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ノブレスオブリージュ(新作エピソード)

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「ふへぇ〜……。」


「着くなり溶けるな。」




きはだが部室にやって来るなり、テーブルの上にぐったりと上半身を横たえた。




「……ひいろちゃんもやってみるぅ?」


「そんな下品な真似はできないな。」


「お〜、トップレスオブリージュだぁ。」


「『ノブレス』オブリージュだろ、脱ぐな脱ぐな。」


「ちっ、知ってやがったか。」


「貴族たるもの、誇りを持って施せ……ってヤツだな。」


「うんうんだいたいそんな感じ〜。」


「まさかきはだの口からそんな言葉が出て来る日が来ようとはな。」


「きはだちゃん貴族っぽくない〜?」


「貴族は机の上で溶けない。」


「すんごい偏見……。」


「そうか?貴族といえばだいたいみんなシャンとしてて所作が鼻について高笑いしてるのを思い浮かべるだろ。」


「高笑いしてるイメージあるねぇ。」


「だろ?」


「…………やってみて。」


「狙いはそれか。」


「はて、なんのことやら。」


「ワタシの高笑いなんて見たってつまらないだろう。」


「知り合いの醜態を見ることに意味があるのだよ。」


「ノブレスオブリージュとは真逆の精神だな。」


「きはだちゃん貴族じゃないも〜ん。」


「貴族?」




白ちゃん入室。




「きはだに品性を説いていたところだ。」


「あ〜、確かに貴族ってシャンとしてて所作が鼻についてなんか高笑いしてるわよね。」


「貴族像おんなじで草ァ!」


「……ま、今は絶滅危惧種だし確かめようもないけどね。」


「白ちゃんは高笑いできるぅ?」


「高笑い?」


「さっきからきはだが見たがってるんだ。」


「なんでよ……。」


「いや〜ねぇ、この前ここら辺歩いてたらどこからともなく聞こえたんだよぉ……『ホ〜〜〜〜ッホッホッホ〜』……って。」


「それサンタクロースじゃない?」


「むぅ!?きはだちゃんの高笑いが下手っぴだと思ったなあ……!?」


「「うん。」」


「ひどいや……ひどいや。」


「高笑いなんて普通に生きてりゃする機会ないんだから気にしなくて良いわよ。」


「嫌だい嫌だい、きはだちゃんも上手に高笑いできるようになってフカフカのソファーで瓶のコーラあおりた〜い!」


「どこぞのサンタが思い浮かぶわね……。」


「サンタクロースは貴族じゃないのぉ?」


「確かに施しの権化ではあるが。」


「貴族っていうなんかフィクション感薄れるわよね〜。」


「なに!?サンタさんは、フィクションなのか……!?」


「え"…………。」




12月でもないのに部室の空気が凍てついた。




「…………あ、もしかし……て…………。」


「いや流石にプレゼントに夢見るのは卒業したからな?」


「冗談キツいわっ!」


「騙されてて草ァ。」


「きはだはまったく騙されなかったな。」


「にゃはは、きはだちゃんにそんな純粋さなど残っておらぬ。」


「最近の高校生はリアリストなのね〜。」


「なに、リアリストなのは悲しいことじゃないさ。」


「そう?」


「ああ。おばあちゃんは言っていた……。『子どもはクリスマスに夢を見て、大人はクリスマスに夢を見せるものだ』と。」


「あら素敵。」


「素敵もなにも、リアルを知らなければ夢は見せられないだろう。」


「それもおばあちゃんの受け売り〜?」


「さあ?どうだろうな。」


「じゃあ世界中の子どもに夢を見せまくってるサンタさんは大人中の大人ね。」


「施しの権化だもんな。」


「こんな所にノブレスオブリージュが……。」


「そうそう、どっかの国のお偉いさんが貧しい家にお金を放り込んだのがサンタさんの始まりなのさ……。」


「へぇ〜、サンタさんの始まりってそんな感じなんだ?」


「随分詳しいんだな。」


「まあねぇ〜。大人なきはだ少女は夢を見せるために親から色々と教わったもんさ。」


「ほう?きはだ様の頭脳は随分と殊勝な理由でできたんだな。」


「まあねぇ。」


「へ〜、素敵じゃない。ノブレスオブリージュってやつ?」


「……かもねぇ。」




きはだは窓の遠く外をぼんやりと見上げ、ひいろと白ちゃんがその視線を追うと、サンサンと輝く太陽が乾いた空を照らしていた。




「……そういやなんでクリスマスの話してたんだ?」


「……さあ?」








あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ


白ちゃん:お疲れ様♪


あさぎ:[今日なにしてたの?]


ひいろ:ここでなら普通に喋れるだろ


あさぎ:[うっかり読み上げるといけないし]


白ちゃん:まだ喉痛いの?


あさぎ:[いえっさ]


白ちゃん:よし、とりあえず元気そうだわ


きはだ:今日はサンタさんのお話だよぉ


あさぎ:[もうそんな季節か]


ひいろ:北半球に帰って来れそうか?


あさぎ:[波乗りしながらいく]


きはだ:オーストラリアバージョンだぁ


白ちゃん:バージョン?


ひいろ:南半球は季節が逆だからな


きはだ:バージョンというかリージョン?


白ちゃん:12月は向こうだと夏なのね




あさぎ:[ひいろのおばあちゃんって何者なの?]


ひいろ:ワタシの祖母だが


白ちゃん:そりゃそうなんだけど


ひいろ:強いて言うならサンタさんみたいな人だな


きはだ:波乗り得意?


白ちゃん:たぶんそこじゃないと思う


あさぎ:[コーラか……?]


ひいろ:コーラはビン派だな


きはだ:思わぬ接点で草ァ!


ひいろ:コーラ飲みたくなってきたな……


白ちゃん:夜飲むと太るわよ?


あさぎ:[サンタさんみたいなお腹になっちゃうぞ〜]


ひいろ:やめておくか

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