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まことの店  作者: 双鶴


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34/36

34話

「誠、次は少し博打を打とう」

真琴の声はいつもより強かった。

教授の助言を胸に刻み、現状を確認した僕らは、

あえて一度だけの特別イベントを企画した。


──地元プロクラブの協力。

怪我で試合に出られない選手を招き、解説をしてもらう。

試合はいつものテレビ放映ではなく、クラブの会場に設置された定点カメラからのオンラインライブ。

その映像を店のディスプレイに映し出す。


「座席だけじゃなく立ち見も可能にしよう」

真琴が提案した。

「その代わり、食事はなし。ペットボトルだけに絞る」


入場料は2000円。

クラブのユニフォームを着て観戦するか、ファンクラブ会員なら500円割引。

さらに、試合後には選手のサイン会を設けた。


「これは博打だね」

僕はノートに書き込んだ。

──入場料2000円。

──サイン会付き。

──ユニフォーム着用・ファンクラブ割引。


イベント当日、店は熱気に包まれた。

ユニフォーム姿の観客が立ち並び、ディスプレイに映る試合を食い入るように見つめる。

怪我した選手の解説は臨場感に満ち、観客の歓声が店を揺らした。


「普段とは全然違うね」

学生が笑った。

「立ち見でぎゅうぎゅうだけど、これも楽しい!」


こでまりはディスプレイの前に座り、尻尾を揺らした。

その姿はまるで「博打も挑戦の一部」と告げているようだった。


イベントが終わる頃、選手のサイン会には長い列ができた。

観客の笑顔と熱気は、普段の自習室やカフェとはまるで違う。


真琴が深く息を吐いた。

「誠、これは一度きりの挑戦。でも、店の可能性を示せたね」


僕は頷いた。

──博打的イベントは、居場所の新しい一面を照らし出した。


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