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そうかも知れないけど、そうじゃないかも知れない。

 


 「何も泣く事ないじゃない」


  「セ、セルアルさん、大丈夫ですか?」


  「大丈夫?」


  「あ〜大丈夫」「ごめん」「嬉しくても、涙って流れるんだね」


  笑顔で答えた、セルアルを見てスハノ達三人と、クレハは

   自分の目頭が熱くなるのを感じたのだった。

  

   


  翌日、クレハとセルアル達四人が、冒険者協会を訪れると

   もう既に大勢の冒険者でロビーは、混み合っていた。


 「うわ」「もの凄い人ですね」


 「そう言えばセルアルは、この時間に来るの初めてだったかしら?」

 「この時間は、何時もこんな感じよ」「とは言っても、カルラ様の付き人に

  なってからは、ここに来る事も無くなったけどね」

 そう言ったスハノの前を、二人の冒険者が行手を阻む様に立っていた。


 「あの、何か用ですか?」

 スハノが二人の冒険者の顔を見て、思わず声を上げた。


 「あ、あなた達、久しぶりね」

 

 「実は俺達、スハノに話があって…」


 「そう、でもここじゃ皆んなの邪魔になるから、テーブル席に行きましょうか」

 「私はこの人達と話があるから、先にカルラさんの所に行っててくれない?」


 「え〜俺達も一緒だと邪魔かな」

 セルアルが二人の冒険者を見ながら言うと、続いてミラーも便乗した。

 「一緒だと、邪魔かな〜」


 二人は顔を見合わせると二つ返事で、了承した。


 「やった」「なんか邪魔するみたいで悪いですね」

 さっきと同様、ミラーが繰り返した。

 「悪いですね」


 「いえ、全然大丈夫ですよ」「聞かれてまずい話をする訳じゃないので」


 「ホント、悪いわね」「うちの連中が…」


 「ギルマスの付き人やってるんだろ?」「凄いよな」


 「あ〜ちょっと訳あって、さっきの連中とギルドを

  立ち上げてね」「だから付き人と兼用って感じかしら」


 「そ、そうか」「ギルドを…」「仲が良さそうだね」

 

 「そりゃ」「一応、な、仲間だしね!」


 「そうか・・・」


 テーブル席が四人用だった為、スハノ達三人とその隣に

  セルアル達四人が座ることになった。


 「それで、話って何かしら?」

 スハノが唐突に切り出した時、隣のテーブルのセルアルが


 「な〜スハノ〜」「飲み物注文していいかな〜」


 「ど、どうして、私に聞くのよ!」

 「話の邪魔を…」

 そう、言いかけた時 

 

 「喉が渇いちゃった〜」「でもダメだよね」「邪魔したら・・・」


 「いいのよ〜」「ミラーはいいのよ〜」「注文しなさい〜」

 「きっとクレハお姉さんが、奢ってくれるわよ〜」


 「え?」「ホント?」「クレハお姉ちゃんが、奢ってくれるの?」


 キラキラと輝く瞳で見つめられたクレハが、自分の目に右手を当てて

  妙な声を上げながら、仰け反った。


 「よ〜し」「分かった」「お姉さんが、奢ってやるから注文していいよ〜」


 「やった〜」「有難う〜」


 そのやり取りを見て、クスッと笑うとスハノは姿勢を戻すと

  再び話の本題に戻った。


 「騒がしくて悪いわね」「それで、話って?」


 すると、突然二人の冒険者がテーブルに額をつけて謝った。

 

 「あの時は、悪かった」「一度ちゃんと謝ろうと機会を伺ってたけど

  勇気がなくて、なかなか謝れなかったから」

 「本当に悪かった」


 「いやいや」「頭を上げてよ」「私にだって、非はあったんだから

  お互い様よ」


 「許してくれるのか?」


 「許すも何も、私怒ってないわよ」


 「そ、そうか」「よかった」


 「よかったね」「お兄ちゃん」


 「え!あなた達、兄妹だったの!」


 「そうだけど?」「知らなかったのか?」


 「聞いてないわよ!」


 スハノがそう言った瞬間、ガラの悪い連中の一人が

  テーブルを平手で叩いた。


 「お前ら、居ねぇと思ったらこんな所で何してんだよ!」

 「オラ、さっさと来やがれ!」「もう依頼受けてんだからよ」


 「この人達は、誰なの?」


 スハノは二人に聞いたが、二人が気まずそうに黙ってると

  テーブルを叩いた男が、顰めっ面で吐き捨てる様に言った。


 「コイツらは、ギルドメンバーだよ」「お前にゃ関係ねえだろ」

 「それとも、お前もギルドに入りたいのか〜」

 

 男がスハノの右腕を握ると、何時の間にか隣の席から来ていたセルアルが


 「ウチのギルドメンバーに何してる」

 そう言って男の腕を握って力を入れた。


 「いててて」「テメェ、何しやがる!」「離しやがれ!」


 「ん?」「よく聞こえなかったけど」「それは、命令してるのかな?」


 「痛たた」「お前ら!突っ立てないでコイツらを!」

 仲間の方に目を向けると、三人いた仲間はクレハに取り押さえられていた。


 「わ、分かった」「俺が悪かった」

 「ゆ、許してくれ」


 その言葉を聞いてセルアルが手を離すと、男は何度も

  セルアル達に頭を下げると

 「おい、お前たち早く来い!」


 「それじゃ、失礼しやす〜」

 男達は足早にその場から去っていった。


 「何なんだよアイツら」「ガラ悪いな」

 「スハノ、大丈夫か?」


 セルアルが話しかけたが、深刻そうな顔つきで黙ってる姿を見て

  心配になったクレハが、声を掛けた。


 「スハノどうしたの?」「気になる事でもあるの?」


 「ちょっと、さっきの二人が心配で・・・」


 「悪いけどカーシェとミラーで、ギルマスの所に行って

   さっき言ってた事、相談してきてくれる?」


 「クレハお姉ちゃん達は来ないの?」


 「お姉ちゃん達は、ちょっと用事が出来たから、行けないのよ」


 「そうか、さっきの悪者達をやっつけに行くのね!」

 「分かった!」「気をつけてね!」


 「え!?」

 ミラーの言葉にクレハは一瞬言葉を失った…。


 「そうかも知れないけど、そうじゃないかも知れないけど」

 「そう言う事でいいわよね!」


 セルアルとスハノの方を見ると、二人共呆れていた・・・。

 

 

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