#7 アードベッグ・ガリレオ 1
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー
突然だが宇宙に行ってきた経験はおありだろうか?大半の方はノーというだろう。
では宇宙を旅してきたウイスキーはご存知だろうか?という質問はどうだろうか。今日、私が楽しんでいるこのアードベッグが実はその経験がある銘柄なのだ。2011年にメーカー協力のもと「ウイスキーは宇宙空間でも熟成するのか?」という実験を行った。約3年の月日を経て地球へと戻ってきたアードベッグは地上熟成されたものよりもスモークフルーツやピート感、ペパーミントにアニスシード、シナモンの香りと余韻を強く残すことができたという結果を受けて、今年は新たな試みで各メーカーがそれぞれの代表銘柄を乗せて打ち上げる事となった。
今日がその打ち上げの日ということもあってその様子をいつものバーで見守ろうとここに来ているのだった。
バーに備え付けてある大型液晶画面からニュースキャスターが発射のカウントダウンを告げる。
「……まもなくこの種乃島宇宙センターの発射台からロケットHAMISHが打ち上げられようとしています。日本の宇宙航空研究発展所、通称jacksaがメインとなって行うプロジェクトで……」
この施設には私も少しだけ縁がある。実は学生時代の友人が2人、ここの研究員で今回の企画の中心となっているのだということを本人達からこっそりと教えてもらっている。
古くからの友人が私の好物であるウイスキーを打ち上げる。大手酒造メーカー協力のもと、国際宇宙ターミナルに無人船、「アルバトロス」に積み込まれた5本のサンプルが届き、宇宙空間でウイスキーが熟成するのか、という実験を試みるのだそうだ。そうしたイベントを生で拝みながら呑む酒は格別だった。
次回へ続く




