#7 アードベッグ・ガリレオ 6
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「ええ、そうだったっけかな……あ、そう俺もまだあれのテーマソングは歌えるからな」
少し誤魔化すかのように最初のテーマソングの話題に戻して
「本当か?そんじゃワンフレーズずつ歌ってみるか?」
という永瀬の挑発にのり
「おお、やってみようじゃないか」
と返す私。永瀬がご丁寧にイントロから始めて歌い出す
「ちゃんちゃー、ちゃらっちゃ、ちゃちゃちゃらー、せっまっいっ地球ーをー翔ーびーだそーおおお」
「わっれっら、果ーてーなーきー冒ー険ー者あああああああ」
相手の声量に負けじとこちらも声を張る。
「あっのっ日い、見ー上ーげえたあ、ほっしっぞらああをおおおお」
「こっのっ手ええでええ掴ああむうう刻がああ来たあああああ」
ビブラートが効いている永瀬に負けまいとこちらを声に波を派生させる。
「無重うううう力にいい潜むうう殺意いい」
「どこーーかああに消えた凶器のナイフうううう」
「見つけええだせええ」
「新しい星と共にいいいいい」
だんだんと昔の記憶が濃くなるにつれ熱くなりとうとう私たちはサビを譲ることなくユニゾンで大合唱となった。
『それゆけえええええホーームズうううう、戦えええええホームズうううう』
「(ナレーション)宇宙探偵ホームズは改造されていないけれど特殊な訓練をうけた世界初の宇宙飛行士探偵である。国からギャラをもらいながら探偵としての成功報酬をもらうことができるのだ!戦えホームズ!確定申告がナンボのもんじゃと地球を飛び出すのだ!」
永瀬が電話口からオープニングテーマの最後に流れてくるナレーションを私より先に読み上げてきたのを聞き、
「あ、それずるいぞ私が言いたかったのに!」
携帯電話のスピーカーが割れんばかりの大きな笑い声を出しながら永瀬は
「そこだけは譲れん、そこだけはおれが言わせてもらうからな」
とまるで自分がオリジナルのレコーディングをしたんだと言わんばかりの勢いでこちらを制止した。
昔の記憶が一気に蘇ってすっかり精神年齢が当時の頃まで戻ってしまったかのようだった。このバーにもし私以外の客がいたら本山さんは止めたかっただろうが生憎今は私しかいないためそれもできず只々冷ややかな視線を投げるに止まったが素面でもしその視線を受けたら私は尻を丸出しにしてでもいいから穴に頭を突っ込んで身を隠そうとしただろう。
次回へ続く




