セイヴィアズという狂信者たち
やっと更新しました。
ま、まままマニアイマシタ。
1
逃げると決めた瞬間、オレはすぐ後ろに転身して、必死に走りながら足下に魔粒子を溜める。
だが、相手はそう簡単にオレを見逃すわけないよね。だって全身鎧たちはあの真っ黒姫の命令を大人しく守ってるもんね。
最初に襲い掛かってきたのは槍を持ってる全身鎧とトライデントを持ってる全身鎧。槍は真っ正面から刺してきて、オレが左に避けたあとトライデントがすぐ薙ぎ払ってきたけど、ギリギリしゃがんでまた躱した。
回避だけじゃいつか体力切れで斬られちゃうから、適当的に反撃しよう。
「おい!そこのお前、こっちを狙って何をするつもりだ!やめろー!んな魔術を撃つな――ッ!!」
誰かがこちらを狙って魔術を放つつもりと聞いて、オレと戦ってる全身鎧たちは思わず後ろに向いた……こんな小学生レベルの罠にかかったな、バカたちッ!!
魔装化で強化した篭手を纏ってる左手で、目の前に立ってるトライデントの全身鎧に向けてスクラップみたいなフィストを炸裂した。
まぁ、炸裂とは言え、打ち出したのはスクラップなフィストだから、オレはただ左手にあった魔粒子の塊をトライデントの全身鎧にくっついて、ついてに足下で集めてる魔粒子と同じ噴出の性質を付与した。
では、お楽しみの人間ボーリング、はッじまるよー!!
「ん?なにかあった……ああぁぁああああ――ッ!!」
「ちょ、こっちに来るな!ぎゅあッ!!」
前に進もうとして足を動いてるトライデントの全身鎧、なぜかムーンウォークみたいに後退してる。しかも徐々に速くなって、後ろにいる他の全身鎧を巻き込んで強制的にムーンウォークではなくムーンフライをさせていた。
最後は十人ぐらい壁にぶつかった、同時にオレの脳内にストライクが出た時の効果音が流れてる。
もう一回遊びたかったけど、やっぱそうさせないよね。
「構えろ、用意ッ……放ってええぇ――ッ!!」
新しく前に来た槍と剣の全身鎧がオレを牽制してる間に、リングの外にいる奴らは矢を放ってきた。ておい!矢先に色んな魔術がついてるじゃないか!?
ちっ、なにかと接触したらすぐ爆発しちゃう魔術がついてるかもしれないし、氷の盾の展開も間に合わないから、最も汚い手段を使うしかないか。
「痛いッ!手がぁ!?僕の手肌がガントレットとくっついてる!」
「熱対策のために鎧の色んな所に隙間があって助かった、手だけじゃなく足もオレの冷気で凍らせたから、とりあえず、いっぺん、飛んでみるか。」
最も近い剣の全身鎧の手足を凍らせたあと、びっくりしてるヤツの後ろに回して、昔オーガスノービット(小さい方の)にやられたように、剣の全身鎧を飛んでくる矢の方向へ蹴り飛ばした。
そしたら、なんの魔術もついていない矢は鎧によって弾き飛ばしたけど、残りの危ない矢は……うん、ご想像におまかせしますわ。一つだけ言えるのは、空からハリネズミみたいになったヤツが落ちてきた!
フゥ~、とりあえず、爆発する魔術がついてる矢はないんだね。よっし、人間ボーリング再会だな――って、矢の雨を避けるために全員逃げたなコラぁ!
と思ったら、新手の全身鎧が前に出てきた、しかもひとりで。いいだろ、掛かってこいや、どんな武器を持ってるとしても、ボーリング玉に化してやるよ……斧ッ!?騎士なのになんで斧を持ってんの!?
「せぇッ……りゃぁぁあああああ――ッ!!」
全身鎧は斧を構えて、そして身体を回転すると同じ凄まじい速度で斧を振り回しながら、こっちに近づくてくんなッ!!
ぐっ、囲まれてるから、逃げれる場所も制限されてるから、迎え撃ちという選択肢しかないよね。
要するに、アイツの足を凍らせば良いんだ。
「う、動けん……!」
「動けんじゃねえよ!反応が少し遅かったら死んじゃうじゃないか!!」
足が凍らせて回転ができなくなって止まった全身鎧から、全力でブーメランを投げるようにでかい斧が棒から分離してこっちに飛んできた。いきなりすぎて、回避の動きがマト○ックスみたいになった。
あと少しで上半身と下半身が分離しちゃいそうだった……
だけど、本当にいきなりすぎたせいで、オレの後ろに立ってる全身鎧の味方が反応できず、あっという間に何人の上下半身がビクトリーガン○ムのように分離されちゃった。
しかし、斧はそのまま止まっていない、逆にまっすぐ飛び続けて、真っ黒い姫に襲いかかっていく。
ご愁傷様でしたと言いたかった時、全回復したボディーガードであるユウシャがいきなり現れて、眩しいほど白く輝いてる剣で斧を両断した。
うん、ですよねー。絶対に出てくると思ったわ。
で、どうしよう……敵は全身鎧たちだけならまだなんとかできるけど、全回復したアイツまで混じってきたら、うん、お手上げしたら、命だけは勘弁してくれないかな?
とか言って、準備は整ったな。では、飛び出せ、人間ボーリング玉パート2ッ!!あ、二人に逃げやがった。玉は一人しかないから、スペアもできないか……
「…………好き勝手やりやがって、許さない。」
おや?前みたいに片言ではなく、ぺらぺらになったね。
「いやいや―、好き勝手やってねえつうの。お前らがこっちを殺すつもりで攻めにきたから、オレはただ正当防衛権を行使してるだけ。」
「……魔人族にそんな権利がない!お前たちは殺すべし存在だぁぁああ――ッ!!」
ちょっと待って!?いきなり発狂して斬ってくるんな!でいうか眩しいー!エレプリまで使えやがったなコイツ!
全員を凍らせるためには魔粒子の量がもうちょっと足りない、とりあえず魔粒子を集めながら、知りたい情報をなんとかで入手しよ。
「それにしても、お前らって一体なにもの!?」
「お前みたいなクズに知る必要がないッ!!」
「冥土の土産として教えてもいいじゃない、ケチな男は嫌われるぞ。別にオレはお前の親や彼女を殺してないもん、だからそんなに敵視しなくても――ひぃっ!一々心の臓に狙ってくんな!」
「うるさいー、黙れッ!僕の友と恋人を殺した魔人族め、大人しく我々セイヴィアズに殺せば良い!」
カモがやっと来た、しかもかなり美味しそうなカモってね。
2
「セイヴィアズって、救世主を名乗るつもりかい。」
うわぁ……ふらぐなんとかのヤツって頭は大丈夫なの?こいつらと比べて、白いものが大好きな変態とあのポニテ副団長はまだカワイイなもんよ。
救世主と言っても、このふらぐなんちゃらの国って一体なにがしたいんだ?
加えて、ユウシャが言ってたディスヒュマに殺された友と恋人も気になるけどな……もしコイツは本当にソウジだったら……っておい!勝手に人を殺すな!!
「おい、セイヴィアズと名乗ったな。お前らの目的は何なんだ!リフィックスをぶっ壊すつもりか!?」
「リフィックスを滅ぼす?そん――」
「それは計画そのものではありません、ただの第一歩ですわよ。」
ユウシャに言い出させるつもりだが、真っ黒い姫のほうが勝手に自爆し始めた。
さらっと口が滑って言っちゃいけないものを言っちゃった人は個人的に好きだよ、情報を得るための意味でね。
「我々セイヴィアズはフラグティオスの独立軍隊のひとつで、光の女神シルヴィアの名の下に、魔人族をこの世から一人残らず消すのが、セイヴィアズの目的ですわよ。」
「……リフィックスは、人間と魔人族が共存できる都市として、我々フラグティオスの理念に対してただの障害だ。故に、手始めにリフィックスから制裁を下す。」
奴隷販売を許すのようにダメな所もあるけど、色んな種族が共存できる自由都市としては良い場所だと思ってるよ。もちろん殺人鬼は例外よ!
「ここにいる人たちはみんな、魔人族に色々の加害を受けてしまった。大事な人が目の前で殺されたり、レイプされたり、あるいは自分にとんでもない恥をのこされたり。」
「やられたら、倍で、違いますわ、三倍、あるいは十倍でやり返しますわ。そう、昔、魔王ウィックがフラグティオスを一夜で凍結したのように。」
ん?どこかで似たようなエピーソードを観たことがあるような気がするですけど?
でもオレが観たのは結果というか、その原因と過程?
「で、色んな所で爆発を起こしたのは、お前たちか……」
「ええ、そうですわよ。数日前から、爆発の魔法を埋め込んだ魔晶石をあっちこっちに設置しましたわ。しかも爆発時間は全部この日に設置しました。」
「今日は決勝戦だから、テンションがマックス状態になった人たちは混乱に弱い。故に決勝戦の日を選んだ。」
爆発の魔法?そういえば、オレの知ってる魔術はあちらにとっては魔法だったのか。
うえぇ……まさか同じ日を選んで行動するのって、オレ以外にも他のやつがあるのかい!?
でもおかげでアイツらが逃げやすい大混乱になったね。
だけど、オレにとってめっちゃ面倒な変数が出ちゃったから、今じゃこっから脱出するのが一番ややこしいことになった。
それにしても、光の女神の名の下にっか……あの女神への信奉が、ふらぐなんちゃらという国のモチベーションか。結論、狂信者こわい。
考えてる間に、全員氷漬けられるほどの魔粒子がようやく溜まった。
「えいッ、邪魔!お前はあのピエロと同じぐらいしつこいんだよ!暫くここで氷像になってくれッ!」
「魔人族め、逃がさん!!」
二本目のダガーを使ってユウシャと距離を取ったあと、オレは素早く空中へ逃げて、泥棒ネコと戦ってる時、魔粒子を凍結したのように、今回はリングに立ってる全員をターゲットとして氷結する。
気のせいか、氷の中にちょっぴと黒い粒子が混ざってるような……?まぁ良い、アリベデルチッ!いや、もう会いたくないから、氷像たちに言わないほうが良いか。
だが、反応が速いユウシャは地面を強く蹴って空中に跳んで追撃しに来た。
やばい、アイツの剣が急に光って視野が潰された、しかも手元に魔粒子の塊もない、防御ができん。
…………終わった…カンッ!――カンッ?
「今のうちに逃げて、ディケイ!」
まだぼんやりにしか見えないが、ユウシャは空中から消えたということぐらい分かっていた。それに、オレを助けたあの声の持ち主は……リウスッ!!
地面に挿してるのは槍?なるほど、リウスはあの槍を投げてユウシャを撃ち落としたか。
丁度いい危ない時に現れて、しかも定番として闘技場の一番高い所に立ってるなんて、お前めっちゃ主人公らしく見えるじゃん!でいうかかっこうぃい!!
「サンキュー、リウス!あとで晩ご飯を奢ってあげ――うぇ?」
剣が……剣がすごい勢いでオレの顔と擦ったあと、一直線でリウスに飛んでいた。
その剣を槍みたいに投げ出したヤツは……ユウシャまたお前かい!?
早くそこから離れろ、リウスウゥぅゥウ――ッ!!
「私のリウスくんに、手を出すなぁぁああああ――ッ!!」
どこから出したのも分からない少女の絶叫を聞こえた同時に、黒き光束が上空90°から剣を撃ち落とした。
そしたら、親分ッ!上空から淡い紫色の少女がゆっくりと降下しにきた!しかも波紋のように内から外へ拡散してる黒い粒子でできた綺麗な翼でね!
降りてくる少女の姿、まるで天使かあるいは神のようだ。翼は黒いんだけど。
あ…れ?淡い紫色のロングヘアーって……どこで会ったような気がするけど……
「きっ、キャスニーエ!?」
「はいッ!あなたのキャスニーエですッ!」
リウスの問いに対して、少女は力強く、若干嬉しそうに答えた。
まるで……長年の遠距離恋愛が終わって、やっと愛しい彼に会えた少女のように生き生きしてる。
おや?もしかしてリウスくんの彼女――
……のようには見えない、むしろやばい臭いがぷんぷんしてるですけど!?
でいうか思い出した!闘技大会初日にガスの宿で会った裸の少女じゃん!
事件は、加速します。
どうも~、ディケイというニセツカサはどんどん面倒くさい事態に巻き込まれてしまった。
ちょっと狂気さが足りないけど、セイヴィアズはどんなに残酷なことでもやれる集団です。
そして、やっと出番があるキャスニーエさんも、颯爽登場。
次回、キャスニーエの出番とニセツカサの大脱出。
リウスとキャスニーエの関係についても、少しだけ公開しますよ。
次の更新日について、決して十月にはならないよ?
PS:レースと脱獄、楽しかった。クンショウ、ヨコセ!!




