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強敵現る




 「お姉ちゃん達は、ちょっと用事が出来たから、行けないのよ」


 「そうか、さっきの悪者達をやっつけに行くのね!」

 「分かった!」「気をつけてね!」


 「え!?」

 ミラーの言葉にクレハは一瞬言葉を失った…。


 「そうかも知れないけど、そうじゃないかも知れないけど」

 「そう言う事でいいわよね!」


 セルアルとスハノの方を見ると、二人共呆れていた・・・。

 

 



 「あの、本当に手伝ってもらっていいのでしょうか?」


 「は?スハりん、今更何言ってるにゃ?」

 「一時的とは言え、私もギルメンだから手伝うのは当然にゃ」


 「俺も同じですね」「なんせ、仲間だからね」

 また、スハりんに、にゃ〜言葉になってるし・・・

  スハノはスルーしてるけど…

 

 「二人共有難う!」


 スハノが軽く頭を下げた時、受付嬢が駆け寄って来た。

 

 「あの、すいません」「スハノさん達に、お願いがありまして」


 「あ、ごめんなさい」「私達、今からさっきの連中を…」


 「実は、その連中の事なんです」


 「え?どう言う事?」


 


 そして、受付嬢から事情と依頼先を確認した後

  正式に冒険者協会からの依頼として、スハノ達は受諾した。


 「いや〜それにしても、正式な依頼になるとは思わなかったにゃ〜」


 「それにしても、さっきの連中」「確かギルド名は『黒い爪痕』でしたっけ?」

 「仲間のギルメンを盾や囮に使うなんて、許せないですよね」

  

 「ええ、絶対に許さない」

 「以前にも一度あった時、囮に使った冒険者が、死んだのもあって

  そのギルドは、解散に追い込まれたみたいだけどね」

 そう静かに呟いたスハノの握りしめた拳が、怒りで震えていた。

 

 スハノ達が、協会から貰った『黒い爪痕』が受けた依頼先の地図を

  見ながら先へと進む様子を、『黒い爪痕』の連中が、少し離れた場所から隠れて見ていた。


 そしてスハノ達が、見えなくなるのを確認してから、立ち上がった。

 「ちっ、協会に怪しまれていたのか!」「くそ!」

 「まさかとは思うが、お前ら言ってねぇよな!」


 「言ってないです」「なあ」


 「うん、絶対言ってない」


 「まあ、そうだよな」「お前らの父親の借金返さなきゃだしな」

 「協会に怪しまれるとは、思わなかったが…」

 そう言って、四人が顔を見合わせると、二人を引き摺り

  茂みの奥へと連れ込んだ。


 そして、男の冒険者の腹部を蹴り上げ、横っ面を思い切り殴った。


 「グハ」「な、何を…」

 うつ伏せに倒れてる男を見下ろして、唾を吐き掛けると

  妹の服を引き剥がし始めた。


 「いや〜」「やめて〜」

 両手で胸元を押さえた少女の頬を、平手で打った。


 「腕、邪魔だよ〜」「直ぐに終わるからさ〜」

 「まあ、あと三人いるけどよ〜」


 「や、やめろ〜」

 必死で立ち上がり、ヨロヨロと妹の前まで歩いて

  庇う様に仁王立ちになった。


 「お〜流石、お兄ちゃんだね」「だけどな、お前は、もう死んでいいぞ」

 剣を振り下ろすと、左肩から右の腰辺りまで、一気に切れて

  大量の血が飛び散り、そのまま膝から地面に崩れ落ちた。

 

 「お兄ちゃん!」「お兄ちゃん!」「誰か!誰か!助けて〜」


 「馬鹿か」「こんな所、誰も来ねぇよ」「諦めるんだな〜」

 妹が悲鳴を上げてるのもお構いなしに、ビリビリと力づくで

  服を破り始めた。

 「ぐへへ〜」

 舌舐めずりをした時、男の頭が『ゴロゴロ』と地面に転がり落ちた。

 

 セルアルが背後から、男の首を捻じ切ったのだった。


 「セルっちを殺そうとしてないのに、どうしたのさ」


 セルアルは静かに息を吐いた

 「外道、死すべし」


 「お〜セルっち」「かっこいいにゃ〜」


 「お前ら、ど、どうしてここに!」「俺達の依頼先とは、逆方向だぞ!」


 「はぁ?」「そんなの決まってるでしょ」

 「察知した依頼先に、お前らの姿を感知できなかったらね」

 「私の察知能力を舐めてもらっちゃ、困るにゃ〜」

 「スハりんは、そいつの治療を頼むにゃ」

 

 「分かりました!」

 

 「じゃあ俺達はコイツらを」


 「くそ」「舐めやがって」「おい!あれを使え!」


 「制御できねぇかもだぞ」「って言っても、コイツら始末しねぇと

  俺たちゃ終わりだしな!」

 アイテム袋から取り出したのは、男の手の平の上でドクドクと

  不気味に動いてる、それはまるで心臓の様だった。

 

 「俺達の魔力を注いでやる、蘇れディアボロス!」


 「マヂか」「セルアルこりゃ、ちっとばかしヤバいぞ」


 クレハの真面な言葉遣いから、そのヤバさがセルアルに伝わった。


 ドクドクと動く心臓に三人の男の魔力が注入されると

  それは、どんどん大きくなり体、腕、足、大きな角が生えた頭。

  そして、三メートル近い恐ろしい魔物へと姿を変化させた。

 『グォ〜〜〜』

 途轍もなく大きな咆哮は、音だけではなく、風圧で飛ばされそうになる程だった。


 「ちょ」「スハノ!なんとかその二人と安全な場所まで、避難出来るわね」

 

 「え?でも」


 「スハノ」「大丈夫、俺達を信じてくれ」


 「分かった」「セルアル、クレハさん頑張って!」


 そして二人がディアボロスに体を向けると、ギルド『黒い爪痕』の

  メンバー三人が、襲われてベキベキと音をたてながら

  食べられていた・・・。


 「うは」「マヂか」

 「どうした?」「セルアル、ひょっとして怖いのか?」「震えてるぞ?」


 「正直言うと、怖いですね」「勝てないと思える程の相手ですから」

 「でも、俺はあの化け物よりもっと怖い人を、知ってますから」


 するとクレハが大声で笑い出した。

 「言うじゃない」「確かに、ミルセさんの方が怖いかもね」

 

 そして、二人はゴクリと息を飲み、ディアボロスと対峙したのだった。

 


 

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