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戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
織田家仕官編

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山中に築かれた城

俺たちは、足跡を辿って山道を急いでいた。先頭を歩くのは、くろ。その少し後ろを、なつきと熊が並んで歩いている。五兵衛と俺は、その後ろだ。熊は俺たちについてきている。しかも、なつきのすぐ隣を歩いている。


「なんだか、すっかり仲良しだな」


俺が言うと、なつきが嬉しそうに笑った。


「うん」


なつきが熊の頭を撫でる。熊は嫌がる様子もなく、目を細めている。


「ほら、正男も撫でてって」


「本当か?」


「うん」


俺が熊の頭に手を伸ばすと、熊が俺の手に鼻を近づけた。


「……」


フンフン。


俺の手の匂いを嗅いでいる。そして、熊は俺の手を舐めた。


「うわっ」


思わず手を引く。なつきが笑った。


「気に入られたね」


「そうなのか?」


「うん」


「熊に舐められるとは思わなかったな。う~ん、貴重な体験をしてしまった」


五兵衛が苦笑する。


「正男様も、ずいぶん好かれたものですね」


「まあ、敵じゃないと分かってくれたならいいか」


熊は俺たちの会話を気にすることなく歩いている。だが、しばらくすると、熊が立ち止まった。


「どうした?」


熊は地面を見ている。そこには、小さな木の実が落ちていた。熊が前脚で木の実を拾う。そして、なつきの前に置いた。


「……」


なつきが熊を見る。


「くれるの?」


熊が小さく鳴く。


「グゥ」


なつきが嬉しそうに笑った。


「ありがとう」


「何をしているんだ?」


「この子、私にくれた!」


「木の実を?」


「うん」


なつきは嬉しそうに木の実を受け取った。


「よしよし、いい子だね」


熊は満足そうに鼻を鳴らした。俺は思わず笑ってしまった。ついさっきまで、檻に閉じ込められていた熊とは思えない。自由になったことが嬉しいのだろう。


「名前も決めた方がいいかもしれないな」


俺が言う。


「名前?」


なつきが熊を見る。


「うん。ずっと『この子』じゃ呼びにくいだろ」


なつきは少し考えた。


「考えておく」


「そうだな」


俺たちは再び歩き始めた。この穏やかな時間も長くは続かなかった。


山道は次第に険しくなっていく。木々の間を抜け、岩場を越える。そして――。


「……止まれ」


俺は手を上げた。全員が立ち止まる。目の前には、大きな岩壁があった。ただの岩壁に見える。だが、何かがおかしい。


「正男様?」


俺は地面を見る。足跡は、ここで途切れている。


「道がない」


五兵衛が首を傾げる。


「しかし、足跡はここまで続いています」


「ああ」


俺は岩壁に近づき、手を触れる。ゴツゴツした岩。だが、その一部だけ妙に平らだった。


「……これ」


俺は周囲の岩を調べる。


「扉かもしれない」


五兵衛が驚く。


「こんな場所に扉が?」


「ああ」


俺は平らな部分を押してみた。動かない。横を見ると、小さな鉄の輪が埋め込まれていた。


「仕掛けがあるな」


五兵衛が近づく。


「これは……」


五兵衛が鉄の輪を調べる。


「扉を開けるためのものに違いありません」


「やっぱりか」


俺は岩壁の奥を見る。この先に、何かがある。しかも、かなり大きな何かが。


「五兵衛」


「はい」


「開けられるか?」


五兵衛は鉄の輪を調べた。


「少し時間をいただければ」


「頼む」


五兵衛が作業を始める。俺たちは周囲を警戒する。その間、熊はなつきの隣に座り込んだ。なつきが熊の頭を撫でると、熊は気持ちよさそうに目を閉じた。


「……なんだか眠そうだな」


「疲れてるのかも」


「逃げてきたばかりだからな」


なつきが熊の耳を優しく撫でる。すると熊が、なつきの肩に頭を乗せた。なつきは笑っている。


「この子、甘えてる」


「甘えるには大きすぎるだろ」


「でも、かわいいよ」


熊は満足そうに目を閉じている。五兵衛まで苦笑していた。


「ずいぶん懐かれましたね」


「うん」


なつきは嬉しそうだった。


そのとき――。


カチッ。


小さな音がした。


「開きます」


五兵衛が鉄の輪を引く。


ゴゴゴゴゴ……。


岩壁がゆっくりと動いた。その奥から、冷たい風が吹いてくる。


「……これは」


五兵衛が息を呑む。岩壁の向こうには、山の中へ続く道があった。しかも、その道は人の手によって作られている。石が敷き詰められ、両側には松明を置く台まである。


「隠し道……」


俺は奥を見る。


「これだけのものを作るには、かなりの人数が必要だ」


五兵衛が頷く。


「武器を集めていた連中が、この先に何かを作っているのでしょう」


「ああ」


俺は隠し道の奥を見つめた。ここから先に、何が待っているのか。俺たちは慎重に足を踏み入れた。


道は山の中を緩やかに下っている。壁には一定の間隔で松明が置かれていた。


「誰かが、今も使っている道ですね」


五兵衛が小声で言う。


「ああ」


足元を見る。土は踏み固められている。しかも、まだ新しい足跡が残っていた。俺は足跡を確認しながら進む。


すると、前方から声が聞こえてきた。


「次の荷はいつ届く?」


「明日の朝には届く予定です」


俺たちは足を止めた。五兵衛が俺を見る。俺は人差し指を口元に当てた。全員が黙る。声のする方向へ、ゆっくり近づく。


岩陰から覗くと、数人の男たちが話していた。


「今回の武器は?」


「刀が百本、槍が二百本です」


「弓は?」


「それも予定どおり届きます」


俺は思わず眉をひそめた。刀百本、槍二百本、さらに弓まで。これだけの武器を、一体何に使うつもりなのか。


「量が多すぎる……」


五兵衛が小声で呟く。


「ああ」


俺は男たちの会話に耳を澄ませる。


「届いた武器は、すべて城へ運べ」


「承知しました」


「それから、例の場所への搬入も忘れるな」


「はい」


また、「例の場所」という言葉が出てきた。ここは、その中継地点なのかもしれない。


「正男様」


五兵衛が小声で呼ぶ。


「どうした?」


五兵衛が前方を指差した。


「見てください」


男たちの向こうに、大きな空間が広がっていた。俺は岩陰から、さらに奥を見る。


「……なんだ、あれ」


そこには巨大な石垣が築かれていた。石垣の上には、いくつもの建物が並んでいる。まるで――。


「城……」


俺は思わず呟いた。


山の中に、城がある。しかも、ただの城ではない。城の周囲には兵士が配置され、門には見張りまで立っている。山そのものを利用して築かれた、巨大な拠点だった。


「こんなものを、いつの間に……」


五兵衛も驚いている。


「これだけの規模なら、かなりの人間が関わっています」


「ああ」


俺は城を見つめた。ここまで来て、ようやく分かった。俺たちが追っていた連中は、ただの山賊ではない。武器を集め、人を集め、山の中に拠点まで築いている。何か大きな目的がある。


俺は城を見つめる。


「もう少し様子を見る」


俺がそう言った瞬間――。


カーン……。


山の中に鐘の音が響いた。


「……!」


全員が身を固くする。


カーン……。


もう一度、鐘が鳴る。城の門が動き始めた。


ギギギギ……。


「誰か出てきます」


五兵衛が刀に手をかける。門の向こうから、武装した男たちが次々と姿を現した。


「多いな……」


俺もこん棒を握りしめた。男たちは周囲を警戒しながら、こちらへ向かってくる。


「まずい」


このままでは見つかる。


「戻るぞ」


俺が小声で言った、そのとき、背後から枝を踏む音が聞こえた。


パキッ。


「……!」


俺たちは一斉に振り返る。そこには、一人の男が立っていた。


「お前たち……何者だ?」


しまった。完全に見つかった。男が腰の刀に手をかける。


「侵入者だ! 出会え! 出会えー!」


大声が山中に響いた。


「走れ!」


俺たちは一斉に走り出した。背後から、複数の足音が迫ってくる。


「正男様、こっちです!」


五兵衛が隠し道を指差す。


「分かった!」


俺たちは来た道を引き返す。だが、敵の数はどんどん増えていく。


「このまま逃げ切れるか?」


俺は後ろを見る。敵が迫っている。


そのとき――。


「待って!」


なつきが叫んだ。


「どうした?」


「この子が、何か考えてる!」


なつきの隣にいた熊が、こちらを見ていた。熊は敵の方へ体を向ける。


「グゥ……」


「まさか……」


俺は熊を見る。なつきが熊の言葉を聞き、そして俺を見る。


「この子、あいつらを止めるって」


「止める?」


熊が一歩前へ出た。


「待て!」


俺が叫ぶ。だが、熊は止まらない。その巨体が、敵の進行方向へ向かっていく。


敵の男たちが足を止めた。


「なんだ、あの熊は!」


熊が低く唸る。


「グルルル……」


男たちの顔が青ざめる。


「来るぞ!」


熊が地面を蹴った。


ドドドドッ!


「うわあっ!」


敵が慌てて後退する。


「今だ!」


俺は叫んだ。


「階段まで走るぞ!」


俺たちは一気に隠し道へ駆け込んだ。なつきが振り返る。


「熊!」


熊が敵の前に立ちはだかっている。


「大丈夫!」


なつきが叫ぶ。


「すぐ戻るから!」


熊がこちらを見る。そして、小さく鼻を鳴らした。


「グゥ」


俺たちは階段を駆け上がる。ようやく岩壁の入口が見えてきた。


「あと少し!」


五兵衛が叫ぶ。全員が外へ飛び出した。


俺はすぐに振り返る。


「熊は?」


「来る!」


なつきが叫んだ。しばらくすると、山道の向こうから熊が走ってきた。


「グゥゥ!」


「よかった!」


なつきが熊に駆け寄る。熊はなつきの横に戻ってきた。


「ありがとう」


なつきが熊の頭を撫でる。熊は嬉しそうに目を細めた。


俺は山の奥を見る。あれだけの兵士を集めている理由が分からない。山の奥に築かれた城。追手から逃れるため、俺たちは再び動き始めた。

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