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技あり(新作エピソード)

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。


『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……ではなく、屋上。


まだまだお空が真っ青な放課後に、あさぎ、きはだ、ひいろの3人と、みどり先輩は屋上の清掃に勤(いそ)しんでいた。




「ねえねえひいろちゃ〜ん……。」


「どうした?」


「モップがけ、たのしぃ?」


「楽しいかと言われると……微妙だな。」


「楽しくないのにやってるの?真面目だなあ……。」


「ああ、誰かさんと違ってな?」


「言われてるよきはだ。」


「言われてるよぉみどり先輩?」


「ひゃいッ!?」




3人からほんのちょっと離れた所で黙って清掃していたみどり先輩は、突然話をふられて声が上擦った。




「おい、部活のノリで接したら鶸田(ひわだ)先輩が困るだろう……!」


「あ、いえ私は別に……!?」


「……すまない。」


「……だそうですよみどり先輩?」


「へ?」


「ねえねえみどり先ぱぁ〜い、ごめんなさいされたらなんて言うんだっけぇ?」


「え……ええ!?ええっと……、


「言ったそばから困らす


「良い……、よ?///」




どこかでモップが倒れる音がした。




「……ひいろ、モップ。」


「あ、ああ!?すまないっ、手が滑った……!?///」


「「技ありッ!」」



きはだとあさぎが声を揃えた。




「何がだよっ!?///」


「やりましたねみどり先輩。」


「もうちょっとで勝てるねぇみどり先輩。」


「はい♪」


「勝手に戦わせるな。」


「ほぉうほう?つまりひいろちゃんは『みどり先輩』と仲良くしたいと……。」


「こりゃもうユニオン……、いや!ユナイトだね。」


「ユナイト?」


「みどり先輩、もしかして英語……あんまり得意じゃ……ありません?」


「ボケ潰されてて草ァ!」


「す、すみません……。勉強の方は……その、ちょっと……。」


「だってさひいろ。教えてあげれば?」




あさぎはひいろの背中を手のひらでバシンとしばいて景気のいい音を立てると、そのままモップを持って屋上の反対側へと歩いていった。




「おおいっ!?文系科目はあさぎの方が上だろう!それに試験の成績ならきはだの方が


「いえいえとんでもございやせん、」




続け様にきはだがひいろの肩を強めに叩いた。




「きはだちゃんは全教科80点しか取れない上位層止まりです故……、」


「わざとだろうが……ッ!」


「あとは若い2人でお楽しみといきやしょう……ゲッヘッヘッヘ……♪」




きはだは時代劇の小悪党みたいなゲス笑いを浮かべると、そのままあさぎが向かった方へと歩いていった。




「……変なやつ。」


「はい、確かに変ですね♪」


「迷惑だったら言ってくれな?」


「いえいえとんでもありません、ちょっと強引で困るところはありますけど……ありがたい限りです♪」


「ならいいんだが……。」


「つまるところ、ありがた迷惑ですね!」


「それ、たぶん使い方間違ってるぞ……。」


「ええっ!?」




一方、あさぎときはだサイド。




「お〜、来た来た。」


「フッフッフ……これできゃつらは2人きりというものよ。」


「やるじゃん……♪」


「んん〜??」




きはだはあさぎの口角が上がったのを目敏(めざと)く見つけた。




「……なに?」


「いやぁ〜、今日のあさぎちゃんは随分と楽しそうだなぁ〜って、ねぇ。」


「きはだだって楽しんでるでしょ?」


「それはそうなんだけど……いつもアジの開きみたいなお目目してるのあさぎちゃんが、ねぇ……。」


「開いちゃったら私がいつも白目剥いてるみたいじゃん。」


「おっと、こいつぁ失礼。店先の間違いだったぜぃ。」


「どっちにしろ死んでるなあ。」


「ね、なんでなんでぇ〜?もしかしてあさぎちゃんもみどり先輩のこと応援したいのかい?」


「ハッ。……ごめんだね。」




あさぎは乾いたため息を吐き捨てた。




「とか言っちゃって〜、


「私はあのドタバタ動いて鳴る新しいおもちゃを眺めて、電池が切れる瞬間を心待ちにしてるだけだよ。」


「うわぁ……。」


「お?まさかきはだにガチで幻滅される日が来るなんて、ちょっと驚いたかも。」


「いやぁ、揶揄って楽しむのはまだわかるけどさぁ……流石に他人の色恋をそう言う目で見るのは…………ちょっとわかんないや。」


「きはだも、ラーメン屋のダクトみたいに発情期フェロモン撒き散らすメスどもに囲まれてみればわかるよ。」


「はは……っ、こいつぁ救いようのねぇ荒(すさ)見っぷりだぜ。」


「きはだはまだ引き返せるよ。……ほれ、あっちへお帰り?」




あさぎはシッシッ、と追い払うジェスチャーできはだに向こうへ戻るよう促した。




「だが断るッ!」


「えぇぇ……。」


「きはだちゃんはみどり先輩を応援する者として、きゃつらに2人きりの時間を作ってあげるのさ……。」




きはだはひいろとみどり先輩から視線を外して遠くの空をぼんやりと眺めると、そそくさと掃除用具を片付けてあさぎの制服の背中を摘んで昇降口へと引っ張っていった。




「私はもうちょっと眺めてたいんだけど。」


「フッ、きはだちゃん達はクールに去るぜ……ッ。」








きはだ、あさぎ(2)




きはだ:やあやあ


あさぎ:今日の投稿ならもうしたでしょ


きはだ:どうしてあさぎちゃんの身長はそんなに大きいの?


あさぎ:それはきはだを見下ろすためだよ


きはだ:じゃあどうしてあさぎちゃんの自己肯定感はそんなに高いの?


あさぎ:それはこの顔とお母さんゆずりの襟足があるからさ


きはだ:うわぁ……


あさぎ:いや、お口が大きくて食べられるとこまで続けないの?


きはだ:ごめん、つい本音が


あさぎ:なら仕方ないかあ


きはだ:あとその襟足お母さんゆずりなんだねぇ


あさぎ:カッコいいでしょ


きはだ:いや別に


あさぎ:なんだとぉ!?


きはだ:じゃあそれ切り落としたらカッコよくなくなる?


あさぎ:下半身を切り落とした所で人がアリと目線を並べると思う?


きはだ:だ〜めだこいつぁ救いようがねえや


あさぎ:で、それはそうと何の用?


きはだ:話が早くて助かるよ


あさぎ:きはだは意味もなくPINEでウザ絡みしてくるような奴じゃないからね


きはだ:へへ、照れるぜ


あさぎ:で?本題は?


きはだ:今後のみどり先輩とひいろちゃんのことについてお話しておこうかと思ってねぇ


あさぎ:うわめんどくさ


きはだ:なにおう!?


あさぎ:きはだは応援、私は傍観で話ついたでしょ?


きはだ:え〜、応援しないのぉ?


あさぎ:私を面倒事に巻き込むつもりなら元を断つ


きはだ:物騒だねぇ


あさぎ:勝手に恋して失恋されて恨まれるのはもうたくさん

あさぎ:手前(てめえ)の性欲くらい手前で落とし前つけて欲しいもんだね


きはだ:みどり先輩の恋心は性欲じゃないと思うけどなぁ


あさぎ:恋なんて綺麗な言葉で隠した所で性欲だよ、例外なく

あさぎ:恋なんて幻想サンタクロースと一緒に卒業しときな


きはだ:なにおう、サンタクロースは資格試験もあるんだぞぅ!


あさぎ:そういえばあったなあ……


きはだ:にゃーーっはっはっは!恐れ入ったか恋は実現するのだぁ


あさぎ:ま、夢見るのは勝手だよ

あさぎ:人様に迷惑かけないならね


きはだ:恋に親でも殺された?


あさぎ:殺されたのは私の純心ってとこかな


きはだ:それで冷凍アジみたいなお目目に……


あさぎ:そーゆーこと


きはだ:そこは否定するとこだよぉ


あさぎ:私は冷凍アジじゃなかったらコバエに集られる説明がつかないし


きはだ:コバエだと思ってる子の中に良い子がいるかもしれないよぉ〜?


あさぎ:良い子は顔で寄って来ないから


きはだ:う〜ん、この上ない論破


あさぎ:そうだよ悪い子筆頭さん


きはだ:いやぁ、きはだちゃんはその擦れ腐った死臭に寄って来たくちなんだけどなぁ


あさぎ:そういえばきはだはイエバエだった


※ep.12参照


きはだ:そーゆーこと


あさぎ:じゃあ良い子かあ……


きはだ:わかればよろしい

きはだ:みどり先輩もきっとイエバエだよぉ


あさぎ:いや、それは違う気が……

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