リラ、13歳になる
さらに年月がたち、私は13歳になった。
私は今ではすっかり王宮に入り浸るようになっていた。その理由はもちろん本だ。王宮には大きな図書館がある。まさか婚約者に会いに行くため、などではない。
「また、本を読んでいるのか。」
「あれ、ユリアス殿下?剣の練習の帰りですか?」
私に話しかけてきたのは第一王子のユリアス殿下。私が会ったら話しかけてくれなどと言ったからか。会うたびに話しかけてくる。
「ああ。てか、お前は運動しないのか?運動しているところを見たことがない。」
「私は本を読むことで脳を使っているので、エネルギーは使っているのです。」
「意味が分からん。あ、運動しないのは、運動音痴だからとか、」
「あ!いや、私だってできますよ、やれば、多分。」
私は顔をそらした。いや、前世では運動もできたから!できるはず…
私は今までまともに運動していなかったことに今気づいた。
「なら、今そこで走ってみろ」
「いやいや、ここではだめしょう。ここは図書館です!図書館は走るところではありません。本を読むところです。」
「なら、外に行くぞ。」
「はい?なんで。」
私は手を引かれ、無理やり外に連れ出された。もう、せっかく本がいいところだったのに。
「うう」
外に着いた、いや着いてしまった。
「走ればいいのでしょう?走ったら、」
「そうだ。」
「はあ、」
私は全力で走り出した。体が重い。やばい、これは無理かも。
「うわぁっ」
「ドーン!」
「いててて、」
私は転んでしまったみたいだ。こういう時に、ユリアス殿下が助けてくれたりは、、しない。
仕方ない、そういう人なのだから。きっと傍で笑いながら見ているのだろう。
「あはは。まさか転ぶとは思っていなかった。」
案の定、彼は笑っていた。
「うう」
「これはしょうがないのですよ。だって私は今まで…勉強や楽器に力をいれていたのですから。」
「言い訳ってやつだな。」
「…」
「私はもう行きますので」
私は小走りでその場を去った。
「今度は転ぶなよ!」
「大丈夫ですよ、それくらい。」
「街にお出かけですか?」
ある日の午後、私はクレイン殿下とお茶会をしていた。彼は11歳になっている。結局彼とはそこまで仲良くもないし悪いともいえないくらいの関係だ。婚約破棄の話はまだ出していない。彼の交友関係が広くなったときにサラッと告げるのが良いだろう。
「はい、そういうのも楽しそうかなって、」
「確かに…でも私たちがそのままの格好で行っても良いのですか?私はともかくクレイン様は。」
「それに関しては案があります。髪を2人とも黒にでも染めましょう。2人とも一応目は青いから、兄弟くらいには見えるかなって。」
「なるほど、それでも本当に良いのですか?」
「大丈夫です。」
「兄弟設定にするなら私が姉になりますね。」
「えっ?あ、そうなりますね。」
「どうかしました?」
「なんか僕が弟になるのが情けないなと思って。」
彼は自分が年下なことが悔しいのだ。私は急に彼のことがとても可愛く思えてきた。ついつい頭を撫でてしまった。
「子供扱いしないでください。」
殿下はほっぺを膨らませている。この癖は小さい頃から変わっていないみたいだ。
「ごめんなさい、でもなんか可愛らしくて。」
あ、言ってしまった。でも、いいよね?彼も多少は気づいているだろう。
「どうなったら…僕がどうなれば年下扱いをやめてくれますか?背が大きくなったら?」
「うーん、身長とかもそうなんだけど、やっぱり心が成長したらかな。」
「心…そういえばリラさんはユリアス兄様のことはどう思っているのですか?」
「え?ああ…あまり好きではないですよ。あの人、結構意地悪ですし。」
「そうですか。なら安心しました。」
「え、何に?」
「それは秘密です。」
殿下はまだ子供っぽいところはあるけど、他の人よりはだいぶ落ち着いていると思う。ただ中身が高校生な私からするとまだだいぶ子供なのだ。




