織田信長からの呼び出し
伊藤家の商家を訪れてから、数日が経った。
正男は与四吉の家で、いつものように仕事の整理をしていた。
すると――。
「正男さん!」
玄関から、与四吉の慌てた声が聞こえた。
外へ出ると、一人の男が立っていた。
見覚えのない男だった。
男は正男を見ると、深く頭を下げた。
「鈴木正男様でございますか?」
「そうですが……」
「私は織田家に仕える者です」
その言葉を聞いた瞬間、正男の表情が変わった。
「織田家?」
「はい」
男は懐から書状を取り出した。
「丹羽様より、正男様にお渡しするよう申しつかっております」
正男は書状を受け取った。
封を開ける。
そこには、短い言葉が書かれていた。
――織田信長様がお呼びです。
「……織田信長」
ゲームの中では何度も見た名前だ。
だが、ここはゲームの世界ではない。
本物の『織田信長』だ。
正男はゆっくりと書状を閉じた。
「いつまでに行けば?」
「本日中に」
「今日かよ……」
突然すぎる。
だが、断る理由もない。
むしろ――。
正男は少しだけ笑った。
「分かりました」
こうして正男は、織田信長のもとへ向かうことになった。
正男は織田家の那古野城の前にいた。
城の入口では、門番が立っている。
「テレビや小説に出てくる織田信長って、冷酷で怖いイメージがあるんだよなあ」
「どうしよう、帰りたくなってきた」
はぁ~。
「うっしゃ、行くか」
「鈴木正男です。織田様から呼ばれましたので参上つかまつりました」
「ああ、聞いている。ついてまいれ」
案内された部屋に入ると、一人の若い男が座っていた。
部屋に入った瞬間、正男は足を止めた。
そこにいたのは、二十歳ほどの若い男だった。
それなのに――。
「……なんだ、この威圧感は」
正男は思わず息を呑んだ。
派手な格好をしているわけではない。
大声を出しているわけでもない。
ただ、静かに座っている。
それだけだった。
しかし、その視線だけは鋭かった。
こちらを値踏みするように、じっと見ている。
まるで、自分の中身まで見透かされているような感覚があった。
正男は思わず、その場で平伏した。
「鈴木正男か」
低く、落ち着いた声だった。
正男は緊張した声で答える。
「は、はい。お初にお目にかかります。鈴木正男でございます」
「面を上げよ」
正男が顔を上げる。
再び目が合った。
やはり、怖い。
正男は小声で言った。
「この人……普通の二十歳じゃないよ」
「うぅ、帰りたい」
ゲームの中で何度も見てきた織田信長。
その名前を知っているからこそ、余計にそう感じるのかもしれない。
だが、目の前にいるのはゲームのキャラクターではない。
自分と同じ、この時代を生きている一人の人間だ。
それでも正男には、はっきり分かった。
この若者は――。
将来、ただ者では終わらない。
そんな予感を抱かせる目をしていた。
「五郎左(丹羽長秀)から聞いた」
信長は正男をじっと見る。
「商家の商品管理を改善したそうだな」
「はい」
「荷車も改善したと聞いている」
「はい」
「農具もか」
「……はい」
正男は少し驚いた。
思っていた以上に、情報が伝わっている。
信長は続けた。
「なぜ、そのようなことができる?」
正男は少し考えた。
そして答える。
「無駄を探したのです」
「無駄?」
「はい」
正男は続ける。
「人が何度も同じ場所を往復している」
「道具を探す時間が長い」
「作業する人によって、やり方が違う」
「そういうところを見ると、もっと楽に、もっと早くできる方法があるのではないかと考えます」
信長は黙って聞いていた。
「つまり、お前は仕事そのものを見るのではなく、その仕事の流れを見るということか」
「そういうことだと思います」
しばらく沈黙が続いた。
やがて信長が口を開いた。
「面白い」
短い言葉だった。
だが、正男には十分だった。
「ならば、お前に仕事を与える」
「織田家の家臣として働け」
「ははぁー」
正男は平伏した。
まさか、いきなり家臣として召し抱えられるとは思っていなかった。
「お前には五十石を与える。屋敷も用意する。小姓を一人つける」
正男は思わず目を瞬いた。
さらに信長は続ける。
「下働きも二人つけよう」
「そこまで……」
「仕事をするなら、仕事場が必要だ」
信長は当然のことのように言った。
「お前が改善したいと思ったものを、好きに改善してみろ」
正男の胸が熱くなった。
これは――。
自分がやりたかったことそのものだった。
「ありがとうございます!」
正男は深く頭を下げた。
「それと、もう一つある」
「はい」
信長の目が鋭くなる。
「戦で使う荷車を一台作れ」
「戦用の荷車……ですか?」
「ああ」
「兵糧や武具を運ぶための荷車だ」
「なるほど」
「ただし、普通の荷車ではない」
信長は正男を見据えた。
「戦場でも使えるものを作れ」
正男の頭の中に、いくつもの考えが浮かんだ。
「分かりました」
正男は答えた。
「作ります」
信長は満足そうに頷いた。
「期待している」
正男は深く頭を下げた。
こうして――。
鈴木正男は、織田家の家臣となった。
そして同時に、新たな仕事を任されることになった。
戦用の荷車。
これまでの改善とは違う。
今回は、自分一人の仕事ではない。
織田家のために作る。
正男は、これから始まる仕事の大きさを感じていた。
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【鈴木 正男】
年齢:18歳
身分:織田家家臣
石高:0→50石
統率:72
武勇:28
知略:83
政治:87
【兵科適性】
足軽:C
騎馬:D
弓:C
鉄砲:A
水軍:D
【スキル】
危険予知:Lv.5
危険回避:Lv.1
5S:Lv.5
改善思考:Lv.5
標準化:Lv.5
品質管理:Lv.5
工程改善:Lv.5
生産性向上:Lv.5
安全意識:Lv.5
立身出世
【経験】
危険回避:20
【実績】
現場改善:4回達成
【現在の改善対象】
戦用の荷車
【改善状況】
未着手
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