異動
月が変わり、少し涼しさを感じられる様になった。
しかし、いつもと変わらない朝…
この、いつもと変わらない日を境にボクの人生は少しづつ歯車が音を立てて狂い始めたのかも知れない。
戸籍課の自分のデスクに着こうとした所、課長の八名に呼ばれた。
「課長?何でしょうか?」少し嫌な予感がした。
「神野君!君、今日から生活支援課の子育て担当に行ってくれんかね?」八名の無機質な声が耳に刺さった。
「部所異動ですか?」食い入る様に聞き返していた。
「そう!戸籍課はそんなに人は要らないし、最近子供に対する相談や生活保護担当との連携なんかで人手不足らしいんだ」
部所異動は仕方ない!しかし、寄りに寄って市民とのトラブルが多い部所に異動なんて!何より天野さんのいるこの一階と違う二階かよ?
断る理由も見つからず、言われるがまま生活支援課へ私物を抱えて向かった。
「戸籍課から来ました神野力です」丁寧にお辞儀をした。
「神野君!待ってたよ!私は課長の小森護だ!宜しく、期待してるよ」
期待されたって頑張れるモンかよ!周りもオッサン、オバサンばっかじゃねぇかよ。
しかし、神はボクを見捨てていなかった 案内されたデスクの隣はそこそこのかわいい子じゃん!
「好子!今日から戸籍課から来てくれた神野君だ!色々教えてやってくれ」好子って呼び捨てかよ。
「ハイ!課長、神野さん、宜しくお願いします!小森好子です」
「えっ?小森って?課長の?」少しガッカリした。
「えぇ!叔父です!私の父が課長の兄なんです」
「あぁ!叔父さんね!」今度は逆に少しホッとした。
青天の霹靂みたいな部所異動だったけど、少しは楽しく仕事出来そうだ。




