ネイバーネバーエスケイプ
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図いけず女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績アーカイブを作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
……ではなく、学校から少し歩いた住宅街。
「珍しいね、2人が私の家に遊びに来たいだなんて。」
「急に部活がなくなって、暇になったからな。」
「白ちゃんの風邪、早く治ると良いねぇ。」
今日は白ちゃんが病欠のため、あーかい部の活動はお休み。
あさぎ、ひいろ、きはだの3人は予定がなくなってしまったのであさぎの家に向かっていた。
(まあ本当は全然元気なんだけどね……っ!?)
物陰に3人を尾行する影が1つ。
仮病で仕事を休んだ白ちゃんである。
(ひいろちゃん、きはだちゃん、頼むわよ……?)
時は少し遡って、昨日の夜。
会議ッ!(3)
[ひいろが参加しました]
[きはだが参加しました]
白ちゃん:よし、2人とも来たわね
ひいろ:あーかい部のトークルームじゃダメなのか?
きはだ:あさぎちゃんハブだぁ、そう言うの良くないんだよぉ〜?
白ちゃん:ごめんなさい、あさぎちゃんにバレるわけにはいかないの
ひいろ:訳ありか?
きはだ:じゃあまずは人にものを頼む態度から
白ちゃん:土下座しながらビデオ通話でもしましょうか
きはだ:おお、冗談だってぇ……
ひいろ:で、なんの会議なんだ?
白ちゃん:あさぎちゃんのお隣さんに会いに行くわよ
きはだ:マジで?
ひいろ:いくらご近所さんイベントが羨ましいからって
白ちゃん:カレーか?肉じゃがか?ちょっと作り過ぎてくる
ひいろ:いや、いいです……
きはだ:今日の白ちゃん怖え
白ちゃん:2人とも明日暇?
きはだ:明日はあーかい部の活動日だよぉ
ひいろ:だよな
白ちゃん:よし!
きはだ:全然『よし!』じゃないよぉ
白ちゃん:突然ですが、私は明日熱が出て学校を休む予定ができたので、顧問不在のためあーかい部はお休みです
ひいろ:ええ……
きはだ:真っ当な大人のすることじゃねえ
白ちゃん:というわけで、明日2人にはあさぎちゃんの家まで案内してもらいます
きはだ:あれれぇ?なんだか熱が出て来たみたい……これは明日学校行けないなあ
白ちゃん:仮病は認めません
ひいろ:なんたる理不尽……
白ちゃん:じゃあ明日の放課後、2人はあさぎちゃんの家に訪問すること。私も後ろから同伴します
きはだ:そりゃあもう尾行ですぜ旦那
白ちゃん:成功したら2人になんか奢ってあげるから、いいでしょ?
ひいろ:『3人に』な
白ちゃん:友達思いなのね
きはだ:友を売らせて言う台詞じゃねぇ
時は戻ってあさぎの住むマンション前。
「着いたぁ♪」
「学校から近いと羨ましいな。」
「ひいろの家だって全然徒歩圏内でしょ。」
「まあな。」
「それじゃあ、」
きはだが先陣切って一歩前に出た。
「おっじゃまっしま〜す♪」
「お邪魔するぞ。」
「お邪魔するわ。」
「え"……?」
あさぎの家を訪ねる声が3つ重なった。
「ん?」
「なんで、白ちゃん先生がここに……!?」
3つ目の声の主である白ちゃんを見つけたあさぎの顔が明らかに引き攣っていた。
「え〜っとぉ、家庭訪問?」
「そりゃ訪問してますよねっ!なんでいるんですか今日熱でお休みって
「仮病よ……ッ!」
「うわ〜かっこ悪ぃ。」
「こんな大人にはなりたくないな。」
「っていうか2人とも!まさかグル
「すまない。白ちゃんが、こうすればなんか奢ってくれるって……、」
「私、『なんか』で売られたの……?」
「まあまあ、あさぎちゃんにとっても損な話じゃあないからねぇ?」
「まったく……どうせ『お隣さん』目当てなんですよね?」
「あら、鋭いのね♪」
「白ちゃんそこは『お前が欲しいんだ』って言うとこだよぉ〜。」
「違うわっ!」
「……はぁ。出入り口じゃ邪魔になるし、とりあえず上がってください。」
しぶしぶあさぎは3人を自室のあるフロアまで案内した。
「『青野』……ここがあさぎちゃん家ね?ということは……、
白ちゃんはあさぎの家の隣にある角部屋に向かって歩き出した。
「いや待って待って!?」
「なんで止めるの?」
「無理やり押し入るのは犯罪ですって!?」
「そうね。」
「『そうね』って……、それにお隣がこっちとは限らないじゃないですか!?」
あさぎが白ちゃんの袖を引っ張るが白ちゃんはビクともしない。
「違ったら反対にも行くだけよ。」
「ええ……!?」
「いったい何が白ちゃんを突き動かすんだ……?」
「さあ?」
お隣さんの室の前でわちゃわちゃしていると、不意に中からドアが開けられた。
「やっほーあさぎ♪」
ドアを開けて出てきたのはもう1人の白ちゃんだった。
「「え"」」
「……。」
「今日も元……き
「見つけたわよ琥珀!!」
「やべっ!?」
白ちゃんに『琥珀』と呼ばれた白ちゃんそっくりなあさぎのお隣さんは咄嗟にポッケから1枚の硬貨取り出すと、耳障りのいい金属音をたててみんなの頭上を越えるように親指の甲で硬貨を跳ね上げた。
「逃がさ……、」
上がった視線を戻すと、白ちゃんの視界からお隣さんが消えていた。
「……あれ?」
硬貨が落下する音が聞こえないことを不審に思った白ちゃんが後ろを振り返ると、左手だけ硬く握りしめたまま走るお隣さんの背中が遠ざかっていった。
「ああ!?こいつ……!!」
「へへっ、あたしを捕まえようなんざ10万光年、早…………。」
風のように軽い足取りで非常階段の前まで走っていたお隣さんが突然立ち止まった。
「待ちなさいッ!」
その隙に追いついた白ちゃんが後ろからお隣さんに組み付いた。
「ちょっ、痛いんだけど……!?待ってあげたのにその仕打ちはないっしょ!?」
白ちゃんともう1人の白ちゃんがもみくちゃになっているところに、3人が追いついた。
「はぁ……。やっぱこうなるかあ。」
「あさぎちゃん知ってたのぉ?」
「ワタシ達には、白ちゃんが2人いるように見えるんだが……これは一体どういうことだ?」
「ちょっ、すみ姉放して……!」
「そういって海の向こうへ高飛びしたのは琥珀でしょ!?もう絶対離さないんだから……!!」
「えっと……見ての通り、2人は姉妹です。」
「白ちゃん、姉妹いたのか……。」
「そういえば前にそんなこと言ってたねぇ。」
「っていうかさっきから琥珀琥珀って、今の私はモーラ・コロルなの!その呼び方やめて!?」
「なぁにがコロルよ!?売れない芸人みたいな名乗りしちゃって……!」
3人に見られていることなんてお構いなしに、白ちゃんともう1人の白ちゃん……『モーラ』と名乗り『琥珀』と呼ばれるあさぎのお隣さんは取っ組み合いを続けていた。
「あんなクソ親の苗字よりよっっぽどマシだっつの!とにかくあたしは自由に生きるんだから……!!」
「それでどれだけ心配かけたと思ってんのよ白久琥珀!」
「まぁた言った!?あたしはモーラなの!白久琥珀なんてもうこの世にいないの……!」
「うっさいパスポート見せやが、れ……!!」
「はぁ……。」
あさぎはクソデカため息をつくと、
「……ぁぁあもう!!2人とも他人ん家の前で騒がないでください!!!」
人目も憚らず大声で取っ組み合いを続ける大の大人2人にキレた。
「「……。」」
「近所迷惑なんでとりあえず家に。」
「「……はい。」」
あさぎに気圧されて4人はあさぎの家にお邪魔した。
「「「「お邪魔しま〜す……。」」」」
「……とりあえずまっすぐ行くとリビングありますんで。家の話はそっちでしてください。」
「は、は〜い……。」
「おお怖っ……。」
あさぎの剣幕に圧倒されて白ちゃんとお隣さんは2人でリビングへ移動した。
「……ひいろときはだはこっち。」
「あ、ああ……。」
「はぁい。」
残った3人であさぎの部屋へと移動した。
「……ふぅ。まあゆっくりしてってよ。」
「……なんだか、すまないな。」
「いいって。いつかはこうなると思ってたし。」
「あさぎちゃんはいつから知ってたのぉ?」
「……あの外見で、気づかないと思う?」
「「それはない。」」
「……一目見たときから察してたよ。まあ、白ちゃんの口から話してもらってだいぶ経つけど。」
「……ん?」
きはだはあさぎの口から『白ちゃん先生』ではなく『白ちゃん』という呼称が出たことに違和感を覚えたが敢えて口にはしなかった。
「今までちょくちょく話題に出て来たお隣さんが、ええっと……、
「『モーラ・コロル』。」
「……モーラさんってことでいいんだよな?」
「うん。」
「羨ましい……!」
「え?今そういう流れ?」
「だってそうだろ!?お互いの部屋に入り浸ったり、お土産もらったり……実質同棲じゃないか、セッk
「言わせないよ?」
「ねえねえあさぎちゃん。もっとモーラさんのこと教えてぇ?」
「うん。し……モーラさんは外国人っぽい名前だけど白ちゃん先生の妹で、今まで世界の色んなところ旅してたみたい。」
「さっき白ちゃんは『こはく』って呼んでたねぇ。」
「モーラさんはもうその名前捨てたって言ってたけどね。」
「『琥珀』はもうこの世にいないって、そういう……。」
「名前も雰囲気も白ちゃんと違うのはそれでか。」
「……でぇ?」
「な、なに……?」
「あさぎちゃん、随分と仲良しに見えたけどぉ……もしかしてお付き合いしてたり?」
「やったのか……!?」
「違う!?ないないないない!?いくら部屋が隣だからって、白ちゃんに限ってそんなこと!///」
「だよねぇ。」
「そうなのか……。」
「ひいろはどうして欲しかったんだよ……!?」
白ちゃんとお隣さんがテーブルを挟んで向き合うリビングには、お通夜のような重苦しい空気が漂っていた。
「さ、て、と……?洗いざらい話してもらうわよ?」
「ちょっと、すみ姉?お顔が怖いぞ〜?……ほらほら、スマイルスマイ
「黙れ。」
「はい……。」
「……で?一応確認するけど、あんたが『白久琥珀』……私の妹で間違いないわよね?」
「今はモーラ
「ややこしいから同一人物かだけ答えろ。」
「……はい。」
「そう……。」
「っていうか実の妹見間違える?」
「あんただって、私の顔見るなり『げっ!?』っつったでしょーが。」
「はは、違いない♪」
「……その腑抜けっぷりは相変わらずみたいね。」
「ひどぉい!?『元気そうで良かった♪』くらい言えないの!?」
「家出した分際でどの口が言うか。」
「ま、そりゃそっか。」
「……で?」
「ん?」
「あんたのことはなんて呼べばいいわけ?」
「そりゃあもちろん、『モーラ』
「却下。」
「答えさせる気ないじゃん!?」
「ええ。」
「そんなん言ったって、パスポートは『モーラ・コロル』なんだけど……!」
お隣さんは白ちゃんの目の前に開いたパスポートを突きつけた。
「……じゃあ私が『ボブ』になりましたっつったらあんたは受け入れるわけ?」
「よろしくボブ姉♪」
お隣さんは屈託のない笑顔で答えた。
「おいこら。」
「まあまあ、落ちついてお茶菓子でも食べよ、ね?」
お隣さんは立ち上がってキッチンへ移動すると、大皿に持ったスナック菓子を持って来てコーラを注いだコップを白ちゃんに差し出した。
「はぁ……。何から突っ込めば良いもんかねえ。」
「食べないん?」
白ちゃんが顔を伏せている側から、ボリボリとスナック菓子をつまむ音が聞こえて来た。
「……よし決めた。とりあえずここ、あさぎちゃんの家なのよね?」
「ん。」
「他人ん家の菓子勝手に出すな。」
「あさぎもよくやってるし、何ならご飯も作ったげてるしお互い様っしょ。」
「なんてこった……。」
白ちゃんは頭を抱えた。
「だってあたし、もう家族みたいなもんだしね♪」
「……、」
お隣さんの満面の笑みを見て白ちゃんが眉間に皺を寄せた。
「へぇ〜、そう?私たちは『もう』家族じゃないっての……。」
「すみ姉とは今でも家族のつもりなんだけど。」
「じゃあお母さんとは?」
「モーラ・コロルに母などおらぬ……ッ!」
「あんたねえ……!」
白ちゃんの顔が怒りで引き攣った。
「っていうかもしかしてすみ姉、まだあの家いんの?」
「とっくの昔に一人暮らししてるわよ……!」
「な〜んだ、やっぱすみ姉も嫌いなんじゃん♪」
「それは……。」
白ちゃんは後ろめたそうにお隣さんから目を逸らした。
「まあとにかくだよ?あたしにはもう、新しい居場所ができたの。あの家に帰る気は無いし、これからもここで仲良くやっていきたい。」
対照的に、お隣さんの目はまっすぐ白ちゃんだけを見つめていた。
「……あ、もちろんすみ姉ともね♪」
「……。」
「それと、まだろくに恩も返せてないし。まあ……きっとこれからも貰うばっかなんだろうけどさ。」
「でも……、」
「あと、なにより…………。」
「…………何?」
「あたしは、あたしのこと『家族』って言ってくれる人の側にいたい……。」
「…………。」
白ちゃんにはお隣さんの言葉がその場しのぎの嘘には思えなかった。
「それでさっき……逃げなかったのね。」
「……うん。」
白ちゃんはお隣さんの返答を聞いて、何度も、何度も黙って頷いた。
「……………………、わかった。」
「ほんとに ……?」
「ええ。ここがあなたの新しい居場所だって言うなら、私は口を挟まない。お母さんにも黙っといてあげる。……どぉぉおせ、帰って来たこと言ってないんでしょ?」
「すみ姉……!」
お隣さんは感極まった目を星空のように輝かせた。
「そ、の、か、わ、り……ッ!」
「?」
「恩だかなんだか知らないけど、貰ったもんはちゃんと返すこと!途中で居なくなったら今度こそ許さないんだから……!」
「あはは……やっぱすみ姉、変わんないね。」
「モーラもね。」
「すみ姉今、あたしのこと『モーラ』って……!?」
「はぁ……。私もつくづく甘いわね。」
「菓子食べな?」
「塩分欲しいって意味じゃないから。」
「へいへい。」
白ちゃんのは浅いため息をつくと、スナック菓子に手をつけた。
「ま、いっか。……お菓子食べるついでに土産話でも聞かせなさい。」
「は〜い♪」
スナック菓子の咀嚼音に混ざる2人の話し声は、大人の落ち着きの中に幼い姉妹のような無邪気さが垣間見えた。
所変わってあさぎの部屋。
情報共有が済んだ3人が暇を潰してしばらく経つと、リビングにいた白久姉妹があさぎの部屋に入ってきた。
「ちょっとモーラ!ノックしないで入るのは
「いいのいいの♪あたしとあさぎの仲だから。合鍵だって渡してるし。」
「し……モーラさん。話、まとまったんだね。」
「まあね?お陰様で、すみ姉にも名前で呼んでもらえるようになってハッピーよ♪」
「みんなごめんね?騒がしくしちゃって。」
「別に構わないぞ。」
「なんか奢って貰える約束だもんねぇ?」
「マジで!?サンキューすみ姉♪焼肉いこ!」
「行かないから。」
「はあっ!?そりゃないでしょ〜……。」
「……ま、せいぜいファミレスがいいとこね。」
「すみ姉大好き♪」
2人の調子から見て、とりあえずわだかまりがいったん落ち着いたことを察して、あさぎは胸に溜まっていた息を全部吐き出した。
「良かったね、し……モーラさん。」
「あさぎもな。」
「へ……?私は出すよ。奢りは2人との約束でしょ?」
「ひいろちゃんに感謝だねぇ。」
「白ちゃん先生にじゃなくて?」
「……それでいいさ。」
「?」
「じゃあこのまま行っちゃいましょうか。」
5人は最寄りのファミレスへと入り席についた。
「いっやぁ〜、お腹空いちゃうねえ!」
「諭吉1人に収めなさいよ?」
「わーってるって♪」
「ここ、ファミレスなんだが……。」
「1人2000円超えは逆に難しいよぉ。」
「いや、し……モーラさんなら……。」
「そーいえば、あさぎはいつもみたいに呼んでくれないの?」
「えっ!?///」
「「ん?」」
「や、やだなあいつもどおりじゃん!?」
「……あさぎちゃんも観念して呼んじゃえばいいのにねぇ、『白ちゃん』って。」
「「え?」」
「おお?」
「……なっ、何言ってるのやだなぁ!?きはだったら。モーラさんといるとこ見たの今日が初めてなのに……、」
「お部屋のときからちょいちょい呼んでたよぉ?」
「なっ……!?///」
「ああ、それでところどころ文脈がおかしかったのか。」
「へ〜え?やるねぇ、きはだちゃん。」
「あさぎちゃんがチョロいだけですぜ。」
「ちょっ……、ちょっと、どういうことなのよあさぎちゃん!?」
「あ……いや、その……
「『白ちゃん』は私でしょう!?っていうか今までずっと先生呼びでちょっと距離感じてたってのに!?」
「ええ……っと……、
「やだなぁすみ姉、あさぎが自分からそんなことする子な訳ないじゃん?」
「モーラあんた、まさか……!」
「まさかも何も、あたしが頼んだんだよ〜♪」
「これがNTR……!?初めて生で見た……。」
「あさぎちゃんは誰とも付き合ってないよぉ?」
「あんた、人の教え子に手ぇだすなんて……!」
「出されてませんっ!///」
「何か問題?」
「モーラさんも否定してよ!?」
あらぬ誤解をかけられテンパるあさぎをよそに、モーラは愉しそうに口角をあげて続けた。
「白ちゃん『先生』が教え子に手ぇ出したら違法だけどさ?」
「そうよ!」
「『白ちゃん』が先生の教え子に手ぇ出したって、法には触れないよね?……あたしだって『白ちゃん』だし♪」
「う"っ……!?」
「おお〜」
「一理あるな。」
「つまり合法なんだよ。」
「くぅ……っ!」
「いや『くぅ……っ!』じゃないんですよ、皆して私に手ぇ出そうとしてるみたいな雰囲気にしないでくれます!?」
「つ、ま、り?」
「なによ……、」
「赤の他人である私があさぎちゃんに『白ちゃん』呼びさせることで、安全に教師×生徒を擬似体験できるってわけよ!」
モーラは高笑いして勝ち誇った。
「「「「うわぁ……。」」」」
「禁じられた関係……ああ、なんて背徳的なの……♡」
「やっぱり白ちゃんの姉妹なんだな。」
「血は争えないねぇ。」
「そこで確信するのやめて!?」
「悔しかったらすみ姉も……おおっとごめん、『先生』は違法だったねぇ♪♪」
「くぅぅぅ……!!」
「煽りよる。」
「さあさああさぎちゃん、『白ちゃん先生』の前で、いつもみたいに私を呼んでちょうだ
「やっぱモーラさんで。」
「 」
「振られてやんのwww」
こんどは白ちゃんがモーラを煽り返した。
「わ、笑うなっ!?///すみ姉だっていまだに先生呼びのくせに!」
「……!///」
お顔が大火災のあさぎは、木槌で場を鎮める裁判官の如く、テーブルを両手で叩き2人を諌めた。
「公共の場ですよモーラ・コロル氏、白久澄河養護教諭。」
「「 」」
そして姉妹はしばらくの間フルネームで呼ばれることになった……。




