↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
戦国転生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/26

鍛冶屋の娘 vs 山の主

読んでいただいて、ありがとうございます。

今回の話は、なつきが主人公の外伝ものになります。

これからも、なつきの武勇伝を間に挟もうと思っていますので応援してくださると幸いです。

伊藤家の商家で、正男が商品管理の改善を行っていた頃。


尾張の山中では、一人の少女が山道を歩いていた。


鍛冶屋の娘、なつきである。


「はぁ……」


なつきは肩に籠を担いでいた。


中には、鍛冶場で使う炭が入っている。


「親父も、炭が足りないなら早く言ってよね」


ぶつぶつ言いながら山道を進む。


「おかげで、あたしが山まで来る羽目になったじゃん」


しかし、なつきは山歩きに慣れていた。


足場の悪い場所も、軽々と進んでいく。


しばらくすると、なつきは足を止めた。


「……ん?」


地面に、大きな足跡があった。


「何これ?」


しゃがみ込む。


蹄の跡。


だが、普通の牛とは比べものにならないほど大きい。


「牛……?」


なつきが立ち上がった。


その瞬間。


――ドン。


地面が揺れた。


「……?」


なつきが振り返る。


何もいない。


――ドン。


今度は、はっきり聞こえた。


「なんだ?」


――ドン。


木々が揺れる。


枝が折れる。


「……来る」


なつきは籠を下ろした。


木々の間から、何かが近づいてくる。


「モォォォ……」


低い唸り声。


そして――。


現れた。


「……でかっ!」


巨大な黒牛だった。


普通の牛とは比べものにならないほど巨大だった。


全身が黒く、頭には太く長い角。


そして、こちらを睨みつけている。


なつきは一歩下がる。


「……あんたが、噂に聞く山の主ってやつ?」


黒牛が前足で地面を掻いた。


ザッ。


土が飛ぶ。


シュー。


鼻息が荒い。


「へぇ……」


なつきは拳を握る。


「やる気なんだ?」


黒牛が頭を下げ、黒牛が突進した。


なつきは横へ飛ぶ。


ドォォォン!


「うわっ!」


黒牛が大木に激突した。


木が大きく揺れる。


ミシミシミシ……。


「……嘘でしょ」


なつきが目を見開く。


バキィィィッ!


大木が根元から倒れた。


「体当たりで木を倒した……」


なつきの口元が上がる。


「面白いじゃん」


黒牛が振り返る。


「今度は、あたしの番!」


なつきが走り出した。


「おおおおおっ!」


黒牛も突進する。


なつきが跳んだ。


「せぇぇぇい!」


飛び蹴り。


ドゴォォォン!


なつきの蹴りが黒牛の頭に直撃する。


黒牛が数歩後ろへ下がった。


なつきも着地する。


「どうだ!」


黒牛が頭を振る。


「……あれ?」


フシュー。


黒牛が怒ったように鼻息を吹く。


「モォォォォォッ!」


「そうこなくっちゃ!」


黒牛が再び突進。


なつきは逃げない。


ギリギリまで引きつける。


「まだ……」


さらに近づく。


「まだ……!」


角が目の前まで迫る。


「今!」


なつきが横へ飛ぶ。


黒牛が通り過ぎる。


その背後へ回り込む。


「もらった!」


なつきが黒牛の背中に飛び乗ろうとする。


しかし。


黒牛が急停止した。


「え?」


次の瞬間。


黒牛が身体を大きく振る。


「うわぁぁぁ!」


なつきが吹き飛ばされた。


ドサッ!


地面に落ちる。


「痛ったぁ……」


なつきが起き上がる。


黒牛はすでにこちらを向いている。


「……あんた、頭いいね」


黒牛が地面を踏み鳴らす。


ドン! ドン! ドン!


「でも……」


なつきが立ち上がる。


「鍛冶屋の娘を、なめないでよ!」


なつきが走る。


黒牛も走る。


「おおおおおっ!」


「モォォォォォッ!」


ドォォォォォン!


二つの影が激突した。


なつきは黒牛の角を両手で掴んだ。


「ぐっ……!」


黒牛が押す。


なつきの足が地面にめり込む。


ズズズズ……。


「くっ……!」


さらに押される。


「この……!」


なつきが腰を落とす。


「負けるかぁぁぁ!」


なつきが押し返す。


黒牛の足が一歩下がった。


「まだ!」


もう一歩。


「もう一歩!」


さらに一歩。


「うおおおおおっ!」


黒牛が頭を振った。


なつきの身体が浮く。


「うわっ!」


そのまま投げ飛ばされる。


ドォン!


地面に落ちる。


「……くっ」


なつきはすぐに立ち上がった。


口元を拭う。


「強いね……」


黒牛がこちらを見る。


「でも……」


なつきは笑った。


「楽しくなってきた!」


黒牛が突進。


なつきも突進。


直前でなつきが跳ぶ。


「飛んで――!」


身体をひねる。


「えいっ!」


ドゴォォォン!


今度は飛び蹴りが黒牛の肩に直撃。


黒牛が横へ吹き飛ぶ。


ドン!


倒れた木にぶつかる。


バキバキッ!


木が折れる。


「よし!」


なつきが着地する。


だが、黒牛は立ち上がった。


「……まだ立つの?」


黒牛が鼻息を荒くする。


「モォォォォォ!」


「そうだよね!」


なつきも拳を構える。


「最後までやろう!」


黒牛が突進。


なつきは真正面から迎え撃つ。


「うおおおおおっ!」


角が迫る。


なつきは両手を伸ばした。


ガシッ!


角を掴む。


「ぐぅぅぅ……!」


黒牛が押す。


なつきが押される。


また足が地面にめり込む。


「負けない……!」


地面に足を一歩踏みだす。


「絶対に……!」


さらに腰を落とす。


「負けるもんかぁぁぁぁぁ!」


なつきが全身の力を一気に解放する。


「うおおおおおおおっ!」


黒牛の巨体が浮いた。


黒牛が必死に足をばたつかせる。


なつきが黒牛を投げ飛ばした!


「せぇぇぇぇい!」


ドスン! ドスン! ドォォォン!


黒牛が地面に何度か跳ねて倒れた。


山中に大きな音が響き渡る。


静寂。


なつきは肩で息をする。


「はぁ……はぁ……」


黒牛は倒れたまま、しばらく動かなかった。


「……勝った?」


なつきが近づく。


黒牛がゆっくり頭を上げた。


「まだやる?」


黒牛は立ち上がった。


なつきが身構える。


しかし、黒牛は首をゆっくり横に振る。


ゆっくりとなつきの前まで歩いてくる。


そして――。


なつきの前まで来ると、伏せた。


「……?」


なつきは恐る恐る手を伸ばす。


黒い毛に触れる。


「……ふわふわ」


黒牛が目を細める。


「モォ……」


「そっか」


なつきは笑った。


「あたしを認めてくれたんだ」


黒牛が頭をなつきに押しつける。


「……あんた、強かったよ」


なつきは黒牛の首を撫でる。


「だから、名前をつけてあげる」


少し考える。


「真っ黒だから……」


黒牛を見る。


「くろ」


「モォ」


「今日から、あんたは『くろ』」


なつきは笑った。


「よろしくね、くろ」


巨大な黒牛は、静かに鳴いた。


「モォォ……」


「もしかして、あたしの言ってること分かる?」


「モォ」


「はは、ほんとに頭いいんだね」


こうして――。


山の主と呼ばれていた巨大な黒牛は、なつきの相棒になった。


その日の夕方。


なつきは炭の入った籠をくろの背に乗せた。


「これ、運んでくれる?」


「モォ」


「助かるよ」


なつきは歩き出す。


その後ろを、巨大な黒牛がついてくる。


鍛冶屋の娘と、山の主。


一人と一頭の、奇妙な相棒関係が始まった。


そして数日後。


なつきのもとへ、一人の男が迎えに来ることになる。


その男の名は――。


鈴木正男。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。