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無詠唱の配達員  作者: ウパ戌
第1章

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初任務 ②

 その部屋は初に質素な倉庫という印象をもたらした。駐在所の外観からは全く想像もつかないほどの空間がただ広がっていた。例えるなら体育館のような、そんな部屋だった。木製フローリングの床に同様の床、上部には複数監視カメラのようなものがあり、奥には黒いコンテナボックスが沢山並んでいた。初はおそらくこの中に弾薬が入っているのだろうと思い、シロに訊いてみると肯定された。


「へえ、こんな感じだったんすねー」

「みなみは知らなかったのか?」

「はいっす。あんまりうちから物資を運ぶことなんてなかったですから。運ぶとしても少量のなんてことないものばかりで保管しておくことなんてありませんでしたから」


 まるで観光地に来た時のようにみなみは辺りを見渡している。こうしていると初には少しみなみが同僚のように感じられた。そしてつられる形で初も改めて部屋を、特に天井の方を見渡した。


「少し持ち上げてもいいですか?」

「はい。いいですよ」


 初はコンテナボックスの内、一つを引き寄せて力を込めて持ち上げた。


——うん。これぐらいか。かなり重いけど大丈夫そうだ。


「じゃあもう一度、今度は魔法で持ち上げていいですか?」

「はい。ただ無理はしないでくださいね。実際に運ぶ際は駐車場から建物内のごく短い距離ですから、少し移動できればそれで充分です」

「分かりました。ありがとうございます」


——確かに新聞とはわけが違う。難度は段違いだ。それは間違いない。そう、間違いなく段違いに簡単だ。だって折りたたまなくていいし、届けるのは一つの場所だし、入り組んでないし。ただ重いだけなら定義するエネルギーを大きくすればいいだけだ。何も難しくない。これを三日に分けてわざわざパトカー使うなんて、非生産的だ。きっと慣れない僕を気遣ってくれているんだと思うんだけど、流石の僕でも与えられた仕事ぐらいはする。それにこれを早く終わらせれば研究に時間をさけるらしいし。言ってみるものだ。


 初はいつも思い浮かべていた魔方陣を少し改造して、その模様を思い浮かべた。そして一度息を吸い込んでから指を鳴らした。ゆっくりとボックスは宙に浮き、そしてそのまま天井近くで大きく旋回しだす。初は自分の意のままに動いたことを確認すると、もう一度指を鳴らした。するとすぐにボックスは見えなくなった。それからしばらく初はその場でその透過が解除されるまで落ちないかも含めてジッと天井を見上げていた。


 透過させてからきっかり三分後、ボックスは再び姿を現し、その三十秒後に元ある場所へゆっくり落ちた。


——うん。全く問題なさそう。あとは飛行と透過の時間調整したら名古屋ぐらいまでなら運べるだろう。まあ時間の調整だけでかなりの時間潰れるから送るのは明日か今日の帰る時間ぐらいになりそうだけれど。その間はその施設をの正確な座標把握をすればいいし。とりあえず直線距離と海抜何メートルか、あとは届ける場所が建物のどこに位置するかを把握しよう。


 そう思い、さっきのタブレットに必要な建物情報が入っているだろうと、初が二人の方へ振り返った。しかし二人は初の方を見るでもなく、たださっき置いたボックスを目を丸めながら放心したようにただただ見ていた。


「えっと、すみません。建物の情報が知りたいんですが……」

「へ? ああ、はい。少し待ってくださいね。えっと……」


 話しかけるとすぐにシロは慌てたようにタブレットを操作し始める。


「こんな感じです」


 シロは目標地点である建物の平面図を表示してあるタブレットを初に渡した。建物(三十七支部)はどこかの企業の大きめの営業所の様に見えた。二つの三階建ての棟に広めの駐車場があるシンプルな構造で、ここと同じで一目で秘密組織の支部であるだなんて初には思えなかった。加えて外観の写真や土地の具体的な情報も載せてあった。


「今回、初さんに運んでもらいたいのはここに設置されている駐車場から少し離れたこちらの南棟まで運んでもらいたいです。運ぶ場所はどこでもよくて、とりあえず建物内に運べれば何でもいいらしいです」


 初が見る画面を同時に見るようにシロは覗き込んで指をさす。


「ありがとうございます。当日二階の窓を開けてもらうことってできますか? このボックスが入るぐらいの大きさの」

「ああ、それならここの南向きの窓なら……。って窓から運び入れるんですか?」

「はい。その方が楽なので」

「……なるほど」


——これならここからでも配達できそうだ。ここから目的地まで直線で六十三キロとで、運ぶ時の時速は大体三十キロだから二時間ぐらいか。とりあえずその時間持続させたことはないし、一旦検証してみよう。

 その部屋は初に質素な倉庫という印象をもたらした。駐在所の外観からは全く想像もつかないほどの空間がただ広がっていた。例えるなら体育館のような、そんな部屋だった。木製フローリングの床に同様の床、上部には複数監視カメラのようなものがあり、奥には黒いコンテナボックスが沢山並んでいた。初はおそらくこの中に弾薬が入っているのだろうと思い、シロに訊いてみると肯定された。

「へえ、こんな感じだったんすねー」

「みなみは知らなかったのか?」

「はいっす。あんまりうちから物資を運ぶことなんてなかったですから。運ぶとしても少量のなんてことないものばかりで保管しておくことなんてありませんでしたから」

 まるで観光地に来た時のようにみなみは辺りを見渡している。こうしていると初には少しみなみが同僚のように感じられた。そしてつられる形で初も改めて部屋を、特に天井の方を見渡した。

「少し持ち上げてもいいですか?」

「はい。いいですよ」

 初はコンテナボックスの内、一つを引き寄せて力を込めて持ち上げた。

——うん。これぐらいか。かなり重いけど大丈夫そうだ。

「じゃあもう一度、今度は魔法で持ち上げていいですか?」

「はい。ただ無理はしないでくださいね。実際に運ぶ際は駐車場から建物内のごく短い距離ですから、少し移動できればそれで充分です」

「分かりました。ありがとうございます」

——確かに新聞とはわけが違う。難度は段違いだ。それは間違いない。そう、間違いなく段違いに簡単だ。だって折りたたまなくていいし、届けるのは一つの場所だし、入り組んでないし。ただ重いだけなら定義するエネルギーを大きくすればいいだけだ。何も難しくない。これを三日に分けてわざわざパトカー使うなんて、非生産的だ。きっと慣れない僕を気遣ってくれているんだと思うんだけど、流石の僕でも与えられた仕事ぐらいはする。それにこれを早く終わらせれば研究に時間をさけるらしいし。言ってみるものだ。

 初はいつも思い浮かべていた魔方陣を少し改造して、その模様を思い浮かべた。そして一度息を吸い込んでから指を鳴らした。ゆっくりとボックスは宙に浮き、そしてそのまま天井近くで大きく旋回しだす。初は自分の意のままに動いたことを確認すると、もう一度指を鳴らした。するとすぐにボックスは見えなくなった。それからしばらく初はその場でその透過が解除されるまで落ちないかも含めてジッと天井を見上げていた。

 透過させてからきっかり三分後、ボックスは再び姿を現し、その三十秒後に元ある場所へゆっくり落ちた。

——うん。全く問題なさそう。あとは飛行と透過の時間調整したら名古屋ぐらいまでなら運べるだろう。まあ時間の調整だけでかなりの時間潰れるから送るのは明日か今日の帰る時間ぐらいになりそうだけれど。その間はその施設をの正確な座標把握をすればいいし。とりあえず直線距離と海抜何メートルか、あとは届ける場所が建物のどこに位置するかを把握しよう。

 そう思い、さっきのタブレットに必要な建物情報が入っているだろうと、初が二人の方へ振り返った。しかし二人は初の方を見るでもなく、たださっき置いたボックスを目を丸めながらただ見ていた。

「えっと、すみません。建物の情報が知りたいんですが……」

「へ? ああ、はい。少し待ってくださいね。えっと……」

 話しかけるとすぐにシロは慌てたようにタブレットを操作し始める。

「こんな感じです」

 シロは目標地点である建物の平面図を表示してあるタブレットを初に渡した。建物(三十七支部)はどこかの企業の大きめの営業所の様に見えた。二つの三階建ての棟に広めの駐車場があるシンプルな構造で、ここと同じで一目で秘密組織の支部であるだなんて初には思えなかった。加えて外観の写真や土地の具体的な情報も載せてあった。

「今回、初さんに運んでもらいたいのはここに設置されている駐車場から少し離れたこちらの南棟まで運んでもらいたいです。運ぶ場所はどこでもよくて、とりあえず建物内に運べれば何でもいいらしいです」

 初が見る画面を同時に見るようにシロは覗き込んで指をさす。

「ありがとうございます。当日二階の窓を開けてもらうことってできますか? このボックスが入るぐらいの大きさの」

「ああ、それならここの南向きの窓なら……。って窓から運び入れるんですか?」

「はい。その方が楽なので」

「……なるほど」

——これならここからでも配達できそうだ。ここから目的地まで直線で六十三キロとで、運ぶ時の時速は大体三十キロだから二時間ぐらいか。とりあえずその時間持続させたことはないし、一旦検証してみよう。


 もう一度初は指を鳴らし、ボックスを浮かせて光の透過の魔法も発動させた。そしてボックスが戻ってくるところにハンカチを置いておいた。

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