旅立ち
「ウィーン」
扉の開く機械音が響く。
オレはそのまま部屋の中へと入って行く。
「あら、早かったわね。いつもみたいに、もっとゆっくり寝ててくれても良かったのに」
もう既に聞き慣れた、金髪女の嫌味な言葉が出迎える。
「はん。待ちに待ったこの日にゆっくり寝てられるかよ。もしかして、まだ準備が出来て無いとかぬかす気か?」
「否。こちらの用意は既に終わっている。だがまだ二人が来ていないのでな」
答えたのは金髪女ではなく、口髭を生やした中年の男だ。
「そういえば、立ち会うんだったな。ま、またどこか訳の分からない所に一人飛ばされるよりは、待った方が得策か」
「あら。あなたにしては良い選択ね。少しは頭も使えるようになった様でなによりだわ」
金髪女の言葉は無視し、オレは部屋の中央にある台へと近づく。
その上には、銀色の機械の部品の様な物がただ一つ置かれていた。
「これがそうなのか?」
「ええそうよ。それをあなたのアームに組み込めばどこでも好きな場所、好きな時間に移動する事が出来るようになるはず。いえ、そのアームなら、新たな『時』を創り出す事すら可能かもしれないわね。あなたにその覚悟があれば、の話だけれども」
覚悟? そんなもの今更確認するまでもない。
オレはアイを見つけ出す。そのためにはどんな場所だろうと行ってやるさ。そう、何だってやってやる。
そして、アイと共に必ずこの世界に戻って来る――あいつとの約束を果たすためにな。
終
今回で、この話はお終いです。
最初から最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました。
如何でしたでしょうか。
中途半端な終わり方だと思われたかもしれませんが、あくまで旅立ちとしての物語として書きましたので、ここで終わりとなります。
続きもまぁ考えていますが、どうなることやら。きっとカズヤはいろいろな世界を旅するんだろうなぁ、と思います。
元々この話は昔書いたものなので、それを修正・加筆しながらアップしていたのですが、改めて読み直すと意外と直したくなるところが沢山出てきて、思った以上に時間がかかってしまいました。
なので、ゼロから書きながらだと、もっと時間がかかるのだろうと思いますが、また次を考えていきたいと思います。
感想、評価など頂けると次の話への活力になると思います。
ではまたそのうちに。




