第18小節目 吹いていれば完璧 その2【番外編③】
森の中で静かな時間が流れる中、葉擦れの音がそよ風に乗って心地よく響いていた。
その時、クロウリーが何かを感じたり、「待て」と言った。
その声に全員が緊張する。
「聴こえる…、オカリナの音が。」
クロウリーは目を細めて耳をすませた。
「えっ。」
ユーリは首を傾げる。
いや何も聞こえないけど?とユーリとバッツは言うが、
「いや、間違いないね。」
クロウリーは自信たっぷりに、木立の方を指さした。
「誰かが吹いてるよ。
繊細で、澄んだ音色だ。絶対にオカリナだ。」
(ただの鳥の鳴き声に聴こえるけどな…。)
左のバッツは軽く鼻を鳴らしつつ、心の中でつぶやいた。
「きっと素晴らしい奏者がいるに違いない。
早く会わなければ。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ。」
ユーリが慌てて追いかけ、バッツたちも仕方なく追っていく。
しかし結局奏者らしき人物には出会わず、ただ風と鳥のさえずりが交互に響くだけだった。
「ふむ…。もしかすると、風に乗った幻の音色だったのかもね…。」
「ほら、やっぱり。」
ユーリは少し困ったように笑った。
(クロウリー王子って、もしかして少し天然…?)
学生時代の友であり、今は彼の従者として仕えているエドワードに言わせてみれば、
『彼は黙ってオカリナを吹いていれば完璧なのだけど…。』
だそうだ。
つづく




