#5 ジョニーウォーカー ゴールドラベルリザーブ 13(#5ラスト)
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー
「確かにこの解き方なら世界中で訳されても隠し場所に辿り着けますね先生!行きましょう!ここに!」
鼻息が荒くなる河口君に
「だからこれあくまで推測だからね。そしてさっきも言ったけどここ外国だから。費用はどうするのって。解決してないでしょそこ」
ほんの少し前にやったやり取りをもう忘れたことを思い出した彼はそこでハッとし再び意気消沈する。
「ま、外れてる可能性ももちろんあるしね。気晴らしにテレビつけようテレビ」
リモコンをとって普段はBGMを流すために設置されているテレビを地上波に切り替える。普段他の客がいるときは決してそんな行動に出たりはしないが場の空気を変えるためにニュースのチャンネルに変えた。
「……氏の隠し財産と噂されていた五キロの金塊が発見と同時に盗難に合ったというニュースの続報です……」
「ん?」
五キロの金塊……何やらつい今し方まで話題になっていたものと同じ質量の物質の話が読み上げられていた。
「○○市の郊外にある古びた無人修道院のマリア像に隠されていた故・アラン・ロドリゲスジュニア氏のものとされる金塊は発見の報告とともに国際的に指名手配されている窃盗団のリーダーと思われる人物がメッセージカードを置き、盗まれていく様子を映した映像が地元警察に届けられ、警察はこれを宣戦布告とみなし……」
「せせせせ先生いいいい、ここここ、ここってまさか……?」
ニュースキャスターが読み上げた場所はまさにたった今私たちが推理した街の隅にある修道院だった。
「うーん……まさかの大当たりだね……」
答え合わせがこんな形で出るとは思わなかったがどうやら私たちの推理は間違っていなかったようだ。しかし発見者が窃盗団とはツイていない。
「なお、犯人のものとされるメッセージカードには『謎解きが好きな富豪の遺産、確かにいただいたぜ、ルパ……』」
そこまでニュースキャスターが読み上げた刹那、
「わっしょおおおおおおおおおい!」
私は手に取ったリモコンを テレビに向け、再びジャズの音楽が流れるように操作した。
「はあ……はあ……わっしょいだぜ……」
息が荒くなる私を不審に思った本山さんが
「急にどうしたんですか?」
と声をかける。
「いや、なんか猿から正拳突きを食らったような衝撃が……最後まで流したら別な事件が発生しそうな予感がしたから。こことは違う世界がそれはもうわっしょいなことになるって」
「どういうことですか?」
私の答えが理解できず、河口君が怪訝な顔をする。
「いやもうこれ以上は本当無理だから」
それにしても奴はとんでもないタイミングでとんでもないモノを盗んでいきやがった。俺と作者の寿命というお宝を。
ジョニーウォーカーゴールドラベルリザーブの液状の黄金を飲み干してもう宝探しは懲り懲りと思ったのだった。
次回へ続く




