クレインの恋
僕、クレイン•クラヴィーアはとても興奮していた。原因は1人の少女にある。
今日の午後、クレインが庭園を散歩していると東屋のほうから何やら音が聞こえてきた。行ってみると兄のユリアスがピアノを弾いており、1人の少女がバイオリンをピアノに合わせて弾いていた。聞いたことのない曲だった。何だあの曲は!なんかとっても優しい感じがする。でも少し悲しさも含んでいる。とにかく美しい曲だった。
ユリアス兄様がピアノが上手いのは知っている。ただ、あの子は?あの少女もなかなかにバイオリンがうまかった。
しばらく演奏を見ていると、少女の方と目が合った。彼女は桃色の髪に青の瞳を持っていて、とても可愛らしい顔立ちをしていた。僕は目が合った瞬間に逃げたが、いまだにさっきの演奏と彼女の顔が頭から離れない。いったいあの子は何という名前なのだろう?
僕は夕食の時間、兄に彼女について尋ねることにした。
「今日の昼に兄様と一緒にバイオリンを弾いてた人は何という人なのですか?」
兄様は
「ああ、あいつか?あれはリラ•ハーペスト。ハーペスト家は公爵家だ。」
と言っていた。兄様が人の名前を記憶しているだなんて珍しい。
「兄様はあの方と婚約するのですか?確かあのお茶会はお見合い?のようなものだったとか。」
「は?」
「あら⁈」
みんなの視線がここに集まった。僕は言ったことを少し後悔した。兄様は
「するわけないだろ。婚約なんて。」
と即答した。
「ええ〜、ユリアス婚約しなさいよ。あんないい子、なかなかいないわよ。楽器もできるし、賢いし、あと可愛い!私、あの子が自分の娘になると思っていたのに。ここに来ることを考えて何を着せようかまで考えていたのよ。」
母様は婚約しないことに対して、残念に思っているようだ。でも、僕は内心喜んでいた。
「あの、母様、もし兄様があの方と婚約しないのならば、僕の婚約者にしてもらうことはできませんか?」
「え?」
「あら?」
一同は目を丸くしてこちら見た。
「実は、今日のお茶会の様子を少し見ていたのです。演奏しているところを。それでバイオリンがすごい綺麗で、あ、ピアノもすごかったです。あと、僕とあの方が結婚すれば、あの方は母様の娘になるでしょう?だから、」
「あらあら、まあまあ、クレイン。あなた、リラちゃんに恋したのね。あ、婚約はもちろんいいわよ。相手がいいといえば。ユリアスもいいわよね?」
「なぜ俺に聞くんだ?」
「いや、一応ね。」
「なら決まったわ、早速明日にでも手紙を出しましょう。」
「はい。」
僕はどうやら恋をしたらしい。それも一目惚れというやつだ。まさか自分がこんなことになるなんて、思ってもいなかった。彼女、いいや、リラさんには婚約話は承諾してもらえるのだろうか?僕はドキドキしながら手紙の返事を待つことにした。




