#6 ジャノーxoとナポレオン 3
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー
彼の話すエピソードなどから推測するとおそらく90歳以上にもなると思うのだが本人曰く「80歳を超えてから年齢を数えるのをやめたためわからない」のそうだ。それにしても両の足で杖もつかず歩けて滑舌も耳も衰えていないどころかこうしてまだバー通いを続けられる。その体力に関心させられてしまう。
「いらっしゃい井上さん。どうぞこちらに」
本山さんがカウンターの席の一つを案内し、彼は私の二つ隣の椅子に腰掛けた。
「いやー大きくなったねえ千尋ちゃんも」
「ありがとうございます。井上さんもお元気そうで何よりです」
おしぼりとメニューを差し出してチェイサーの水をコップに注いでいる本山さんをみながら井上さんは微笑んでいた。
「こうしてまだこの店で酒が飲めるのは千尋ちゃんのおかげだからね。飲めるうちはくたばってらんないだろ」
メニューを手に取りながら彼は私にも気が付き。
「おお、先生も来てた。こんばんわ」
「こんばんわ井上さん」
「今日は独りかい、いつものあのうるさい子はどうした?あ、千尋ちゃん、サントリーのオールドをロックで」
河口君のことを指しているのだろう。
「いや、あいつは連れじゃないんですよ。私はいつも独りでここに来てるつもりなのに彼がわざわざ来るだけで」
グラスに氷を入れてマドラーで混ぜながら
「井上さん、今日も祖父の話を聞かせてください」
と本山さんが口を開いた。
次回へ続く




