外伝 AI
――さわさわ……さわさわ…――
木の葉の擦れる心地良い音が聞こえて来る。
その木の葉の間から差す木漏れ日が、これまた暖かくて気持ち良い。
背中には落ち葉の柔らかな感触があり、寝心地は完璧だ。
このまましばらく、横になっていたい気分だ。
……あれ? そう言えば私は、いつからここで寝ていたのだろう?
私は重いまぶたをゆっくりと上げていく。
すると、視界には、それまで感じていた通りに折り重なった木々の枝葉が入ってきた。
天気は良い様で、その枝葉の間からは真っ青な快晴の空が見える。
私は大きく伸びをすると、上体を起こす。
段々とはっきりして来た頭で周囲を見渡すと、そこには、木、木、木、木――――
生まれてこの方、ここまで沢山の樹木が立っている所を見た事は無い。
ここはもしかして、昔話に聞いた事が有る森という所なのだろうか…?
この世界に、まだこんな緑の豊かな場所が残っていたという事に私は驚く。
思わず見惚れてしまっていた私は、軽く頭を振ると頭を働かせ始める。
そして、呟く。
「ここは…どこ?」
記憶に有る限りでは、私はカズヤと共にDr.の依頼で遺跡に行く事になって……。
そう、そこで瓦礫に埋もれている柱の様な物を見つけて、それが急に光り出して……。
記憶はそこで途切れている。
それ以上の事はどれだけ考えても出て来そうにない。
「カズヤ? Dr.? 誰か、誰か居ないの?」
急に心細くなってきて、私は周囲へとそう呼び掛ける。
けれども、幾ら待っても一向に返事は無い。
誰も周囲に居ないのなら、何時までもここでこうして寝転がっている訳にはいかない。
そう思って、私が腰を上げようとしたその時、
――ガサガサ……ガサガサ…――
降り積もった落ち葉が踏みしめられる音が、どこからか聞こえて来る。
「だ、誰? 誰か居るの?」
私がそう呼び掛けるのと、木々の間から一つの人影が現れるのは同時だった。
短く刈り上げられた金色の髪の毛に青い瞳。ぱっと見は三十代後半といったところか。
見覚えの無い人物だったが、何よりもその服装に私は驚いた。
何故なら彼は、歴史の本や映画などの中でしか見た事の無い、鋼鉄製の甲冑鎧を身に着けていたのだから。
「あなたは…どうしてこんな所に一人で?」
私を見つけたその人物はそう言って、私と同じく驚きの表情を浮かべている。
「わ、分かりません。気が付いたらここで…ここは何処なのでしょうか?」
恐る恐るそう問い返す。
すると、その男性は私の質問に丁寧に答えてくれる。
「ここは、レイツア城から程近い森の中です。街から近いといっても魔物が出る事もありますので、一人では危険ですよ」
聞いた事の無い地名。と言うか、城って何? いや、城が何かは分かるけれども、それもやっぱり過去の建物だ。
そして、マモノって何かしら。危険な物…って事よね。確かに、森の中には色々な生き物が居て、危険もあるという事は聞いた事はあるけれども……。
そんな事を考えていると、現れた人物はいつの間にかすぐ目の前へと歩いて来ていた。
「とりあえず、掴って下さい」
伸ばされたその男性の手を掴むと、一息に私の身体は引き上げられる。
「あ、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる。
「いえいえ、お気になさらずに。っと、申し遅れましたが、私はクエロード。クエロード=クリスマスと申します。レイツア騎士団に所属する騎士です」
そう言って、目の前の男性、クエロードは自己紹介をした。
To be continued.




