第九十一話 『魔具工房』
第九十一話! 作戦会議、大事。
ついに再試験『ダンジョンアタック』が始まる……と思っていたのだが、どうやらその前に30分間ほど作戦会議の時間がもらえるみたいだ。
この試験……『ダンジョンアタック』は、多分だけどどれだけライアと連携をとりながら進めるかが成功のカギになる気がする。
ソロでダンジョンを攻略していた時とは違い、20時間という長時間の攻略に加えダンジョン自体の難易度も上がっている……そんな状況下において、到底1人だけでいい結果は残せないだろう。
つまりこの作戦会議で、どれだけ連携とかについて話し合えるかが大切になるな……
「じゃあ……まずは、お互いの固有スキルとか、戦闘スタイルから確認しとこうか」
僕はそうやって単刀直入に話を切り出す。今は30分という短い時間をどれだけ有効活用するかが大切だ。ただ、自分の手の内をそんなに簡単に明かしてくれるか不安だが……
「そうしよっか。じゃあボクから……ボクの固有スキルは『魔具工房』。魔力のってない武器とか服とかに魔力を注いで、魔道具……ではないけど、それと似たものを作り出す能力だよ」
大丈夫だった。なんなら、自分の固有スキルに自信があるのか、自信満々といった顔で固有スキルについて教えてくれた。
というか『魔具工房』、どちらかと言うとサポート系の固有スキルなのか……てっきり戦闘系の固有スキル持ちだと思っていた……って、あれ? だったらどうして先の戦いで、僕の動きを捉えることが出来たんだ……?
自分で言うのも何だが、僕の動きは『神速』のおかげで相当早いはずなんけど……心の中に浮かんだその疑問に答えるように、ライアは言葉を付け加えた。
「例えばボクの着てる服とか、使ったトランプとか……あと、顔につけてるこの仮面も『魔具工房』で作ったんだよ! 魔力にはまだ余裕あるし、ラルクの服にもやってあげようか?」
なるほど、仮面に動体視力を上昇させる能力をつけていたり、服に身体能力を強化する能力をつけているんだろう。『魔具工房』、結構便利なスキルだな……僕は内心で少し感心しながら答える。
「いや、魔力は温存しておいて。何があるか分からないし……」
「そう……? じゃあそうしとくけど」
僕がその誘いを断ると、ライアが少ししょんぼりしながらそう返してきた。もしかしたら、ライアの着ている服が破れたりつけている仮面が壊されるかもしれない。その時に魔力が足りなくて戦闘不能になる……なんてことは避けたいしな。念には念を、ってやつだ。
だから、決してライアの『魔具工房』が必要ない……と言っているわけでは無いのだが……彼女からしたら、『別に必要ない』と言われたと思ったのだろう。そう気づいたので、少しフォローしておくことにする。
「でも……もし魔力に余裕がありそうだったらお願いしようかな」
「ほんと!?」
良かった、元気を出してくれたみたいだ。やっぱり仲間から必要とされないのは結構心にくるから、こういうフォローも、パーティーを組む上では大切なのだ……って、ギルドの講習で言っていた。本当に受けていてよかったよ。
「そういえば、『魔具工房』にデメリットとかはあるの? 聞いた限りではすごく便利そうだけど」
作戦を立てる上で、味方のデメリットは1番知っておかないといけないことだ。それをカバーし合うのがパーティーを組む利点だ……ってギルドの講習で言ってたからな。
「えーっと、『魔具工房』には色々と発動条件……というかルールがあることかな」
「ルール……か。どんなの?」
確かに、そんなポンポンと魔力を込めた武器とかを作れるなら強すぎるもんな……
「まず一つ目。これは当たり前なんだけど、魔力を込めれば込めるほど強い魔道具もどき……『魔具』が作れる」
それは何となくわかる。強い能力には、多くの魔力を……魔法と同じようなものだろう。
「二つ目。魔具を作るには能力にもよるけどある程度時間がかかって、その間は作っている魔具に魔力の供給を切らしてはいけない」
つまり作るのを中止したらやり直しってことか。時間がかかるような強い魔具は戦闘前に作っておかないと……
「そして三つ目。これが1番厄介なんだけど……魔具とボクは、魔力で繋がってるんだ……で、魔力を供給することで魔具はその性能を発揮する。だから、ボクは魔具を見なくても大体どの辺にあるかがわかるんだ」
「それのどこが厄介なの……?」
いいことじゃないか。それのどこがデメリットになるんだ……?
「言ったでしょ、魔具とボクは魔力で繋がってる……って。だから、中級ダンジョンに出てくるモンスターで『魔力吸収』を使う奴がいるんだけど……そいつら相手には手も足も出ない」
それは大変だな……そのモンスターが出てくる階層では僕メインで戦うしかないか。
「とまあ、ボクの『魔具工房』の説明はこのくらい。これで生み出した魔具で戦ったり、味方のサポートをするのがボクのスタイルかな。一応Aランクの魔物なら1対1でも勝てるよ」
サポートもできて戦闘能力も高い……強いな。これは心強い味方が出来た!
「それじゃあ、次は僕の番だね」
じゃあ、次は僕の能力を教える番だな……そう思った瞬間、僕はあることに気づいた。
本当にライアに僕の本当の能力を教えて、果たして大丈夫なのだろうか……? と。




