初めての授業
今日は学校で楽しみなことがある。それは初めての授業だ。授業を楽しみにしているだなんて前世ではありえないことだったが、今世では違う。私はこの世界での学習内容に大いに興味を持っていた。いったいどれくらいのレベルのことを習うのだろうか?私は中学生だったからある程度のことは理解できるはずだ。特に数学は楽しみだな。
教室に着くといつもどおり生徒たちが戯れていた。このクラスにはだいぶ慣れてきた。朝のこの空気感、本当に懐かしいな。私は学校ではなんでも懐かしいと思ってしまうようになっていた。ただ新しいこともたくさんある。例えばこの学校の教室には自分の決まった席というものがない。生徒たちは友達などと一緒にランダムな席に座っている。だからこそ友達がいないぼっちにとってはとてもつらいのだが。しかし私はもうぼっちではない。だって友達ができたんだから。
「おはよう、ミルトン。」
「おはよう。」
ミルトンとはあれから仲良くしていた。やはり朝の教室でチャイムが鳴るまで友達と喋る時間は楽しい。1日の中でも至福の時間だ。
「そういえば今日から授業があるね。ミルトンは楽しみ?」
「うーん。普通かな。授業するくらいなら本を読んでいたい。あ、国語だけは楽しみだよ。小説がのってるから。」
「あはは、ミルトンらしいね。」
「そういうリラはどうなの?」
「私はね、数学が楽しみなんだ。国語はあまり好きじゃなくて…本をたくさん読むのにおかしいよね。」
「なるほど…」
チャイムがなると私は席についた。今日はあえて知らない子の隣に座ってみた。女子の友達を作りたいから。
1限目は数学。そして内容は、割合の計算方法について。
なるほど、意外と実用的なものを習うんだ。さすが異世界。前世では数学なんてあまり役に立たないと考えていた私だった。
うふふ、みんな割合に苦戦しているみたい。私は1人で悪い笑みを浮かべていた。周りからは変人に見られているだろう。ふふ、割合なんて簡単なものよ。日本では小学生で習うくらいなのだから。私は前世でもわりと勉強は得意だったし。私は苦戦しているみんなを見て自分はできるという優越感にひたっていた。これでは私が悪役令嬢みたいではないか。いけない、いけない。
この学校にはクラブというものがある。まあ、日本でいう部活だ。私はせっかくなので入ろうと思っていた。問題はどれにするかだ。まず運動部は論外。私は運動ができない。これは最近では自分でも認めるようになっていた。となると文化部だね。確か美術、科学、新聞、料理、手芸などがあったはず。うーん、この中なら料理かな。そういえばこの世界に来て料理をしたことはほとんどない。まあ普通に考えて公爵令嬢が料理をすることはありえないのだろう。確かゲームの中のヒロインは運動部のマネージャーをしていた気がするけど。マネージャーだなんてやってられない。
そして同じ頃、悪役令嬢アナベルも料理クラブへの参加を決心していた。




