第二話 ノルテ王と冷気の泉②
ノルテの首都、王都ベッゲンはかつての荘厳さだけが残る都市と言う感じである。古き良き都と言えば響きは良いが実際はどことなく活気の失われた過去の名都だった。
僕達は王の面会を翌日に取付け、宿に泊まる事となった。
「あんた達どこから来た?」
宿屋のおかみさんは僕達に聞いて来た。
「スルーニルです。」
「スルーニルか、ベッケンは初めてか?」
僕達(マトゥキ達2人を除く)は頷いた。
「どうだい、この都の雰囲気は?寂れたものだろ。よその国から来た人達にはこの寂れ具合はローレイ金山を奪われた事が原因だと言けど、あんた達はどうさ?本当の理由を知っているかい。」
「本当の理由?」
僕とストナは声を返していた。ローレイ金山を奪われた以外に何があるのだろう?
「娘さ、娘、フィヨルド王の娘、王女トロソムが病に掛かって5年、それ以来王の覇気が完全に無くなってしまってね、今じゃこの有様。嫌だねー、私もスルーニルに行きたいよ。こんなところで宿屋なんてやってなかったら。」
「王女の病ってなんなのですか?」
「痩腐病だよ。あーこわい、こわい。」
おかみさんは僕達に部屋のカギを渡すと去って行った。
「マトゥキさんは王女の病の話知ってましたか?」
マトゥキはゆっくりと頷いた。どうやら、スルーニルがノルテを見切った理由は国力低下より、王側の衰退にありそうである。
「それなら、王位を譲れば良いのよ。国民が迷惑よ。」
「ストナ、部外者があまり心の声を出さない方が……。」
「何よ、ナギトもいい子ぶって、心の声って、ナギトもそう思っているんでしょ。どこぞのガキがやる気を無くしたらどうするのよ。」
「どこぞのって。」
オーウィズが僕達の会話に無理やり入ってくる。
「ガキは余計だな、ストナ姉だってたいして年齢変わらないだろ。実際のところ、ノルテの王位継承問題は少し前から聖京都でも話題になっている。ノルテは初代国王が自分の血筋以外の者に王位を継がせる場合、継承者は現王のはらわたを引き裂き、その臓物を全て食べなければならないと言う国家厳法が存在する。」
「なにそれ、そんな法律さっさとやめたら。」
僕とストナはお互いに顔を見合わせた。あからさまに悪法だ。誰がそんな法律作る?何の為に?
「なかなか複雑な法体系で簡単には法律の変更は出来ないらしい。現王の子供は4人。上の2人はハルダンゲの戦いで戦死。3人目はその後、不慮の事故で亡くなる。更に最後の末娘が不治の病。現在初代ノルテ王の血筋を探していると言われている。」
「探している?誰かいないの?」
「祖父の件であまり大きな声では言いたくないけど、こう言う王家の血筋問題は厄介で下手に王位継承権を持っているとそれだけで暗殺対象になりうる。」
「こわ!」
「金と権力とはそう言うものだ。とは言え、今やるべき事はノルテから魔晶門のカギを譲ってもらう事だ。それ以外は考えるな。」
そうは言われても、気が向いてしまう問いではある。視点を変えれば僕達も同じ状況と言えば同じではある。聖京都でも叔父のキンデルダルが王位継承すれば、オーウィズ、ストナは継承権を持つ脅威として命を狙われる。いや、それ以前に僕も含めて反逆罪で死刑。単なる王位継承問題なら、ともかくこっちはバンパイアの国乗っ取りだ。負ける訳にはいかない。
その後、僕達は宿で食事をした。この状況で冒険者もあまり近寄らなくなり、肉類も不足している事から野菜中心の食事であった。
野菜料理自体はとても美味しかったけど、少し物足りない夕食となった。
ベッケン城の城門が開くと同時に僕達は王へ謁見を求めた。入城が許されたのお昼を過ぎた時だった。
城全体が黒の大理石を基調と作られており、スルーニルの白とは全く違った荘厳さを持っていた。ただ、何かが足りない感があった。
「何か暗いね。」
僕は口に人差し指を置いて答えた。
「やめなよ。」
「何も言ってないでしょ。何か暗いねって言っただけでしょ。何が悪いのよ。こんなジメジメとした場所……。」
ストナの暴言は病むことなく、誰も何とも言わなくなった。
フィヨルド王と謁見が始まった。
死相と言うのはこう言う事かと思う程の暗い顔をした王が目の前にいた。王座がこれほど低く感じられた事はなかった。今まで見てきた王座と違って確かに高台は少し低かった。けれども、高台の上にいる王より、低いところにいる僕達の方が高いところから見下ろしている様に感じた。背筋も曲がり白髪もボサボサで王と言うより世捨て人と言った方合っている感じの人だった。
王が小声で何かを言うとその側近が私達に王の言葉として伝えるやり取りが何度か続いた。
「それで?そなた達は陛下へ伝えたい事はあるのか?」
王はゆっくりとした口調で話し出した。まわりの取りまきも何か似た様な生気を失った人達だらけだった。
「王よ。私はスルーニル王の使いとして参りました。お願いしたい儀があります。どうか、魔晶門の鍵を譲ってください。」
その言葉に側近も一瞬言葉に詰まった様で立ち尽くしていた。
しばらくの沈黙の後、王の方が側近を呼び寄せた。何か耳打ちをすると、再び側近は僕達の方へ向きを変えた。
「本日陛下はお疲れの様子だ、本日の謁見はここで打ち切る。」
そこまで言うと僕達は部屋から強制的に追い出された。
僕達は王宮の廊下をゆっくり戻っていた。予想通りと言えば予想通りの展開だった。ノルテとしては魔晶門のカギはスルーニルとの交渉手段でもある。そのカギを簡単に渡すわけがない。しかし、僕達も手ぶらでは帰れない。何かいい方法はないものかと考えるが、全く案は浮かんで来ない。
「オーウィズどうなの?何か無いの?、そのスキルはどうなっているの?」
「ストナ姉、「探求」なんて、そんなに都合のいいスキルではないのは知っているだろ。とりあえず、1ヶ月は粘るしかないな。」
「そんなに時間を掛けて大丈夫なの?」
「キンデルダルが王位に就くまで4ヶ月とちょっと。姉や反対勢力側メンバーの安否も心配ではある。でも、マナの剣が完全もあと4ヶ月。どのみち今はここで留まるしかない。リリラを攻めるのにスルーニルの応援は必須。時間的なリミットはあと2ヶ月だ。これ以上待てない。その時にはテイルエンドへ戻しかない。」
…………。
「そう言えば、マトゥキさん達は?」
「あの人達はここに駐留している騎士団員に会いに行っている。マトゥキに交渉の席に上げる事は出来ない。」
結局、ノルテに来て2週間が過ぎた。謁見が認められたのは週間に1回。会うたびにこちらの要件を伝えるが、伝えるとすぐに謁見は打ち切られる。そんな無意味な時間が続いた。
本日も3回目の謁見を終えてトボトボと宿に戻ろうとしていた。
「賄賂よ賄賂よ。賄賂が足りないのよ。オーウィズあの側近にも何か贈りなさいよ。」
「ノルテはどこよりも収賄罪に厳しいんだよ。そんな事すれば、こっちの首が飛ぶ。」
「だから、こうやって正式な回答を伸ばされているじゃないの?さっさと金でもダイヤでも鉱石でもあげなさいよ。賄賂よ。賄賂よ。ここまで粘るんだから、賄賂を要求しているって分かっているでしょ。」
「でもそんな高価なものある?ストナの亜空間に何かあった?」
「そんな高価なものか……。この前作った指輪かな?」そう言うとストナは両手にはめている指輪を見つめた。
「僕達にとっては高価だけど、そこまでは……。どうせなら城が建つくらい……。」
「城ね……そのくらい景気よく行きたいわよね。……。城?」
「城だ!!!」僕とストナは互いに顔を見合わせた。硬芯鋼と柔芯鋼だ。僕の分はキャロリーに盗まれたけど、ストナの亜空間に入っている1セットはまだ手をつけていない。ストナが亜空間から石を出そうとした時、僕達の後ろから声がした。
「すみません。七本槍の道化衆の方々ですか?」
僕達は先程の会話を聞かれたのかと気まずくなって、とりあえず作り笑顔で誤魔化した。
「なんでしょうか?」
「ガイランゲル王妃がお会いしたと申しております。少しだけお時間を頂けないでしょうか?」
その不思議な招待にとりあえず僕達はうなずくしかなかった。
僕達は女中に連れられて、一つの部屋に案内された。その部屋にはベットが中央に置かれており、その傍らに女性が立っていた。
オーウィズはその女性をみた瞬間に膝をかがめた。
その女性は王妃ガイランゲルだった。
円卓のテーブルにお茶菓子が用意されており、女中が僕達に座る様に促した。
ガイランゲルが座ると女中は全員にお茶を淹れてカップに注いだ。茶葉のいい香りが部屋中に漂った。
「いい香り。」
ストナがその言葉を発すると、王妃もこっちをストナを見て笑顔で「ありがとう」と言うと、その後でベットの方へ視線を送った。
「娘もこの香りが大好きなの。」
その時、僕達はここが王女トロソムの部屋だと察した。
「娘は眠ったまま、痩腐病と言う事は街の噂で知っているでしょ。この病は皮膚が紫掛かって来て、全身に痛みが走る。最終的にはあまりの痛さに身体中を掻きむしって死ぬと言う病よ。だから、睡眠魔法を掛けて眠らせている。もってひと月と言われているわ。」
王妃はそこまで話すとカップを手に取って無表情でお茶を飲んだ。
「直す方法なないのですか?」
僕が聞くと、王妃は僕方を見た。
「あるわよ。若い男の心臓。特に剣士系の強い男が良いかな。あなたみたいに……。」
そう言うと、再びカップを口に向けた。僕は背筋に冷たい物を感じた。何が言いたいんだ?だんだん背中から汗も湧き出してきた。
その時、王妃か軽く吹き出す様に笑った。
「冗談よ、冗談、ごめんなさい。あなたの心臓をくれなんて言わないわ。」
……冗談でも言って欲しくない。
「痩腐病は不治の病。治らない。でも、ここから東にあるスカルディーナ山脈のウルネス山にある幻の泉と呼ばれる冷気の泉があるの。そこにはどんな病も直す霊薬があり、太古より泉はマナ獣が守っていると言われているの。ここまで言えばわかるかしら。」
「それを私達に取って来いと。」
「そう言う事。」そう言うとガイランゲルは手を叩いた。すると今度は執事の様な男性が箱をもって現れた。そして、その箱を僕達の前で開けた。
中には不思議な玉が入っていた。どこかで見覚えのある玉だった。僕は少し乗り出して玉を眺めた。中が大理石様な模様をしていて、表面が玻璃の様に輝いている。
あれ?どこかで見たぞこれ。
「魔晶門……まさか、これが魔晶門のカギ?」
「御名答。あなた名前は?ナギト君だったかな?なかなか見どころがあるわね……。覚えておくわ。」
王妃はその箱を受け取ると膝の上に置いた。
「夫とも話したわ。早かれ遅かれスルーニルはこのカギを要求するのは分かっていた。……。まさか王家の人間ではなく、まったく関係のない冒険者隊を使うなんて、失礼極まりないと言うのが最初の感想かな。でも、あなた達の事を調べていて逆に興味が湧いたの。あなた達、火のマナ獣に会ったと言う噂があるの。本当のところはどうなの?」
僕達の沈黙にオーウィズは話し出す。
「非公式としての回答でよろしいでしょか。」
王妃は軽く頷いた。それに合わせてオーウィズが話を続けた。
「ありがとうございます。我々は炎英離都のメンバーと共同探索をしておりましたが、ある理由で火のマナ獣と会うのは私達だけとなりました。理由はマナ獣殿の意向です。その為、あまり公にはしておりません。」
「ありがとう。やはりそうでしたか…………。あ、ごめんなさいね。私のひとりごとよ。そうね。何から話そうかしら。1年前に実は私達の特殊部隊がウルネス山の幻の泉と思われる泉を発見したのよ。でも、そこからどうやってマナ獣に会えば良いのか、霊薬はどうすれば良いのか分からないまま1年が過ぎてしまった。オーウィズ王子、そしてナギトさん。あなた達は4英雄の末裔に当たるらしいわね。だから……。」
そこまで言うと王妃は手を叩いた。すると男性1名が入って来た。その男は入るやいなや王妃を頭を下げ、その後で僕達にも同様にした。
「彼はアクスラよ。特殊部隊のメンバー。本部隊は今幻の泉で調査しているわ。彼に付いて行って幻の泉に行って欲しい。それが私からの依頼よ。」
「行く?霊薬を取って来いが依頼では?」
「もちろん、霊薬が手に入るなら娘へ与えたいわ、もちろん。でも、あるのか分からない物を要求するほど思慮に欠けては無いわよ。幻の泉の調査をしてくれれば、これはあなた達に譲る。どう?悪くない取引でしょ。」
翌日、僕達は王妃の依頼を引き受けて、特殊部隊のアクスラと一緒に幻の泉に向けて出発する事になった。
「おはようございます。皆さん、朝から気がのらないとは思いますが、頑張りましょう。そうですよねー。嫌ですねー。私も嫌ですよ。3日前に急に呼び出しを受けたと思って戻って来たら、皆さんを泉まで案内しろって。はあー。塩バター食べたかった……。そうそう、ここから東に行くと海岸線があるんですよ。そこの港町に塩バター魚のめちゃくちゃ美味しい店があるんですよ。私はね。戻って来た時には必ずそこへ行くと決めているんですけど、ねー。さすがに早い。出発早い。ま、一般兵は上には逆らえないですからねー。運命ですよ。さあ、参りましょう。」
長い挨拶が終わり、僕達は簡単に自己紹介をして出発した。
七本槍の道化衆から僕、ストナ、オーウィズ、バキア、マトゥキ、マリアンと特殊部隊のアクスラの7人での旅が始まった。
「そうそう、注意点を3つ。」
そう言うとアクスラは指を3本立てて後ろ向きに歩きながら話始めた。
「今からの街道を進むとローレイ金山近くを通ります。ここがまた厄介なんです。元々ノルテ領土だったんですが、少し前帝国に押さえられて、この街道も時より帝国兵が検問を開いて通行人から持ち物を没収している事があるんですよ。これが厄介。その場合は南側の山道を進みますので、ご承知おきくださいな。なんせね。あの帝国兵共は非常にたちが悪い。山賊の方がまだかわいい。絶対に武器を抜かないで下さい。亜空間魔法が使える方はいますか?使えるとは絶対に言わない。手持ちは全て亜空間に入れていおいて下さいよ。あいつら本当に盗賊ですよ。」
アクスラはそう言うと指をひとつ折った。
「次にこの街道は魔狼の類が大量に出没しますよ。特に、ローレイ金山を過ぎると出没が顕著ですから。全ては帝国のせいですよ。帝国の!ローレイ金山だけでなく、街道まで支配下に置こうとするから、物流が滞るわ!冒険者は減るわ!で、魔物の巣窟に……ですよ。今では東部にある50の街も人口減の上、町囲いの無い村なんて、廃村です。ノルテの魔狼は水のマナを強く帯びていますから、水攻撃に注意ですよ。」
僕はそっと斜め後ろを歩くバキアとストナを見た。バキアは予想以上に顔色が良くない。ストナがそれとなく僕に目で合図をしてきたので僕は話題を変えようとアクスラに話し掛けた。
「アクスラさんもうひとつは?」
アクスラは僕の方を見てから、全体を見回した。そして一度咳払いをしてから指をもうひとつ折り、そして話し始めた。
「えー、あー。これは私からではなく、私の隊長からの伝言です。幻の泉はない。以上です。」
「ど、どういう事ですか?」
僕は思わず聞いてしまった。
「以上です。」
口達者のアクスラがそれ以上話さずに、前を向いて黙々と進み始めた。気になる含みのある一言に触れるのは止めておいて僕達も後を追って進みだした。
東の街道を進んで3日目になった。思った以上にモンスターは出てこない。アクスラが言うようにローレイ金山の西側は治安が行き届いているのだろう。
街道をひたすら進むと左手に大きな山脈が見え始めた。
「皆さんあそこがローレイ金山です。」
西側街道から見ると3峰が重なり合い、さらに大きな山に見えた。裾のまできれいな形状になっていた。
「綺麗。」
ストナの声にアクスラが反応する。
「そうでしょう。正確には綺麗な山々になりますが、登るともっと素晴らしいです。帝国に支配される前は良く仲間と休日に登ったものです。……。」
全員で少しローレイ金山を魅入っていた。
突然、何かの音が聞こえて来た。馬の走る音の様な……。
「皆さん、すいません、油断しました。帝国兵に見つかった様です。」
そう言うとアクスラはローレイ金山のさらに北側を指差した。
「あと、数分でこっちに来ます。決して逆らわないで下さい。私が話合いをします。また、金目の物は出さないで下さい。いいですか?先程言いましたが、あいつらは盗賊ですから。むしろ武力がある分、盗賊より厄介者です。」
アクスラが話を終えるやいなや僕達は10人程の騎馬隊に囲まれていた。
騎馬隊の先頭走っていた隊長格の男がアクスラに槍を突きつけて話しだした。
「なんだ、アクスラか。何しに来た。要件を言え。」
「ですから、前々から言っていますが、我々部隊はノルテ王の命でウルネス山周辺を調べているんですよ。今回、そのメンバーを追加して再びウルネスへ戻るところです。」
その隊長格とアクスラは顔見知りの様だった。男はこちらを何度も見渡した。
そして、さらに槍をアクスラの首に突き刺すように突きつけて話しだした。
「そこの女をおいて行け!それで通行料とする。以上だ。」
隊長格の男はストナに一度槍を向けてそう言った。
「はあ!」
「な、なんだと」
「ま、まって」
僕達3人は隊長格の男に言い返した。
「死にたいか?クズ共、そこの女威勢がいいな!余計に気に入った。俺の側女にしてやる。」
「死にたい?」
ストナが剣に手を置いた。それと同時に僕も剣に手を置いていた。
「皆さん、落ち着いて……。」
隊長格の男が僕に槍を向けた。何かが来る。そんな予感がした。
僕は剣を構えた。ストナも僕の隣で剣を構える。
「お前達死刑決定だ。」
と隊長格の男が叫んだ瞬間に、さらに大きな声が山々に響く様に発せられた。
「やめんか!バカ者共!」
その大声は奥の方から響いた。もう数騎の騎馬隊が近寄って来た。その騎馬隊が近寄ると先の騎馬隊員の顔色が曇る。先程まで威勢良く攻撃を仕掛けようとしていた隊長格の男にその威厳はもはやない。
さらに厳格な男が馬から下りた。マナが辺りを包む。この男もただ者ではない事が肌で感じられる。
この男は決して和解の使者や仲介者ではない。むしろ、一戦を挑む者の様な表情でこちらを見回していた。いや、マトゥキへ闘志をむき出しで向って来ていたのだ。




