仕事終わりに…
池田とのデート現場を見てしまったボクは、好子ちゃんに対して池田との関係を聞き出す勇気も無く余所余所しく、ならざるを得なかった。
「神野さん?どうかしたんですか?体調でも悪いとか…」
こんな時"女性は残酷なものだ"といつも思ってしまう。
「別に何でも無いよ!ちょっと朝から下し気味で…」
思ってもいない事を言いながら、彼女を遠ざけようと努めた。
「そうですか?あんまり悪い様だったら、今日はそんなに業務も無いし、早退されたらどうですか?」
彼女の優しさが余計に癪に触った。
「もう良いって!放っといて!」
遂、語気を強めてしまった。
「あぁ、ゴメン!本当に大丈夫だから」
廻りの視線が突き刺さった。
昼になって、食堂に行ったが、余り食欲が無い。
とりあえず、キツネうどんを啜った。
「おい!神野君、本当に大丈夫かね?」
定食が乗ったお盆を持って課長が向かいの席に座って来た。
「あぁ?課長、本当に大丈夫です!心配かけてスミマセン」
「もしかしたら、あの子供の虐待の事を気にしてるのか?それだったら本当に気にするなよ!ああ言った事をいちいち気にしてたら仕事にならんからね」
課長の言葉でふと、思い出したが、別にそんな事は気にしていなかった。それが逆に自分自身、恥ずかしくなった。
「はい、分かりました!そうですよね。もう忘れます」
まさか、好子ちゃんの事で元気が無いなんて言えないのでそう言う事にしておいた。
今日は、仕事が終わったら、この前行った居酒屋にでも行って気分転換にゆっくりと飲もう。
仕事をさっさと終わらせたボクは、居酒屋の方に向かって歩き出した。
「神野さん!ちょっと待って下さい」
振り向くと、天野さんがこっちに向かって駆け出して来た。
「あっ…天野さん?どうしたの?」
「神野さん、ご無沙汰です!ちょっと神野さんに相談したい事があって…良いですか?」
突然の申し出に少し、たじろいだが
「あぁ、丁度、今から一人飲みしようと思ってたんだ!そこで良ければ…」
「神野さんが?珍しいですね、じゃあ、ご一緒させて下さい」
こうして思わぬ幸運なアフター5がボクにやって来た。




