扉
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「……ん?」
「どしたん?ひいろちゃん。」
「いや、建て付けが……ふぬっ、」
ひいろときはだは、1枚の扉……いつものドアに部室への侵入を阻まれていた。
「まったまたぁ。ひいろちゃん、パントマイムなんていつ覚え
きはだがドアを開けようと試みるが、
「……覚えっ、覚え……!」
それでもドアは開きません。
「な?パントマイムなんて小洒落た真似、ワタシにはできないって。」
「おかしいねぇ……ノブは回るから、やっぱり建て付けだねぇ。」
「白ちゃん呼ぶか?いやでもこんなことに駆り出すのは流石に申し訳ないか……。」
「よし。じゃあ頑張れひいろちゃん、フルパワーだぁ。」
「……きはだがやればいいんじゃないか?」
「いえいえとんでもありやせん、あっしはただ、ひいろちゃんにドアをガッてやらせて、『ひいろちゃんがドア壊したァァアア!!』って大声で罵りたいだけですぜ旦那。」
「きはだの頭で練習していいか?」
「頭ガッてやられたら新たな扉開いちゃう……。」
「……仕方ない。ここで話すか。」
「だねぇ。」
2人は部室前の壁によりかかって雑談を継続することにした。
「……夫婦喧嘩したときって、こんな感じなのかなぁ?」
「夫婦喧嘩って相手を締め出すものなのか?」
「う〜ん、やる人はやるんじゃないかなぁ?ひいろちゃん家は?」
「うちは、物心つく前から両親とも単身赴任だったからなあ……。」
「おっと、こいつぁ失礼。」
「いや、良いんだ。朧げにしか覚えていないが……締め出さないで縛っていたな。」
「OH……。」
「……きはだの家はどうなんだ?」
「うちは喧嘩してるところ見たことないなぁ……。」
「そうか。よほど仲良しなのか、きはだに見せないようにしてるのかもな。」
「う〜ん、両方かなぁ?」
「え?」
「ちょっとした口喧嘩はよくするんだけど、そういう日は決まって2人でお部屋に閉じこもっちゃうんだよねぇ……。そして朝まで出てこない。」
「えっっっ
「中から暴れてるような音がするんだけど、次の日は仲良しなんだよねぇ。」
「おま、そんなのナニ
「……何してるんだろうねぇ?」
きはだはニヤつきながら疑問を投げ続けた。
「きはだお前……知っててワタシの反応を愉しんで
「まあ半分嘘なんだけど。」
「貴様……!!///」
「あれ?2人ともこんな所で何してるの?」
「ああ、白ちゃん。」
「白ちゃんだ〜。」
2人を見つけた白ちゃんが歩み寄ってきた。
「部室の扉の建て付けが悪くなってるみたいで、中に入れないんだ。」
「うんともすんともだよぉ……。」
「本当に?」
「嘘ついても仕方ないよぉ。」
白ちゃんは扉をジロジロと見つめ、やがて
「……、ちょっと試してみてもいい?」
「いいけ
「ふんっ!!」
同意の返事を終えるよりも早く、白ちゃんが扉に前蹴りを見舞った。
そして扉から大きく鈍い衝撃音が跳ね返ると、
「開いたわよ♪」
「「ええっ!?」」
「うんうん、やっぱこういうときは『叩けば治る』!さ、入りましょ?」
「「あ、はい……。」」
白ちゃんとは夫婦喧嘩できないな、と思ったひいろときはだであった……。
あーかい部!(4)
ひいろ:投稿完了だ!
あさぎ:今日行けなくてごめんね
きはだ:反省しないと白ちゃんに蹴られるよぉ?
あさぎ:え?
白ちゃん:蹴らないわよ
白ちゃん:今日はドアのやつ?
ひいろ:そうだ!
あさぎ:ドア?
きはだ:読まないと白ちゃんに蹴られるよぉ?
白ちゃん:人のこと罰ゲーム呼ばわりしないの
ひいろ:白ちゃんって格闘技何かやってたの?
白ちゃん:何も
きはだ:うっそだぁ、あれは『慣れてる』やつの蹴りだったよぉ
ひいろ:どっちかっていうと喧嘩?
白ちゃん:そんな物騒なことしません!小さい頃よくクワガタ取りしてただけよ
ひいろ:ああそれで
きはだ:やっぱり白ちゃん田舎育ち?
ひいろ:都会だと慣れるほどできないよな
白ちゃん:忘れろ
あさぎ:白ちゃん先生は田舎育ちだって
白ちゃん:そんなことないわよ
あさぎ:嘘は良くないよすみ姉www
白ちゃん:あ!?モーラあんた……!
きはだ:お隣さん(実妹)降臨www
ひいろ:また一緒にいるのか仲良いな
あさぎ:だいたい田舎育ちなんて隠すことでもないっしょ
白ちゃん:よし、今週末2人で里帰りすっぞ!
白ちゃん:家へのメールは……『白久琥珀生存報告』でいいか
あさぎ:すみませんでしたぁぁぁあああ!!!
ひいろ:そんなに嫌なのか
あさぎ:海の向こうで名前変えるくらいには
きはだ:そこまでかぁ……
あさぎ:っていうかすみ姉!私のこと家には話してないよねえ!?
白ちゃん:話したらまた国外逃亡するんでしょ?
あさぎ:さっすがすみ姉!私のことよくわかってるぅ♪
きはだ:ねえねえモーラさん、白ちゃんって喧嘩強かったぁ?
白ちゃん:おい
あさぎ:喧嘩?
白ちゃん:『叩けば治る』か……?
あさぎ:ワタシ、オネエチャンガケンカシテルトコ、ミタコトナイ。
ひいろ:真相は闇の中、か……




