悪役令嬢、アナベル・デリシエスの1日
アナベルは今日も自分専属のシェフに作らせた朝食を食べていた。今日はプレーンオムレツにアボカドとトマトのサンドイッチだった。今日のパンは新しくできた店のものでしたっけ?なかなか美味しいじゃない。アナベルは食に関しては人一倍こだわりがある。美味しい食べ物のためなら隣国にだって行ってやるわよ。
さて、今日は街に行く予定でしたわね。目的は、もちろん食べ歩き…ではなくて、あの子を探すこと。あの子とは、この前プレッツェルを譲ってくれた平民の女の子。
それは前にアナベルが街に行ったときのことだった。新しく店ができたのでそこのプレッツェルを食べようと思ったらまさかの売り切れ。そしてカッとなってしまい店主に当たり散らしてしまった。あの時は我ながら恥ずかしいことをしてしまったわね。そしてまさか年下で平民の女の子にプレッツェルを譲られるとも思っていなかったし。結局あのあとプレッツェルは美味しくいただきましたが。
アナベルはすぐにイライラしてしまったり人一倍競争心が強いタイプだ。これは自分でも自覚している。しかし生まれながらなのだからしょうがない。
女の子については見つけたら私の侍女にでもしようかしら。そうしたら私は感謝されてたいそう慕われるようになるのかしらね。
アナベルは例の女の子のことを見つけたあとの計画をしっかり立てていた。ただ街で1人の人を探すことはとても大変だと分かっている。ただ、アナベルには謎の自信があった。なぜかあの子に運命を感じたのだ。
その女の子とはもちろん変装していたリラのことだったが…
疲れた、、街にたどり着いて20分、アナベルはすでに見つけることを諦めかけていた。街にはたくさんの人がいる。このことがあるだけでも見つけることは難しいのに…さらにあの子は黒髪と目立たない髪色をしていた。黒髪の人はここに数えきれないほどいる。もう、髪がピンクとか赤だったらよかったのに。アナベルは1人でまた怒っていた。これが始まるとなかなか治らない。
こうなったら人探しは一旦やめて、休憩にしよう。
アナベルはいつものお気に入りのカフェに入った。ここの紅茶が最高に美味しいのよね。熱々で。最初の方はいきなり飲んで火傷して二度と来るまいと思っていたけど…ただ最近良さを理解するようになった。そのため今ではすっかり常連だ。店に入ると中に1人の知り合いがいた。
「あら、ユリアス殿下ではないですか。ごきげんよう。」
「アナベル•デリシエスか。」
「私の名前を覚えててくださったんですね。嬉しいです。」
「同学年の生徒の名前はほぼ暗記している。ところで何か用でも?」
「まあ、冷たい。私は殿下の同級生としてあいさつしただけですのに。あ、でも用が1つ。ここの近くで黒髪で青い目の平民の女の子を見かけませんでした?あと、よく似た見た目の弟のような人物も一緒にいたかも…」
殿下は一瞬はっとしたような顔をした。ただ、返ってきた返事は
「知らない。」
というものだった。
結局女の子は見つからず、街で食べ歩きをしただけになった。
黒髪で青い目の平民の女の子、あとよく似た弟。ユリアスはアナベル•デリシエスが言っていたことを思い出していた。その2人とは自分の弟とその婚約者のことではないか?いや間違いなくそうだろう。あのときだ。前に変装して街に出かけていたとき。ただあいつらがなぜそんなに目をつけられている?やはりあの格好は良くなかったか。
あのとき、ユリアスは無関心そうに見えて実はかなり2人を心配していたのだった。あの2人は一応可愛い。弟は間違いなくそうだがあいつ(リラのこと)も顔はかなりいいだろう。その2人だけで街に行くだなんて危なすぎる。などと思っていたのだった。
アナベル嬢は気が強く怒りっぽいと有名だ。そんな人に目をつけられるなんて。これは守ってやらないと。
こうしてユリアスは影で2人の保護者になった。




