#5 ジョニーウォーカー ゴールドラベルリザーブ3
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「河口君」
「はい?」
「お宝探しも結構だけどね」
「ええ」
「事務所の方はどうなってるの?」
「え?」
「だから、いいかい河口君」
「ええ」
「こういう本で夢を見るのもいいけど」
「はい」
「事務所はど」
「ええええ?」
「なんで大事なとこだけ耳が遠くなるんだよ事務所わどおおなってんだよおおおお!」
至近距離で怒鳴るのも現役時代に彼を叱責した時以来だ。まさか引退後も同じエネルギーを消耗することになるとは夢にも思わなかった。怒鳴る私にケラケラと笑いながら彼は
「大丈夫です、浮気調査と逃げたインコの捜索しか今来てないので事務所の若い奴らに任せてます」
なんら問題のないとでも言わんばかりだ。
「陣頭指揮を取りなさいよなんのために君がいるんだよ。それにね」
「なんですか?」
「隠した場所が記してあると言っても国から探すわけだろ?どうするの日本と国交結んでない国にあったら」
「あ、それは問題ないです。アメリカのどこか、と言っていたそうなんで」
「アメリカ……だとしたらいけないこともないけど」
「でしょう?」
「渡航費用と滞在費はどうするの?」
私は素直に質問してみた。
「やだなそんなの、金塊見つけたらお釣り来るじゃないですか」
へらへらと笑う彼に私は
「いやだから見つける前は君が立て替えて出さなきゃいけないだろうって。そんな蓄えあったっけって言ってるんだよ」
そこまで聞かれてはじめて笑顔が消え
「……はっ!」
「遅いよ、めでたいな君の脳内は。年中祭りが開催されてんのか。わっしょいわっしょいか」
ようやく軍資金の必要性を理解した彼はその場で膝をついて崩れ落ちたのだった。
次回へ続く




