リラへの婚約話2
第二王子殿下のクレイン様に会う日が来た。私は前回よりもさらに豪華な服を着せられた。もう、こんなことしなくていいのに。今日はイヤリングはつけてない。前回のことがあったからだ。
ちなみに私は婚約を受ける気はない。この先嫉妬をかう可能性があるから。と、思っていたが、
「はじめまして。僕はクレイン•クラヴィーアといいます。あなたはリラ•ハーペスト様でよろしいですか?」
クレイン殿下はとても純粋そうな人だった。あと、とても可愛らしい。髪は濃い金色で瞳はブルー。私は成長した姿しか見たことなかったが、成長後もわりと童顔で可愛いらしかった気がする。
「あなたに婚約を申し込んだ理由はだいたい手紙に書いたとおりです。僕はあなたに一目惚れしました。だから、どうかこの話を受けてもらえませんか?」
ええっと、一目惚れ?そんなことは手紙には書いてなかったはずなのだけど…
「ええ…」
「年下ではだめですか?」
クレイン殿下は私より2歳下だ。彼はそのことを気にしているらしい。少しほっぺを膨らませていた。これは無意識なのだろうか?
「いや、別に歳に関しては気にしていませんよ」
「そうですか、ならこの話、受けてくれますよね?」
うう、目の輝きが増している。この方はどうやら感情が顔にすぐ出るタイプの人らしい。
「ええ…」
「無理ですか?」
もう、そんな悲愴な顔をしないで。ただ、表情を変えるわけでもなく…私は心に大ダメージを食らった。
「…」
私は断ろうとした。が、無理だった。
だってこんな風に懇願されて断れるわけないじゃなーい!この子が悲しむ姿なんて見たくないよ。
「わ、わかりました。この話、受けることにします。」
「えっ?本当に?いいんですか?」
「はい。」
「やったあ!よろしくお願いします、リラ様。」
さっきの悲しそうな顔が一気に明るくなった。満面の笑みを浮かべている。やはりこの子には笑顔が似合うよ。
これはしょうがないだ。私は年下からのお願いを断るような悪い人間にはなりたくないから。
「あ、様付けはやめてください。身分が違いすぎます。」
「なら、リラさんと呼ばせてもらいます。」
リラさん、なんかそれも嫌だけれど…
「よろしくお願いします。」
私のメンタルが原因で婚約してしまったことはあれだけど…もう少し大きくなってから婚約破棄すればいいのよ。どうせこの世界には私以上にいい人がたくさんいるはずだし。
そういえば帰り道にユリアス殿下に会った。もう日が沈みかけているところだったが、1人で庭園のベンチに座っていた。
「殿下、どうしてそんなところにいるのですか?こんな時間に。危ないですよ。」
「ああ、お前か。」
「お前とはひどいですね。私にはリラという名前があります。」
「王族に面と向かってひどいなどというやつは初めて見た。さては、相当命知らずだな。」
「え、いや。今のは失言です。ついつい言葉に出てしまっただけ、というのもありますが…私は、あなたがそんなに怒ったりはしないと思って言ってしまった気もするのです。ユリアス殿下は確かに刺々しいし、口が悪いけど、根っからの悪人ではない気がするんです。」
「え?」
「実際どうなのかは知りませんけどね。これはあくまで私の推測です。」
「はん、そうか。」
「お前は、いや、あなたはクレインの婚約者になったのだろう?」
「そうですけど、何か?」
「クレインはいい奴だ。きっと君のことも大切にしてくれる。」
「結局、弟自慢ですか。いいですね、可愛い兄弟がいて。」
「ああ。」
「あ、もうこんな時間。ではさようなら、ユリアス殿下。今後は王宮に顔を出す機会が増えると思うので、会ったら声をかけてくださいね。」
「…分かった」
あれ、私声かけてくださいとか言った?なんてことだろう。自ら攻略対象に近づいてしまったようなものだ。




