決意
あのクソ親!殺してやる!…なんて意気込んでみたが、良くよく考えると、あのオヤジ、今は逮捕されて、留置所かどっかにブチ込まれてるんだよな?
その後、どうなったんだろう?大概この手のニュースは続報が流れたりするもんなんだけど…
ボクは名刺入れを手に取り、家を出た。とりあえず、情報収集だ。
ボクの行き先は、男が逮捕されたと言う警察署だ。
受付に行き、名刺を差し出した。
「スミマセン!私、こう言う者ですが、逮捕されたと言う坂井憲男さんはどうなりましたか?」
受付係は、ボクが言うのもなんだが、お役所対応をして、「しばらくあちらでお待ち下さい」
と黄緑色のベンチを指差した。
しばらくして、凡そ刑事とは思えないナヨナヨした男がやって来た。
「私、生活安全課の友安圭吾と申します」と名刺を差し出した。
生活安全課?何で殺人事件に生活安全課なんだ?
ボクは不審に思ったが、ここで変に相手に警戒されても困る。持ち前の作り笑顔で
「スミマセン!坂井さんの件で、事件前に通報があってウチの部所が受け持っていたんですが、書類に不備があり、上司がどうしてもその後、どうなったか?とウルサイもので…出来る範囲で構わないので、どうなっているか、お教え願えませんでしょうか?」
余裕のある作り笑顔とは裏腹にボクのYシャツの背中はビッショリ濡れていた。
「あぁ!坂井ね!釈放しましたよ?」
この友安と言う刑事の飄々とした受け答えに"イラッ"と来たが、直ぐに平静を装い
「えっ?お子さんを死に追いやっておいて、もう釈放ですか?」と大袈裟に返した。
「イヤね?コッチも迷惑してるんだよ!マスコミの勇み足って言うの?確かに男の子は危篤だけど死んで無いし、坂井にしても、逮捕じゃ無くて任意同行!に·ん·ど·う!分かる?」
ちょっと…話が違うじゃ無いか?
「じゃあ、男の子は助かったんですね?」少し願いを込めていた。
「イヤ!助かったって言うより、植物状態ですよ!二段ベッドの上から頭から落ちたって言うし、助かるかどうかは…
それからそれを父親がやったって証拠も無いし、ワタシ等はこの程度の件はサッサと片付けて行かないと、どうにもこうにも…」
この友安刑事とのやり取りで、全て合点が行った。
この事件が生活安全課なんかに回された理由!
この類の事件が多すぎて闇に葬られてしまう事!
そして、人を不幸に追いやっておきながら、のうのうとこの世界で生きている悪人がいる事!
ヨシ!決めた!こんな悪人共、ボクの手で地獄に落としてやる!
ボクは警察署を出ると真っ直ぐに坂井のウチに向かった。




