第十九話 ロックエリア
黒い車には黒髪、黒スーツの女性と探偵のコスチュームを身にまとっている茶髪の男性の二人がのっていた。
「助手、暇だ。目隠しとってもいいかな。」
「ダメです。」
「この時間はいつも退屈だ。」
「それなら、行先でも推理してみてはどうですか。」
「チッチッチッチッ。」
真名慎太郎は人差し指以外の指を織り込む形をつくり、その手をメトロノームのように左右にゆらす。
「助手はわかってないなぁ、何の情報もなく行き先を当てるのは推理じゃないよ。」
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「つきました。」
阿黒賢一は川名によって装着されていた目隠しと耳栓をとれ、光と音が入ってくる。
阿黒賢一が目にしたのは前回のギャンブルの時と同じ場所。長い通路に赤いカーペットが敷き詰められていて通路の端々にはいくつもの扉が着いている。そして、奥にはとても大きな扉がひとつあり、その目前に四角いゲートのようなものが設置してあるというものであった。
前回と同じく川名とはここでお別れとなり、阿黒賢一は一人で奥にある大きな扉に向けて歩みを進める。
四角いゲートを通過する前に金属類と貴重品をあずけ、身体検査を受ける。それに合格したのち、ゲートを潜る。すると前回と同様にピコンという音が廊下に響き渡るのであった。
その後数分の間大きな扉の前で阿黒賢一が待機していると、となりにいる黒スーツのスマホが音をたてる。
黒スーツの男性がスマホを確認すと、隣にいる阿黒賢一にたいして声をかけてきた。
「問題ないようですので、どうぞお入りください。」
前回と同じように目の前にある大きな扉が鈍い音を立てながら自動でゆっくりと開いていく。
完全に扉が開くと、阿黒賢一はまたしても軽い足取りで扉の先に足を踏み出すとそこには階段が存在していた。
阿黒賢一は黒スーツの男性らに見られながらもその階段をのぼり、たどり着いた先はなんと屋外であった。
自然に囲まれたそこにはとても大きな敷地に白い大きな正方形状の家みたいなものが二つ離されて設置されており、そこにはB-9と黒文字でしるされていた。
白い正方形の家と家の間に黒スーツの男性が一人メガホンを持ってたっていた。おそらく彼が今回のゲームマスターであろう。
阿黒賢一が地上にあがってきてからものの数秒で阿黒賢一が上がってきた階段の右側にある同じような階段から対戦相手であろう探偵コスチューム姿の男性が姿をあらわした。そして、地上に出るやいなや阿黒賢一の方に向かって歩みを進めてくる。
「君が阿黒賢一くんかな。」
真名慎太郎は握手を求めるかのように手を阿黒賢一に突き出す。
「そうだよ。よろしくね真名さん。」
阿黒賢一は突き出された手を握る。
真名慎太郎は握手をしたまま阿黒賢一のことをジロジロと数十秒もの間見回す。
「なるほど、賢一くんはとてもお強いんですね。しかも、人の心を読むのが得意そうだ。」
「そこまで評価してくれるとは、ありがたいね。」
「感謝とかはいらないですよ。正当に賢一くんのことを評価したまでですから。」
今度は阿黒賢一が真名慎太郎を見つめる。
「把握した。」
真名慎太郎にすら聞こえないほど小さな声で呟いた。
二人が軽い挨拶を終えると黒スーツの男性がメガホン越しに声をはなつ。
「それでは、役者が揃いましたので、はじめていきたいと思います。まずは今回のゲームマスターを務めさせていただきます。名前を十勝と申します。そして、今回ギャンブルをしてもらうギャンブラーの紹介です。クォーターランク四連勝の男を破ったダークホース。阿黒賢一。相対するのは、クォーターランク二連勝中、推理オタク、真名慎太郎。この二人には二億円をかけてギャンブルしていただきます。」
「そして、今回おこなうギャンブルはこれです。」
ゲームマスターである十勝は真横に設置してある大きな白い正方形の家のようなものを指さす。
「その名も、ロックエリアです。今回行うゲーム、ロックエリアはレベル1相当のゲームですので、お金以外に失うものは何もございませんので、安心してください。」
そんなことで喜ぶものはこの野外にはいなかった。
「しかしながらロックエリアは特殊なゲームでして、相手のことを読み合うゲームではございません。今回は個々の推理力が試されるゲームとなっております。」
その言葉を聞いた瞬間、真名慎太郎はガッツポーズをとった。
「それでは、これよりロックエリアのルール説明をさせていただきたいのですが、ルールはひとつしかございません。それは、ロックエリアからの脱出です。ですが、自身の持てる全ての力を足さないとロックエリアからの脱出は難しいと思います。ただし、禁止事項は二つほどあります。それは、機械の破壊と扉の破壊です。」
ゲームマスターである十勝は移動し、白い家にある唯一外と繋がる扉を開ける。
「プレイヤーの御二方にはそれぞれ別のロックエリアに入ってもらい、制限時間1時間30分以内に先に脱出できたほうが勝利です。ありえないと思いますが、万が一両者共に脱出出来なかったら両者共に敗北となりますのでその点には注意してください。ルール説明はこれにて終了となります。何か質問などはありますでしょうか。」
ゲームマスターである十勝は正面にたっている阿黒賢一と真名慎太郎を順々に目でおい、質問がないことを確認すると続きを話しはじめた。
「それでは、ロックエリアにお入りください。あぁ、そうだ。その前に1つあなたがたにヒントを差し上げます。それは、つづくものです。」
十勝が発言したのと同時に各々の階段から黒スーツ姿の男がやってきた。
そして、黒スーツ姿の男が阿黒賢一を右の真名慎太郎を左のロックエリアに案内した。
真名慎太郎が去り際に阿黒賢一に言葉を投げかける。
「今回のゲームは推理、ということは賢一くんに勝ち目はないですよ。」
「それはわからないさ。なんたって俺も推理が得意なんだ。」
「多分それは僕程じゃないと思いますよ。」
そんな会話をしたのち、各々がそれぞれのロックエリアに入室した。
扉を閉める時にそれぞれの黒スーツ姿の男が阿黒賢一と真名慎太郎に声をかける。
「パスワードは三回まで、一回間違えてしまったら、10分間はパスワードを入力できません。そして、相手にヒントを与えることになりますので、くれぐれも慎重に。」
ガチャン
阿黒賢一がロックエリア内に立ち入った途端にロックエリアの中で唯一外と繋がっていた扉が音と共に閉まり鍵がかかる。
そして、扉の内側には0~9の数字と決定と書かれたボタン、残り三回と表示されている画面で構成されている機械が取り付けられていた。
おそらく先程黒スーツ姿の男が言っていたパスワードとはこのことであろう。
そしてこの機械が鍵の役割をしていて、この機械に正しいパスワードを入力すれば外に出られるという仕組みだろう。
ロックエリアの床には白い正方形のタイルが3×3で敷いてあった。
天井も同じく白い正方形のタイルが3×3で敷き詰められている。
阿黒賢一の目の前と右側に白い扉があり、四つの門にはそれぞれロウソク型の電球が設置してあり、光を放っていた。
そして、真ん中の白いタイルの上にペンと小さいノートがおいてあった。
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