体を入れる。


「……くろ?」


くろはなつきに体を寄せた。


「お前、まだやきもち焼いてるのか?」


「モォ」


「ははは」


思わず笑ってしまう。五兵衛も呆れたような顔をしていた。


「くろも大変ですね」


「何が?」


「熊が突然、仲間になったんですから」


「まあ、そうだな」


五兵衛が熊を見る。


「しかし、熊もかなり大きいです」


「くろも負けてないけどな」


「どちらも町に連れていったら大騒ぎでしょうね」


「……それは考えないようにしていた」


俺は頭を抱えた。山を下りる前に、もう一つ問題が増えてしまった。


それでも、仲間が増えたこと自体は悪いことではない。俺たちはそのまま山道を進んだ。


しばらくすると、くろが突然立ち止まった。


「どうした?」


くろは山の斜面を見つめている。


「モォ……」


なつきがくろを見た。


「人の気配?」


くろが小さく頷いた。俺たちは一斉に足を止めた。


「近いのか?」


なつきがくろに尋ねる。くろはしばらく斜面を見つめていたが、やがて俺のほうを見た。


「人がいることは分かる。でも、どこにいるのかまでは分からないみたい」


「そうか」


俺は周囲を見回した。山の中は静まり返っている。鳥の鳴き声さえ聞こえない。


「念のため、隠れるぞ」


俺たちは近くの木陰に身を隠した。熊も大人しく伏せ、くろも音を立てないように身を低くした。


「くろ、鳴かなくていいからな。敵に気づかれるかもしれない」


俺が小声で言うと、くろは小さく頷いた。


しばらく待っていると、斜面の向こうから枝を踏む音が聞こえた。


ガサッ。


「……誰かいる」


五兵衛が小声で呟く。俺は息を潜めた。


やがて、一人の男が姿を現した。男は周囲を見回している。


「探している」


俺は小声で呟いた。男は俺たちが隠れている場所には気づかず、そのまま山道を進んでいった。


姿が見えなくなったところで、五兵衛が息を吐いた。


「危なかったですね」


「ああ」


俺はくろを見る。


「助かったな」


くろは俺を見ると、嬉しそうに鳴いた。


「モォ」


「よくやった」


俺はくろの頭を撫でる。その隣では、熊も俺を見ていた。


「……お前たち、俺を取り合うなよ?」


二頭が同時に俺を見る。


「モォ」


「グル……」


「……仲良くしてくれれば、それでいい」


なつきが吹き出した。


「正男、大変だね」


「本当にな」


俺たちは再び山道を進み始めた。まだ敵のすぐ近くにいる。俺は気を引き締めた。


「急ごう」


俺たちは山を下りていった。

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