プロローグ:主席で草な猫かぶり(新作エピソード)
私の名前は白久澄河!もうすぐ2年目を迎える池図女学院の養護教諭!
教頭先生の無慈悲な勅令により、4月……今は2月だから実質あと2ヶ月でどっかの部活の顧問にならないと運動部にねじ込まれて修羅も逃げ出す引率地獄に……!?
蛆虫のように絶望に身を捩る中、突如現れた0(ゼロ)年生の赤井ひいろ、改めひいろちゃんと利害が一致した私たちは新しい部活動を設立することに。
なんとしてでも運動部顧問だけは回避して、自堕落な養護教諭ライフを守ってみせるんだから……!
今日も今日とて、授業もないのに保健室で待機して机に突っ伏す私の後ろで来客を知らせるノックの音がする。
「は〜いどうぞ?」
ドアが開くと、入ってきたのはパリッパリのキレイな池図の制服を着た見知らぬ生徒……。
「失礼します♪」
溌剌とした挨拶と、水々しい果実を彷彿とさせる弾ける笑顔が印象的だった。
身長はひいろちゃんよりも低めだな……。
「あら?見ない顔ね……。もしかしてあなたも0(ゼロ)年生?」
「はい♪」
いちいち愛想がいいな……。
「……『も』と仰ったということは、赤井さんもここに来ていたんですね♪」
「赤井さんの知り合い?」
「……、はい♪」
なんだ今の間は。
「もしかして赤井さん、体調が優れないんですか……?」
「あ〜、そんなんじゃないわ。個人的に私に会いに来てただけよ♪」
「そうですか……良かった♪」
一瞬違和感を覚えたけど……、な〜んだ!いるじゃない、良いお友だ
「体調不良を言い訳にいつまでも恨み節きめられたら堪ったものじゃありませんからね。」
……よし、良い人認定するのは一旦保留だ。
「恨み節?」
「あ、こっちの話です♪」
なんだか、腹の底にズッシリと黒いものがありそうだなと思ってから改めてその弾ける笑顔を見ると……、ちょっと背筋が寒くなる。
「ええっと……、あなたは何をしにここへ?」
「勉学のため、ひいては将来の選択肢を広げるためですっ♪」
……面接かな?
「そ、そう……。それはたいそうな志ね。じゃあ今日保健室に来たのは……?」
「挨拶周りです♪」
「挨拶周りって……まさか、入学前からいろんな先生のとこ周ってたりするわけ……?」
「いやですねぇ〜、白久先生が1番ですよ♪」
見慣れない生徒がアイドルみたいに私の手を握ろうとしたところで、鋭い轟音と共に保健室のドアが開け放たれた。
「騙されるなッ!!」
音にびっくりして2人で入口の方を向くと、そこには息を切らしたひいろがいた。
「……。」
「騙される……?」
「前に一度話しただろう、ソイツが『きはだ』だ……ッ!」
「あ〜、この子が主席合格したっていう……。」
「はいっ♪池図女学院0(ゼロ)年生、黄山きはだです♪♪わたしの評判がこんな所まで知れ渡っているだなんて、照れちゃいま
「で……!?こんな所まで何しに来やがった。」
「おお怖……っ。」
「まあまあ、いきなりそんな喧嘩腰になることないじゃない。」
「そうですよぉ〜、そんなにこわぁ〜い目しないでくださ
「お"ぇ……、」
「あ"?」
さっきまで溌剌とした寒気がするほどのコッテコテな良い子ちゃんだった黄山さんのいた方から、とても同じ声帯によるものとは思えないドスの効いた声が出た。
「き、黄山……さん?」
「はっ!?すみません、赤井さんに釣られてつい、えづいちゃいました♪」
「お"ろろろろろ……っ、」
「てめくぉらなんのつもりだ……?」
黄山さんが再び『えづいた』。
「ああ、すまんすまん。きはだの普段との落差に釣られてつい、『えづいて』しまった。」
「う〜〜〜ん!?あ、赤井さんは何が言いたいのかなあ〜?」
黄山さんの目尻がピクピクと引きつっていた。
「4文字で表すなら『気色悪い』……っ。」
「きゃ〜っ、活字を会話に持ち込むなんてあったま良い〜♪……きはだちゃんの次に。」
「は……?」
ひいろちゃんがまた『えづいた』。
「まあまあまあまあ!2人とも……!いったん座りましょう。」
「……、はぁ〜い♪」
「……はぁ。」
一触即発な2人をなんとかなだめ、座らせた。
「そもそもなんで2人ともそんな親の仇みたいにいがみあってんのよ。」
「「それはきはだ(赤井さん)がッ!!」」
「1人ずつ話せ。」
「「……、」」
ひいろちゃんと黄山さんは目配せをすると、
「「最初はパーーーッ!」」
揃いも揃って闇討ちまがいのジャンケンを仕掛け、場が膠着した。
「……ちっ。」
「はっはっは!染色体の様に曲がり腐った貴様の性根などお見通しだ!」
「やっぱアンタら仲良いでしょ……。」
「「それだけはない(です)。」」
「……。」
あっさりあしらわれると、2人は再び拳を構え、
「「アッチムイテほぉぉぉおいッ!!」」
鋭く伸びた互いの指が互いの頬を穿った。
「「く……っ!」」
「やっぱ仲良し
「「それだけはない(です)……!」」
埒が開かないので、この前軽く話を聞いたひいろちゃんに先を譲ってもらうことにした。
「聞いてくださいよ〜!赤井さんったら、わたしがほんのちょ〜〜っと頑張って、うっかり主席合格しただけで親の仇みたいに絡んでくるんですよ〜!?」
「……!!」
赤井さんは青筋をたくさん浮かべながら腕を組み恐ろしく速い貧乏ゆすりをして堪えていた。
途中で口を挟まないあたり、やっぱり真面目な子なんだなあ……。
「最初だけそれなりに頑張ったら肩の力抜いてひっそりのんびりしようとしてたのに新入生代表スピーチを押し付けられるし、踏んだり蹴ったりですよ〜!?」
「あ〜、入学式で舞台登るヤツよね。アレって入試の成績で決めてたんだ……。」
「……そういうことだ。」
「ダメですよ赤井さ〜ん、もう『待て』できないんですか
「よしコイツの話は終わったな!次はワタシの番だ……!」
「怖ぁ〜……。」
黄山さんは座っていた丸椅子を引いて、座ったままゆっくりクルクルと周って暇を潰しだした。
「さっきの話ぶりでわかっただろう……、こんな舐め腐ったヤツが新入生代表だなんて認められるか……ッ!」
「う〜ん、黄山さんはやりたくないみたいだし、ひいろちゃんがスピーチしたいなら2人で教頭先生に頼んだら?」
「やっぱそうですよねぇ
「そんな、お情けで席を譲られるなんて屈辱的なこと認めてたまるか……ッ!」
「お情けってねえ……。」
「そんなにわたしを見返したいなら、定期テストで頑張れば良いじゃないですか〜。」
「まあ見返すならそこよねえ。」
「そうですねぇ……全教科81点くらい取れれば見返せるんじゃないですか〜?」
「なんで81点……?」
「どうやらきはだは3年間全部の定期テストで全教科きっちり80点取るつもり、だそうだ……!」
ひいろちゃんの青筋がものすごいことに……。
「あ〜、それで81点……。」
「そういうことだ。……コイツ、最初の一度だけ本気で勝ち逃げしてあとは全部手を抜いてワタシに勝ちを譲るとか言ってるんだぞ、こんな屈辱……!」
「手を抜いてだなんてとんでもないですねぇ〜、満点取るより1点も誤差なく狙った点数取る方が難しいに決まってるじゃないですかぁ〜?」
「コイツ……ッ!!」
ひいろちゃんもそうだが、よく見たらニコニコしている黄山さんの青筋もすんごいことになって殴り合いまで秒読み状態だったので間に入る。
「はいはいそこまで!2人の言い分はよぉぉぉおくわかったから。」
「さっすがせんせ〜♪」
「とりあえずひいろちゃんのそれは逆恨みだから突っかかるのはやめなさい。」
「なんだと……!?こんな人生舐め腐った言動を一教員として看過するというのか!?」
「ひいろちゃんや私が何かせずとも、黄山さんはどっかでそのうち痛い目見るわ。」
「いててててwww」
「今痛い目見せても良いんだぞ……!?」
「こらこら。」
「いや〜、懐かしいわね〜。」
「「?」」
「私にもちょうど2人くらいのときに、万能感に溺れてて『わからされた』ことがあったっけ♪」
「『わからされた』?」
「何があったんですか?」
「ごめん、思い出したら寒気が……。」
昔ちょっとグレてた頃、教頭先生にマッサージと称したすれ違い様の一撃を喰らって舎弟達の前で全身ビショビショその他諸々……で醜態を晒させられたことは黙っておこう……。
「「あ……はい。」」
2人が私の『痛い目』を察して萎えたことでこの痴話喧嘩は終息した。
「そうだ!黄山さん入る部活はもう決めた?」
「おい!?まさかまだ勧誘するつもりなのか!」
「勧誘……ですか?」
「そうそう!黄山さんの頭脳をうちの部活で活かしてみる気はないかしら?」
デスクに置いていた部活動設立申請書を黄山さんに見せた。
「嫌だったら入らなくても良いんだぞ?」
「嫌、というか…………、なんの部活なんです?」
書面の部活動名が空欄だったら当然抱く疑問だ。
「ええっと……、」
あれ?ひいろちゃんが困っている。
もしかして、官能小説のことはバレたくない……?
じゃあここは私が代わりに。
「名前はまだ無い……ッ!」
「猫……?」
「そ、そう!猫だ。嫌いだろ〜?吊り目だぞ〜?引っ掻くぞ〜?」
どんだけ入れたくないのよ……。
「あ、猫は普通に好きです。」
「くそぉ……ッ!!」
「あ、でも吊り目で突っかかってくる子は嫌いですねぇ〜♪♪」
黄山さんは手鏡を取り出してひいろちゃんに向け、ここぞとばかりに煽り散らかした。
「きっさまぁぁあ……!!」
「きゃ〜、引っ掻かれる〜〜!?」
そして猫みたいに素早い身のこなしで私を盾にした。
「爪でバッテン付けてやろうかぁ!?」
「それ蚊にさされたときにするヤツでしょう……。」
「それで、白久せんせはなんの顧問を?」
黄山さんが私を盾にしたまま話を続けた。
「まだちゃんと決まってはないんだけど、今みたいなみんなの雑談を投稿していく活動よ♪」
「へぇ〜……、それはゆるそうで良いですねぇ。」
「そうそう!炎天下で汗水流して走り回ったりしないし、校歌うたって土持って帰ったりもしないし♪」
「負ける前提かよ。」
「う〜ん……、内容は不確定なのはともかく、早めに帰れそうで少人数で緩い雰囲気の部活というのはとても魅力的ですね……。」
「おいおい嘘だろ?」
「わたしの望むひっそりのんびりな高校生活にとって最大の障害たり得る部活動への所属をここでクリアできるのはありがたい事この上ない……。」
「そうそう♪きはだちゃんは部活動問題をクリアできてハッピー、私たちは部が作れてハッピー、ついでに成績上位をたくさん囲い込めて私も鼻高々♪♪」
「「……。」」
「……冗談よ。」
黄山さんが丸椅子にどっかりと腰を下ろした。
「……なるほど、良いでしょう。わたしも是非、加入させてください♪」
「っしゃぁぁあ!」
「嘘だろ……。」
「…………ただ、」
「ただ?」
「条件が1つ。」
「あ〜、どうせアレだろう?構わん構わん。幽霊でいてくれた方がワタシにとっても都合が良
「赤井さんが『きはだ様お願いします』って頭を下げてくれたら、入部しましょう♪」
「はぁぁあ!?」
「だって、こういう勧誘は本来、顧問ではなく部員が行うものでしょう?『部活動』なんですから……♪」
そういうと黄山さんは口元を手で隠してほくそ笑んだ。
「貴様……!そこまでしてワタシをこき下ろしたいのか……!!」
「ひいろちゃ
「皆まで言うな。『ワタシは官能小説を書くために、そして白ちゃんは運動部顧問回避&サボり場所確保のために』……だろう?」
『そんなものへでもない』と言わんばかりに、ひいろちゃんは私に勝気な笑みを見せると席を立ち、謝罪会見の様な面持ちで黄山さんと対面した。
「きは
冗談でもなく本当に頭を下げようとしたひいろちゃんの後ろ襟を掴んでベッドに引き下ろし座らせる。
「残念だけど交渉決裂ね。」
「白ちゃん何を……!?」
「ほ〜ら帰った帰った、しっしっ。」
「…………。」
羽虫でも追い払う様に手で追い払うジェスチャーをすると、黄山さんは鳩が豆鉄砲でも食らったみたいに少しの間フリーズしていた。
……ま、そりゃそうか。
「おい、良いのかよ!?ワタシにはもう他にアテなんてないんだぞ……!?」
「……頭は私よ。末端が思い上がるんじゃありません。」
「末端って、なあ……。」
「なるほど?」
ひいろちゃんと軽い口論をしていると、黄山さんがいつの間にか持っていた1枚の紙切れをつまみヒラヒラ音を立てて注意を引いた。
「……おい、何のつもりだ。」
黄山さんがつまみ上げていたのは、私とひいろちゃんの名前が書かれた部活動設立申請書だった。
「いえ、ただの腹いせです♪」
そう言うと黄山さんは両手で紙の一点をつまみ引き裂く予備動作をした。
「待てバカッ!止め
「……♪」
止めに入ったひいろちゃんをヒラリと躱すと、黄山さんは紙を破く代わりに私の胸元に押し付けた。
「え……?」
手に取って見ると、紙面には鉛筆書きの[黄山きはだ]という文字が増えていた。
「ええ〜〜!?」
「いたた……どうした白ちゃん。」
書類の無事を確認しに来たひいろちゃんが遅れて目を丸くした。
「……どういうつもりだ。」
「どうもなにも、そんな所に名前を書く動機など、ただ一つでは?」
「……ひいろちゃんは頭を下げていないけど。」
「はい。頭を下げていたらそんな紙破り捨ててやる所だったんですけど……。」
「お前なあ……。」
「体裁のために誰かが不本意に頭を下げなきゃ行けないコミュニティなんて、クソ喰らえ…………って、思いません?それとも、入部希望の意思を示すのに、他の誰かが頭を下げる必要が……?」
「私たちを試してた……ってわけね。生意気な。」
「気に食わなければその名前を消していただいて結構です。そのために鉛筆で書いておきましたから♪」
黄山さんはちょっと残念そうに目尻を下げて笑うと、荷物を持って保健室の入り口へと向かった。
「……。」
さっきまでのような水々しい果実が弾けるような笑顔とは違う、今だけ垣間見せた笑顔の中の不純物こそが黄山さんの本心に思えてならなかった。
「……そうね。」
席を立って追いかけ、追い越し入り口を塞ぐ。
「……帰れないんですけど。」
「ええ。帰さないようにしてるんですもの。」
ここで帰しちゃったら黄山さんは2度とここに来ない。
……なんとなく、そんな気がした。
「白ちゃん……?」
「……何のつもりですか。」
「そっちこそ何のつもり?……こんなもの、認められないんだけど。」
持って来ていた部活動設立申請書を黄山さんに見せる。
「だったらテキトーに消しゴムで
「名前はペンで書きなさいっ!」
「「へ…………?」」
黄山さんの遠くで、ひいろちゃんの声がハモった。
「あ〜もうやんなっちゃうわね、ほんと。」
黄山さんの手を引いて机の前に座らせる。
「え、あの……。」
「入学試験の主席次席ともあろう方々が書類の書き方1つ知らないなんてこの国の未来が思いやられるわ〜。」
戸惑っている黄山さんに有無をいわせずペンを握らせて隣に腰を下ろす。
「…………。」
見守られている黄山さんは手を動かそうとしなかった。
「入りたいんじゃないの?」
「そ、それは……そう、ですけど…………良いんですか?」
やっぱり、黄山さんの本心は引き止められたがっていたようだ。
「ダメなの?」
「だってわたし、すごく失礼なこと……。」
「残念だけど、『失礼だから』じゃ顧問は生徒の入部を拒めない。……『部活動』ってそういうものよ♪」
「……、」
こちらを見つめる黄山さんの目の奥が一瞬輝いた気がしたが、すぐに目を逸らされた。
「や、でも……ほら!赤井さんは嫌かも
「ああ。まったく、そのうすら寒い高校デビューは虫唾が走るよ。」
きはだちゃんに背中を向けたまま、頬杖をついて雑に答えた。
「高校デビュー?」
「えっと、それは……。」
「……どっちでも構わんが、入るんならその被った猫は下ろすんだな。」
ひいろちゃんは立ち上がると、ペンを握っていたまま止まっていた黄山さんの手の甲を人差し指でカリカリと引っ掻いた。
「……嫌いだろ〜?吊り目だぞ〜?引っ掻くぞ〜?」
「…………はぁぁ。」
少し間を置いて、黄山さんがさっきまでの面影すら感じさせない、なんとも気だるげなクソデカため息をついた。
「薄ら寒いのはお互い様でしょぉ……。」
「え……。」
声だけでもあまりの豹変ぶりに思わず声が漏れ、黄山さんがペンで名前を書き終えたのに気づく余裕もなかった。
「寒くない、ワタシはカッコいい系だ。」
「はいはい……んじゃ、これからもよろしくねぇ、ってことで。」
黄山さんはひいろちゃんに記名済みの部活動設立申請書を押し付けてヒラヒラと重さを感じさせない足取りで入り口まで歩いて行った。
「またねぇ『ひいろちゃん』……♪」
「お、おお……。」
「それと、『白ちゃん』もねぇ〜。」
「はいはい、またね『きはだちゃん』。」
去り際に半分閉じたドアに身を隠してヒラヒラと手を振る黄山さん……いや、『きはだちゃん』の脱力した手がなんだか無性に喜んでいるように見えた。
「…………ったく、最後まで嫌味なヤツ。」
「まあ、それが素なら良いんじゃない?」
「どうだか……。」
ひいろちゃんのため息もどこか、嬉しそうに聞こえた。
「やっぱアンタら仲良いでしょ……。」
「それだけはない。」
こうして、私たちの部活にきはだちゃんが加わった。
それから、もう少し紆余曲折あって『あーかい部』ができるんだけど、それはまた別の機会に……。
官能小説部(仮!!)(3)
白ちゃん:は〜いいらっしゃ〜い♪
白ちゃん:しゅん……
ひいろ:ほらほら返事してやったらどうだ?
きはだ:私が応えてもいいの?
白ちゃん: はいはいいらっしゃ〜い♪
ひいろ:応えるまで続けるぞ?このポンコツは
白ちゃん: はいはいいらっしゃ〜い♪
白ちゃん:って、おいこら
きはだ:ええっと
きはだ:こんにちは?
白ちゃん:は〜いこんにちは♪
ひいろ:まったく、手のかかるヤツめ
白ちゃん:ここでならどんなに素で喋っても他の人には聞かれないわよ〜?
きはだ:あ〜、あのキャラやっぱりやめときます
白ちゃん:あら、そう?
きはだ:なんかボロが出そうなので
ひいろ:言う割にまだ猫が2、3匹乗ってるぞ?
白ちゃん:そうそう、遠慮しなくて良いからね♪
白ちゃん:試しに何かお喋りしてみましょ
きはだ:じゃあ……
きはだ:このグループ名何なんです?
ひいろ: (仮!!)は白ちゃんのこだわりらしい
きはだ:その前だよぉ……
白ちゃん:安心して?部活の名前が決まるまでの暫定だから
きはだ:暫定だとしても官能小説部に入部してしてしまった事実は消えないんですよ?
ひいろ:ざまあ
きはだ:うるせえぞ元凶
白ちゃん:まあまあ、元はひいろちゃんの創作意欲から始まったんだから
きはだ:白ちゃんがそう言うなら……
ひいろ:お?どうした随分と懐いているようだなあ即堕ちか?
きはだ:うるせえぞ頭18禁
ひいろ:お〜、いいなそれ
ひいろ:いっそのこと18禁同好会で提出してみようか
白ちゃん:ダメに決まっとるやろがい
きはだ:部じゃなくなっちゃってるしねぇ
ひいろ:難しいな……
きはだ:そっかそっか〜、きはだちゃんの次に優秀なひいろちゃんでも難しいかぁ
ひいろ:主席様なら楽勝、とでも言いたげだな
白ちゃん:いいわね!それじゃきはだちゃん……、
白ちゃん:やーーーっておしまい!
きはだ:アラホラサッサ〜!
きはだ:ちょっと考えます
白ちゃん:敬語じゃなくても良いのに
ひいろ:仕方ないさ、主席様には敬語以外の言葉は難しすぎて手に余る
きはだ:ぉおん?
白ちゃん:な〜んだ、できるじゃない♪
きはだ:あ、これはその
ひいろ:ごたくはいい、さっさと考えろ
きはだ:へいへい……
きはだ:確か活動内容は、取り止めもない雑談の内容を記録して投稿する
きはだ:だったよねぇ?
白ちゃん:そうそう!いい調子よ♪
きはだ:だったら『あーかい部』はどぉ?
ひいろ:archive……『記録』って、そのままだな
白ちゃん:良いじゃない良いじゃない♪
白ちゃん:『ポル○ハ部』より100倍マシじゃない♪♪
ひいろ:なに……!?
きはだ:AVで草ァ!
白ちゃん:『なに……!?』じゃねーんだわ
ひいろ:いやいや100倍は無いだろう!?発想的には同レベルじゃないか
きはだ:極めて何かきはだちゃんに対する侮辱的なものを感じます
白ちゃん:あ〜もう!何するのよひいろちゃん白ちゃん:せっかく薄ら寒い敬語が取れたと思ったのに
きはだ:え……
きはだ:そんなに薄ら寒かった……?
白ちゃん:ええ
ひいろ:まるでAIだな
きはだ:じゃあ、
きはだ:こっちの方が……良い?
白ちゃん:もっちろん!
ひいろ:当然だ
白ちゃん:あんこたっぷりの水羊羹みたいに澱んだ目ぇして寝起きみたいに気だるげに悪態ついてる方が自然体って感じで私は好きよ♪
きはだ:お心遣い傷み入ります
ひいろ:白ちゃん……?
白ちゃん:え、私が悪いの!?
「フフ♪」
もうすっかり日が沈んだ頃。
とっくに静かになったトークルームを何度も閉じては開いて、スクロールしてはほくそ笑む少女の姿が一つ。
「ほんと…………草♪」




