二人での研究
「それでこのアプリは何が出来るんですか?」
「それはもちろん初様のご想像通りでございます」
するとマドレはモニターから消えたと思うと初の携帯にひょっこり現れた。現れたマドレは先ほどとは見た目が少し異なっており、アニメのミニキャラの様にちっちゃい二頭身でとてもかわいくなっていた。
「ちなみにこんな格好をしているのは大きいとメモリ容量をくううえ、邪魔になると思ったからでございます」
「それは……、ありがとうございます」
どうやらだいぶ気を使ってくれているらしかった。
「さて初様。改めて説明させていただきます。まずはこのアプリを起動してください」
マドレは勝手に画面をスクロールして、いつの間にか持っていた指示棒で追加したアプリを指した。そのアプリはトクマのエンブレムがそのままアイコンになってた。初は指示に従ってそのアイコンを押すと、すぐに起動して予想通りのモニターの画面がそのまま表示された。
「こんな感じでいつでもトクマのデータベースにアクセスできます。初様。これから時間まで研究をされるのでしょう? お手伝いいたしますよ」
「いいんですか?」
「はい。と言っても資料探しなどになりますが」
「いや、それでもとても助かります」
「承知いたしました。まずは何に関する資料をお探しすればよろしいでしょうか」
「アインシュタイン-ローゼン橋について出来る限り詳しく書かれているものを」
「……ワームホームですか?」
ミニキャラのマドレはコテッとかわいらしく首を傾げた。
「そうですね。移動をどうにか早くできないかと思いまして」
「……本当に規格外ですね。承知いたしました」
そう言って、ピュッと携帯から消えたと思うとすぐに部屋のモニターの方に現れてウィンドウがついたり消えたり忙しなく動き始めた。しばらく初が前にしていた研究を思い出しながら書いていると携帯にピロンッと通知のくる音が鳴った。確認すると文書ファイルのようだった。
「初様、今ご依頼のものをお送りいたしました。ご査収ください」
「ありがとうございます」
ファイルの中身は要求した通りの内容で、引用論文とともに詳細な内容まで分かりやすくまとめられていた。しかも所々にちっちゃいデフォルメされたマドレが吹き出しを使って解説をしてくれている。
「マドレさん、すごく分かりやすいです! ありがとうございます」
「そう言っていただけるなんて、とても光栄です」
マドレはそう言ってペコリと頭を下げた。
「他になにかございますか?」
「あー、どうでしょう。とりあえず頂いた資料をしっかり読もうと思うので大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「他になにかございますか?」
「え、えっと、大丈夫ですよ? 休んでいただければ」
「他になにかございますか? 初様が望まれるのなら私の特別ヌード画像でもよろしいですよ?」
——どうやら譲る気はないらしい。
「えぇ……。それはとても魅力的ですがやめておきます。そうだ。トクマのデータベースにあるこの研究に使えそうな資料があったら調べてまとめておいていただけませんか?」
「お安い御用です」
そんな会話をちょこちょこ挟みながら初は二人で研究を進めた。
どれぐらい経ったのだろう、少し腹が減った頃、部屋のインターホンが鳴った。モニターで時刻を見てみると十六時半だった。すぐに誰が来たか確認しようとしたけれど、初が確認する前にもう一度インターホンが鳴った。
「初様、みなみ様がご来訪です。おそらくは例の歓迎会のお迎えかと」
「ですね。とりあえずまだ連打されると思うので音を切っといてください」
「承知いたしました」
初はおさまったインターホンの音に満足しながらあえて少し片づけてから玄関へ向かった。




