第八話 復活と継承③
魔王の復活。
カラコロ厶からその話を聞いた時も半信半疑だった。僕はストナと顔を見合わせた。
その時だった。再び地面が揺れ始めた。今までの揺れとは全く違っていた。建物だけが揺れているのではなく、その空気が……、そしてマナも揺れ出した。
揺れは10分近く続いた。大きな揺れではなく、小さな揺れが常に続いている様だった。
世界が震えている。そんな感じだった。
…………。
その揺れがおさまった後、城内が今までになかった程の濃い暗いマナで包まれ始めた。闇と邪の混ざったマナ。カラコロ厶増殖薬でまき散らしていたマナよりももっと濃くより邪悪、そのマナの原液が上空から降って来ている様だった。
そのマナを肌に感じ時、僕達の誰もが魔王は復活したと直感的に悟った。
僕達はテロットひとりにカラコロ厶とナディを任せて屋上へと向かって行った。
屋上へは通常の人は出入り出来ない。出来るのは王族の一部のみ、通常ではたどり着けない仕様となっており、隠し扉や隠し階段をすり抜けてようやくたどり着く。マーロンとストナの記憶をたどって屋上へと向かって行くのであった。
そして、最後の階段の前に立った時、階段の奥から吹き付けて来るマナの流れを身に受けて魔王城での戦いが思い出された。
あの時よりも生々しい圧気が上から流れてくる。ここまで走って来た足取りが一気に重くなる。緊張と恐怖が全身を覆って来る。
その覆いかぶさる闇を振り払う様に一歩一歩階段を踏みしめて登って行く。
階段を登り終えて、マーロンが扉を開いた。
暗黒の空気が屋上の間の床にマグマ溜りのような不快なマナ溜りを作っていた。
そして、屋上の間の中央に謁見の間と同様の王座が設けられており、そこにはリリラと思われる女性が鎮座していた。
僕達は一歩一歩屋上の間へと入って行った。正確には屋上へと出ると言う表現が正しいかもしれないが、今、目の前にある空間は通常の屋外ではなく、魔王の間と化していた。
目をつむっていたリリラが目を開いた。
赤みがかった暗黒のマナで覆われた眼がこちらに向けられた。
口元にわずかな笑みのような動きを見せた。そして、重苦しいトーンで話出した。
「久しいな。マナの戦士よ。こうして対話するのは初めてか。我はそなたの剣先を今でも覚えておるぞ。どうだ、取引をせんか?」
見た目はリリラだけと、マナの雰囲気と声の口調は別人である。魔王と話していると嫌でも感じでしまう。
「取引?」
「我の部下となれ、そうすれば、悠久の命を得る方法を教えてやる。」
「僕はバンパイアなんかにはならない!」
ワハハハ!魔王の笑い声が空間に響き渡る。ここは屋上なのに洞窟の中にいるかの様に声の響きがある。
「バンパイアではない。悠久の時を生きるエルフだ。お前にはエルフとなる資格がある。」
「レフト・カサブレラと同じか!」
「レフト?あ、あ、あの小僧か。あの小僧、エルフになったか!ワハハハ、どうせダークエルフだろう。エルフ薬には正しき調合方法、正しき時の経過が必要だ。それを知るのは、我かマナ獣だけ。マナ獣がエルフ化を教えるとは思えん。ダークエルフはだめだ。マナが闇に偏る。我々バンパイアと同じ。真のエルフはマナを持たない。おぬしの様にな。どうだ。我と手を組むか?」
「断る!」
魔王が再び高らかに笑い出す。
「断るか、マナ獣に聞いても教えてはくれぬぞ。エルフ化は禁忌の法、それを口に出来るのは我だけだ。どうだ、我と共に来れば、この魔下の大地以外は全てお前にくれてやるぞ!」
僕が再び「断る」と言う前にライガが僕の前に立って言った。
「やい!さっきから腕ひとつ動いてないけど、どうした?封印が解けたのは口だけか?また、失敗の様だな。うちの隊長を勧誘する前に自分の心配をしたらどうだ。」
再び魔王の笑い声が響いた。
「ワハハハ、面白い、光の騎士よ。前に会った時より光を強く纏う様になったな。そちの考え通り、まだこの肉体は完全ではない。」
「やはり失敗か。聖女の血が足りなかったか?代わりにこの槍をくれてやる。」
ライガが槍を構えた。
「ワハハハ、面白い。魔王とまで呼ばれた我の力を見くびるな!」
魔王のマナがライガの周りに集まった。その集まったマナは目のような雰囲気を漂わせていた。そのマナの目が開き目からライガ向けてマナの閃光が飛び出した。
「ライガさん!」
ライガは閃光を上手く避けた。目の様なマナは3つ。3つのマナから出る閃光攻撃を上手く避けながら、ひとつの目に近づき攻撃を仕掛けた。
百段突撃で1体を壊した。同様に残り2体を撃破して着地した。その時、ライガの足元が黒く光った。
「ライガさん、足元に何かある!」
ライガの足元に陣の様なものが出来ていた。いつの間に?さっきの目の様なマナが攻撃していたのはライガ自身ではなく、足元に陣を描いていたのか?
次の瞬間、ライガは遥か上空に浮き上がり、そのまま叩きつけられるように地面に落下した。
「ライガさん!」僕とストナが近寄って聖のマナ寄せによる聖回復を掛けた。ライガの傷が癒えていき、意識を取り戻した。
「ライガさん、大丈夫出すか?」
「大丈夫だ、なかなか厄介な敵だな。」
ライガの見つめる先には微動だにしないリリラの姿をした魔王が王座に座っている。
すると、再び魔王の笑い声が響く。
「どうした?動かない獲物に近づけもしないか?光の騎士もたいした事ないな。次は誰だ?そこの聖の騎士と水の支援士か?」
マーロンが魔王に対峙する。
「面白い、その首斬ってやる!行くぞカール。」
マーロンとカールが2人で飛び出して行った。ちょっと、魔王にとどめを刺すのはこのマナの剣ではだめなんだけど……。首を斬れば倒せるのか?
マーロンはマナの目を攻撃を仕掛けて来る前にスキルで消し去った。そして一気に魔王までの距離を詰めて、残り3メートルのところで、カールの投網の反動で一気に距離を詰めようとした。
しかし、残り2メートルでマナの暴風が起こり、数メートル吹き戻された。その吹き戻された地面に陣が作られており、ライガと同様に上空からの叩きつけられた。
僕達はマーロンとカールに近寄って聖回復をした。エージナがマーロンを覗き込んだ。
「ナギトのマナの剣でないと倒せんとは分かったいて何をやってるんじゃ。」
エージナがマーロンに手を差し伸べたが、その手をはねのけた。
「いらん、握手は魔王を倒してからだ。」
「聞いていた以上に意固地なやつじゃ。で、どうだった、魔王の近くまで行って何か得たか?」
マーロンは僕の方を見た。
「前回の魔王城と一緒だ。突き進むしかない。あの暴風前回とは比べものにならないな。行けるか?」
前回の魔王城での戦いではライガとマーロンがスキルで暴風を食い止めて前進して魔王に崩壊の一撃をくらわせた。今度同じ様に進むしか手はない。魔王が動けないのは前回と同じ、ただ、今回は意識を持って攻撃してくる。どこまで通じるか、でも、やるしかない。
僕は剣に6属性のマナをマナ寄せする。マナの剣の周りに、マナが回転をし始める。
マナの獣の言葉を思い出す。
『マナを細く槍の様に集めろ!そのマナを渦を巻く様に細く細く針の穴を通す様に細くしろ!』
魔王の核を貫くには核の核を細くして貫くしかない。その為にはカールの投網のスキルで跳ね出してもらうしかない。その距離から考えても3メートルくらいまでは近づく必要がある。ライガとマーロンのスキル攻撃で一歩でも前に出る。
やろうとしている事が前回の魔王城の戦いと全く変わらない。それしか手はない。僕自身に一撃必殺のスキルも力もない。だから、仲間を頼るんだ。信頼出来る最高の仲間を。
僕は一歩踏み出した。
「ライガさん、マーロンさん、カールさん。お願いします。」
ライガが僕の頭に手を置いた。
「あの時と俺もパワーアップしているからな、安心してついて来い。」
その後でマーロンが僕の肩に手を置く。
「安心しろ!最高の花道をプレゼントしてやる。」
最後にカールが僕の腰に軽く押した。
「行くぞ、後ろは私が守るから、安心して二人について行け!今回は死んでも離れん。」
「はい!」
僕の声が思った以上に周りに響いた。その声を合図にライガとマーロンが前進していく。
最初にマナの目が現れた。今度は10体程の大量のお出迎えだ。それを見てライガが笑みを浮かべた。
「嬉しいな!歓迎されているな。」
マーロンとライガはその目を一気に蹴散らした。
更に進むと今度はマナの暴風が吹き荒れた。
『万段突撃!』『万位十字格子閃!』
ライガとマーロンは交互にスキルを使ってマナの暴風を相殺させて進んで行く。残り5メートル。という所まで来て進みがゆっくりとなった。
マナの暴風の威力が以前よりも強い。
「ワハハハ、無駄だ。やめておけ、今なら和解してやってもよいぞ。」
魔王の声が進むたびに聞こえてくる。微動だにしないそのリリラの姿と聞こえくる声に何か違う空間にいるのではと思ってしまう。
しかし、リリラの中にあるマナは魔王のマナそのものだ。あの魔王城で対峙した時と変わっていない。
あのマナにこの剣を突き刺す。
残り4メートルくらいまで進んで全く動かない状態となった。暴風とスキルが均衡状態となってしまった。
「ナギト、行くぞ!準備しろ!」
荒れ狂う暴風を前に2人が僕に語り掛けて来た。次に2人同時にスキルを使って道を作ってくれる合図だ。行くしかない。
スキル合間から入ってくる風を斬るように魔王のマナの核を睨見つける。マナの核は視界に捉えている。後はそこまで行くのみ。
「カールさん!」
「行くぞナギト!」
カールの投網が僕の背中に吸い付くように設置された。あとは……。
『十万段突撃!』『十万位十字格子閃!』
ふたつのスキルと魔王のマナがぶつかりあった。
「行くぞ!」
その瞬間にカールが僕を思いっきり突き飛ばす様に前方へと弾いた。魔王目掛けて飛んで行く?
マナの核は視界に捉えている。行ける!
魔王の1メートル手で着地して、崩壊の一撃を……。
その時、足元で闇のマナが光った様に感じた。
しまった、読まれていたか!
次の瞬間に身体は一気に上空へと上昇していった。もう少しだったのに。
あとは一歩……。
『継承せよ。』
その言葉が僕の脳裏に響く。
『継承せよ。』
再び、継承の2文字が脳裏に響き渡る。
「誰なんだ。」
僕の問いかけに何も帰って来ない。分かっている。これが残留思念の類だと言う事は。それでも、あまりに執拗な問い掛けにこう答える事しか出来なかった。
「分かった、継承でも、何でもしてやる!」
大声で叫んだ次の瞬間、身体がにマナが巡り始める。全身がマナで満ちていく。
これは!
スキルを取得した時の感覚に似ていた。
………………。
それと同時にに脳裏に一人の人物が浮かび上がる。間違いなく、あの時、ゴスラルからの帰り道で出会ったミリアンから逃げたバンパイアだ。
いや、バンパイアになる前の姿なのか?出会った時の恐ろしさは秘めているが、少し優しそうな笑顔だった。その笑顔で語り掛けて来るようだった。
「お前に託す。この脚を使え。継承名は『○○』だ。」
そう心の中で語り掛けられると消えていった。
次の瞬間、思っいきり地面に叩きつけられた。
記憶が飛ぶ……。
「聖回復!」
身体に力が戻ってきて、視界がひらけて来た。全員無事のようで揃っていた。
ストナが僕に手を差し伸べてきた。
「はい立って!」
「聖回復って、あまり良いものではないかも、もう少しゆっくり回復したい。」
「何言ってるの!今更、さっさと働きなさい。」
ストナに立ち上がらされて、もう一度魔王の方を見た。錯覚とも思えるくらいだけど、魔王の表面が波打つ様に動き初めている。
「あまり時間がないな。」
僕の横にライガが来た。ライガの目にも同じ様に映っているのだろう。やはり、錯覚ではない。本当の意味で復活をしようとしている。
動かない魔王にここまで苦戦しているのに、これ以上攻撃の手が増えればお手上げだ。
次が最後のチャンス!
魔王のマナに焦点を定める。
「ライガさん、もう一度お願いします。」
ライガが再び僕の頭をかきむしる様に手を置いた。
「もう一度か、前と全く同じ展開だな。良いだろう。もう一度と言わず、何度でも死ぬまで付き合ってやる。」
「行くぞ。お前に顎で使われてやる。」
「こっちはいつでも準備万全だ。」
マーロンとカールが次々と背中に押してきた。僕達はお互いに顔を見た。ここで勝負を決める。
その時、地面が揺れた。
大きな揺れに倒れはしなかったが、バランスを崩した。
何が……?もうあの装置の機能は終わったのに?
「ナギト、魔王が……。」
ストナの声に全員が魔王の方を見た。
魔王の姿がリリラではなくなっていた。その王座についているのは完全に男だった。
完全復活が近い。
身体はまだ動いていない、今しかない。
「ライガさん!」
「ナギト行くぞ!」
ライガとマーロンが走り出した。そこに僕、カールと続く。再びあの目が現れた。それをライガとマーロンが一気に叩いた。すると再びあの暴風が吹いてくる。
前回同様にマーロンとライガの交互のスキル攻撃で前進していく。僕はその後ろに隠れる様に進んで行く。
ふと、心に疑問が浮かんだ。
この空間はなんなんだ?屋上なのに別世界にいる様に感じる。そもそも復活の装置は壊れているはずなのに、何かしらエネルギーが魔王に注がれている?
装置がまだ機能しているそんな風には見えない。
この空間はなんなんだ?
リトダがこの装置を作った。そしてあの反転で魔王復活に力を使ったけど、装置は破壊される。そこまでは考えていたはずだ。なら、最後の力をどこから手に入れる?
今魔王へ向かっているエネルギーは…………。
まさか?
僕達の攻撃?
この空間自体が魔王復活の最終装置?ここで使ったマナを吸収する様になっている?
そう考えれば、さっき攻撃後に身体が魔王の姿に戻った事も理屈に合う。
このまま無謀な攻撃は魔王復活への手引きとなる。しかし、今手を緩める事は出来ない。
ここで倒すしかない。
僕はもう一度魔王のマナの核を見た。心臓の位置にマナの核が渦巻いている。
さっきより禍々しいマナが渦巻き、時より全身にそのマナを飛ばしている様だ。
……。
勝負はあと一回と考えた方が良い。
ライガとマーロンの交互攻撃で魔王との距離を詰めて行く。あと6メートル。
魔王の暴風の威力もさっきとは桁違いに上がっている。『二万段突撃』『二万位十字格子閃』とさっきより威力を上げてようやく相殺する状態だ。
あと5メートル、4メートル。
その時、魔王の右腕が動いた。右腕からマナが放出された。
このマナ見覚えが!
偽カラコロ厶が足元に放出させて爆発させたあのスキル攻撃だ。マナが床に吸い込まれた。
「カール!」
マーロンの声が響くと同時にカールの投網が僕達を包んだ。
次の瞬間、大爆発が起きて、網で囲まれた僕達の球体は右後方へと流された。
爆発の起きた地面がえぐられている。そのえぐられた穴から闇のマナが浮かび上がり、中からマグマ溜まりが噴き出して来た。。空間全体が一層魔王のマナに覆われた。
て、言うか?ここは屋上だよな?なんで床が崩れないんだ?
やはり異空間にいるのだろうか?
カールが投網のスキルを解除すると、再び暴風の荒れ狂う世界となった。
さっき解除前へ目に入ったけど、投網の左側、爆発を受けた部分が溶けていた。まともに攻撃を受ければカールのスキルでも耐えられない。
魔王が再び右腕を上げた。
「カール!」
再び魔王の右手からマナが放出された。カールが投網で包んで左奥へと投げ捨てる。
左奥の方で大爆発音が響く。
魔王の暴風に爆風が混ざってやって来た。
「あまり余裕はない、カールあのマナ攻撃はお前に任せる。ナギトは最後に進んで来い!」
マーロンはそう言うとライガと共に再び魔王へ向けて前進を始めた。
さっきより断然ゆっくりなスピードでは進む。あの攻撃は致命傷となるのでうかつな事は出来ない。
暴風攻撃の合間を狙う様にマナ攻撃が来る。カールが上手く包み込んで捨てるを繰り返して処理をしている。
たぶん全員が気づき始めた。マナ攻撃とマナ攻撃の間の時間がほぼ一定であると言うことに。マナ攻撃を避けた後、30秒くらいは攻撃は来ない。
狙うはここしかない。
さっき攻撃した位置まで来た。
そして予想通りマナ攻撃が来てカールが弾き飛ばした。その瞬間、全員が意識をひとつにするような感じがした。
「ナギト!行くぞ!」
僕は一呼吸をおいて「はい!」静かに声を出した。
『十万段突撃!』『十万位十字格子閃!』
ライガとマーロンのスキルが再び放たれた。次の瞬間にカールが僕を弾き出した。
僕はカールの投網の勢いに乗って魔王まで進む。しかし、思った以上に相殺時間が少なく、2メートルで失速し、魔王の手前で両足をついた。
その時、魔王の左指が微かに動いてマナを放出した。
そしてそのマナは僕の足元にめり込んだ。マナの爆発が来る!
いや、心の中で僕はこれを待っていた!
再び僕の脳裏にさっきの声が聞こえた。
「お前に託す。この脚を使え。継承名は『縮地』だ。」
僕は脚に神経を集中する。
『縮地!』
足元から噴き出そうするマナ爆発と僕の脚がマナの力を相殺する。相殺の際に生じる爆発的な力を脚に蓄えてられる。
そして一気に放出する。
再び神経を眼に集中して魔王の核を見る。核の中に渦巻く核の中の核に目標を定めた。
『崩壊の一撃!』
ここの中で『マナを細く槍の様に集めろ!そのマナを渦を巻く様に細く細く針の穴を通す様に細くしろ!』と念じる様に眼と剣先に意識を通わせる。
縮地の力でマナがいつも以上に回転を早めて細く細く槍と言うより針の様になっていく、これなら行ける!
僕はそのままマナの剣を魔王の核へと突き刺した。
…………。
…………。
崩壊の一撃を核へと突き刺して3秒後、核が粉々になって砕けた。
そして目の前にいた魔王が蜃気楼を見ているかの様にいつの間にか消えていた。
気がつくと、僕達は大雨の中、屋上の間に立ち尽くしていたのだった。
「ナギト!」
放心状態だった僕にストナが抱きついてきた。
「やった、倒した。」
今度は再びあの大きな手でライガが頭をもみくちゃにして来た。
「良くやった。」
その後、マーロン、カール、エージナに身体全体をもみくちゃにされながらも自分が生きている事を実感した。
「倒したんですよね。」
「あ、あ。終わったんだ。」
僕はその場へと倒れる様に寝転がった。そして雨の振り注ぐ天を見あげた。
雨雲は黒く空を覆っていたが、闇のマナを一切感じなかった。
ようやくこの戦いが終わったんだ。




