街へ2
アナベル・デリシエス、
彼女は乙女ゲームの悪役令嬢だ。第一王子の婚約者。
あれ?ユリアス様って婚約者いたっけ?私の記憶ではいなかった気がするが。
「本当に何とかできないの?私は公爵令嬢、アナベル・デリシエスよ。」
「なんと、」
向こうではまだ騒動が起こっているらしい。これは解決するべきか。私は自分が手にしているプレッツェルを見た。これをあげれば何とかなるかもしれない。
「レイン、これをあの人にあげてもいい?」
「えっ?別にあげる必要はないと思うけど。」
「でも、これで私たちに攻撃とかしてきたら大変でしょ?だからあげるべきだと思うんだよね。」
「わかった。これはまた今度にしよう。」
私は悪役令嬢の元へ向かい出した。一応今日は平民の設定だ。本当ならば声をかけるのも許されない存在なのだろう。
「すみません。」
周りの視線が一斉に私に向く。
「もし良かったらこのプレッツェルいりますか?口はまだつけていません。」
「え?」
店主も悪役令嬢も驚いている。私はもう逃げ出したくなった。私は店主にプレッツェルを渡すと大急ぎで走り出した。
「それはあげます!。私はもう行きますので。」
その後、クレインを連れて街を出て結局王宮に戻った。彼には申しわけないことをしたと思っている。でも、悪役令嬢に話しかけてプレッツェルをあげれたことだけは褒めて欲しい。
冬になり雪が少し降るようになった。寒がりのリラは外に一歩も出ることなく家にこもっていた。王宮にもしばらく行っていない。そんなリラのもとに一通の手紙が届いた。
内容は王立学園入学に関するお知らせ。
この国には14歳になった貴族の子供は3年間、学校に通うという法律がある。私も通わなければならない。そして、その学校が王立学園。そこは乙女ゲームの舞台でもある。
ついにきたか。学園。
はあ、憂鬱だ。学園は乙女ゲームの舞台。つまり悪役令嬢がいる。私がいじめられる可能性は十分にある。
別に学校自体が嫌なわけではない。私は学校はわりと好きな方だ。なんなら新しい友達とかもできたらなと思っていたのだが… まあ、とにかく悪役令嬢は全力で避けることにしよう。あと、攻略対象も!
私はあとから大変な問題に気づいてしまった。ハーペスト公爵家は王都から遠い。毎日家から通学するのは無理だろう。
「お父様、大変です。ここからは通学できませんよ!私は寮に入らないといけません。」
「おおっ!忘れておった。確かにここからは通学できん。ただ、寮に入れるのは…」
寮に入る人はあまりいない。ほとんどの人が王都近くに住んでいる親戚に頼ったりしている。
「それなら学園の近くに引っ越すか?」
「それは、私はこの家を気に入っているのです!」
「困った。うちは学園の近くにはあまり頼れる人がいない。」
「どうしましょう。」
「うーむ、あっ!王宮に住ませてはもらえないだろうか?」
「はい?」
いやいや、それは少しまずい。誰に見られるか分からないし、何より気まずい。
「お父様、それは王宮の人は許してくれるのですか?」
「今度聞いてみよう。」
私は許しが出ないことを祈っていた。
そして翌週、王宮から返事がきた。
内容は「住まうことを許可する」とのことだ。
はあ、まさか許可されてしまうとは。私は運はないらしい。
私は改めて皆にあいさつをするため、王宮に赴いていた。
「春からここに住まわせていただくことになりました。改めてよろしくお願いします。」
「そんな堅苦しくなくていいのよ!私は嬉しいわ、リラちゃんがここに住んでくれることになって。娘が1人できたみたい。あ、なんならお母さんと呼んでくれていいのよ。」
「いえいえ、それは流石に…」
「でも、将来どうせ私の娘になるでしょう?」
そうだった。私の婚約者は第二王子だった。そして、私の婚約者はというと、
「リラさんがここに住んでくれるだなんてとても嬉しいです。学園に入ったらあまり会えないと思っていたので。」 と言っていた。私としては歓迎してもらえたのは良かったと思っている。1人を除いて。
その1人とはもちろんユリアス殿下のことであり、彼は
「はん、お前が来るだなんて騒々しくなりそうだ。」
などと言っていた。いつものことなので別に気にしていない。
ただ彼とは学年が同じだから家でも学校でも同じになる。それはかなり面倒くさい。




