#6 ジャノーxoとナポレオン 2
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー
「そういえば、この店に通い始めた時からあの金色のタカ?ワシの像って置いてある気がするけどあれは本山さんがバーテンダーになる前からあるの?」
酒がズラリと並ぶ棚とは別な棚に一つだけポツンとあるがその装飾から、暖色系の照明に照らされより一層黄金色に輝く像は鷹や鷲のような鳥が丸太にとまっている様を象ってり今にも飛び立ちそうな勢いで羽を広げ始める瞬間を切り取ったかのような姿勢のままずっと佇んでいる。
「ええ、これは元々祖父のもので私がこのお店を継ぐって決めた時に譲り受けたものなんです」
本山さんはそう言いながら像を眺めていた。
思い出の中の彼の祖父の姿を思い浮かべているのだろう。少し、どことなく遠い目をしながら嬉しそうだ。
「家に飾ろうと思っても置くところがないのもあるんですがなんかあそこに飾っていると祖父が見守ってくれているような気持ちになるんで」
「そうか、確か本山さんのおじいさんはもう……」
若干余計なことを聞いてしまったかもしれない。彼女のおじいさんは既に亡くなっていることを以前どこかで話していたのを思い出した。彼女がこの店のカウンターに立ようになって少し後のことだったのだという。
「ごめんね、思い出させちゃって」
「いえ、いいんです。もう大分前のことですし」
そう言いながら彼女は再びコップを洗う手を動かし始めた。
その時、ドアの開く音がして
「よう、千尋ちゃん。今日も頑張ってるね」
疫病神の河口君、ではなくこの店の超常連客である井上さんが声をかけながら入ってきた。彼は本山さんの先代のバーテンダー、つまり彼女のおじいさんの代から通う常で、ここを誰よりも古くから知る客だ。
次回へ続く




