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少年との出会い

 リラがバイオリン練習を終えて屋敷に戻る途中、なぜかやけに騒々しかった。何か問題が起こったのだろうか?すると

「リラ様ー!」 

という声が聞こえた。そして現れたのはメイドの

「カリナ!なんでここに?」 

「それはこちらのセリフです。」 

カリナはとても息を切らしていた。

「まあまあ、落ち着いて。ええっとよく分からないけど私はバイオリンを練習していただけなの。ほら、森の奥って静かで練習に向いているのよね。それでなんでそんなに私のことを探していたの?」 

「今日、王宮であるお茶会に招かれていたではないですか!」 

「は?」 

あれ、そんなんあったっけ?  

「ってああー!忘れてた!ごめんなさい、完全に忘れてましたー!」   

そうだ、今日はお茶会があった!なんで忘れていたんだろう私。

 

その後、屋敷に帰って大勢の慌てたメイドや執事に迎えられとても気まずい思いをすることになる。そして、結局茶会には行かなかった。 



後日、私は父親に呼び出された。きっと先日の件だろう。 

「リラ、実はな。前、王宮で開催された茶会に行かなかっただろう?あれが本当はかなり重要なやつで、王子殿下の婚約者の選考も兼ねていたんだ。で、あっちがお前が来なかったことに興味を持ったのか、今度王宮に来いと言われた。バイオリンも聞いてみたいそうだ。」     

「婚約者は結局決まらなかったのですか?」 

「ああ。有力候補は決まったがな。」 

「王宮ですか…他の人は?」 

「他の人はいない。」 

「ええ…」 

「お呼ばれしたことは喜ばしいことだ。なにせ王子殿下がお前に興味をもってくれたのだから。このままいけば婚約者になれるかもしれないぞ。」 

私としては婚約者になんて絶対になりたくないのだが。てかヒロインに婚約者なんているもんなの?普通いなくない?ただ、王宮からの話を断れるわけがない。

「分かりました。あ、けど1つだけ、ピアノを伴奏してくれる人が欲しいです。」 



 私はなんとか平静をよそおえたが、内心ではかなり焦っていた。実は先日の茶会の件、かなりいい働きをしたのではと思っていたのだ。茶会に行くということは王子殿下と接触することになる。もちろん王子は攻略対象の1人だろう。会うのを回避できたことはかなりいい事だったはずなのに。もし今度の茶会に行って何か変なことがあったら…いや、そんな婚約者になってしまうとかそんなことを思っているわけではない。ただ私はいちおうヒロインだし容姿もそれなりに良い。だから何かあってもおかしくないのだ。 





 そして約束のお茶会の日が来てしまった。私はメイドたちに豪華な服を着せられた。体が重い上に心も重いため私の気分は最悪だった。  

ちなみにバイオリンの曲は「パッヘルベルのカノン」を演奏することにした。この世界にはなかったが、私は楽譜がわかっていた。本当はチェロのバージョンが1番好きだったが、バイオリンでも十分合う。 


 「すごい、これが王宮か。」 

 王宮は予想以上にひろいところだった。そして、庭が綺麗!なんと小さな川まである。私はお茶会まで少し時間があるので、1人で散歩をしていた。 

「ぽちゃん」 

うん?

「ああー!」 

下を見るとつけていたイヤリングが片方、近くにあった池に落ちていた。どうしよう。今日のために家族にもらった大切なやつなのに。池は浅い。がんばれば拾えそうだ。 

「よし。こうなったら…」

私は周りに人がいないことを確認してから靴と靴下を脱いで足を池に突っ込んだ。 

「つめたっ!」 

そしてスカートを持ってイヤリングを探し始めた。さいわい池は澄んでおりイヤリングはすぐ見つかった。ただイヤリングが錆びないといいのだけど…池から出ようとしたとき、 

「誰だっ?そこにいるのは」 

「えっ?」 

声の主は、1人の少年。グレーっぽい茶色の髪に、銀色の瞳。歳は私と同じくらい。 

「お前は一体そこで何を?」 

「イヤリングが水の中に落ちてしまったので拾っているだけです。」 

「池にわざわざ入る必要はないのではないか?」 

「いや、だって、服が汚れますし。」 

「……」 

急に彼は黙ってしまった。しかしよく見ると、肩が微妙に動いている。 

あ、こいつ笑いを堪えているな。 

「あの、笑いを隠すのはやめたらどうです?あなたが笑いを堪えていることは見ればすぐ分かりますよ。」 

「あはははは、」 

私が注意した瞬間に彼は笑い出した。ものすごく笑っている。さすがに失礼ではというほどに。私はすこし怒り気味になった。 

「何がそんなにおかしいのですか?」 

「何がって、すべてだよ。自分の身より服を大切にするところとか。」 

「はあ。そうですか。」 

「で、とりあえず靴を履け。」

私はずっと池に入っていたことにやっと気づいた。そして私が靴を履いている間も少年はいた。 

「なんですか、ずっと見ていて。用がないならさっさといなくなってください。女が靴を履く瞬間を見ていても楽しくないでしょう?」  

と言ったが少年は去らず、、

そして私が靴を履き終わると、 

「足を人前で出すのははしたないぞ」 

と言ってさっていった。いったいなんだったんだ。全く、性格の悪い人だ。  


そしてリラはまだ知らない。ここで会った少年の正体を。


 








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