闇ギルド
「凄いな君!自分をそこまで冷静に判断できる人は、初めてだよ」
「とにかく冒専(冒険者協会専属冒険者)として
一緒に、頑張ろうじゃないか」
「こちらこそ、宜しくお願い致します!」
「そこでな、早速だけどお前達に頼みたい事があるんだよ」
そう言うとカルラは、クレハの横のソファーに座り、話し始めた。
「実はな、捕らえた奴隷商人が何者かに殺されてね」
「え?」
「あ〜さっきギルマスが言ってた奴」「殺されちゃったのね」
「ああ」「城について馬車を降りた所を、狙われたらしくてね」
「氷の矢が心臓を撃ち抜いたそうだ」
「その話をするという事は、犯人は捕まってないんですね?」
セルアルの言葉に、カルラは指を鳴らした。
「その通り」「よく分かったわね」「だけど、犯人の目星はついてる」
「とは言っても、私の憶測だけどね」
「カルラさんの憶測ですか?」
「ああ、城の正門の前で、騎士達が警戒している中
何処から撃ったのかも分からない」
「そんな事が出来るとしたら・・・」
カルラがそう言いかけた時、クレハが立ち上がって、握りしめた拳が震えていた。
「闇ギルドの連中・・・ね」
「そう言うこと」
「え?闇ギルド?」「何それ?名前からしてヤバそうだけど」
再びソファーに座ったクレハが、語り始めた。
「闇ギルドってのはな、騎士団を首になったり、冒険者の資格を剥奪された
ならず者が集まって結成された組織だと言われてるが、その実態は謎でね」
「どちらにせよ、厄介な組織には違いない」
「ひょっとして、闇ギルドを潰せとか?」
カルラとクレハが、顔を見合わせて笑い出した。
「え?俺、変な事言いましたか?」
「あ、悪い悪い」「そりゃ、潰せたら言う事なしだけど、まぁ無理だろうね」
「なんせ、アイツらのアジトが何処にあるかも分からないしね」
「私が言いたかったのは、まだ気をつけた方がいいかもって事だよ」
「ひょっとして、またミラーが狙われるかも知れないって事?」
「いや違うね」「狙われるとしたら、セルアルお前だよ」
カルラの真剣な表情にセルアルはゴクリと息を飲んだ。
「俺が?どうしてですか?」
「考えてもみろ」「ミノタウルス三体を一人で倒したんだぞ」
「組織の脅威と認識してもおかしくないだろう」
「私も同意見ね」
「じゃあ、俺は今後、皆んなとは別行動の方がいいかもですね」
下を向いたセルアルを見て、カルラは首を横に降り、クレハが突然立ち上がった。
「君は、本当にいい奴だね!」「仲間が危険に巻き込まれない様に…」
「だけどね、安心するといいよ!」
「ギルマスから、君達と暫くの間、行動を共にする様に言われたからね!」
「クレハさんが俺達と一緒にですか?」
カルラに視線を向けると、コクリと首を縦に振った。
「そうだ」「クレハは察知能力が、人並み外れて優れているから
危険も敏感に知る事が出来るのさ」
「それは凄いですね」「でも迷惑じゃないですか?」
「な〜に言ってるの」「全然そんな事ないって」
「それに、久しぶりにスハリンにも会いたいしね」
「ん?スハリン?」「誰ですか?」
首を傾げるセルアルに、クレハがズンズンと近付いて言った。
「何言ってんの」「一緒にいるんでしょ?」「ギルド、思い出の場所だっけ?」
「ひょっとして、スハノの事ですか?」
「そうそう、スハリン!」
クレハは、笑い出したセルアルの首に手を回すと、カルラに
手を振りながら部屋を出ていった。
「それじゃ、私、今日から思い出の場所で、世話になるから〜」
「クレハさん、恥ずかしいので、離れてくれると有難いです」
「なに〜セルっちは、恥ずかしがり屋さんかな〜」
「セルっちって・・・妙な言い方もやめて下さい〜」
二人が揉めながら、協会のロビーに出た時、よそ見をしていた
クレハが、他の冒険者とぶつかった。
「痛いじゃねぇか!」「お前な〜ちゃんと前見て歩け・・・」
セルアルを見て言葉は途切れた。
「あ、な〜んだ」「セルアルさんのお知り合いでしたか〜」
「今からお帰りですか」「お疲れ様でした!」
「あ、うん」「お疲れ様です」
冒険者協会を出ると、案の定クレハが
「流石、セルっちは有名人ですにゃ〜」
「いやいや、そんな事はないですけど、今回は助かりましたよ」
「え?なにが助かったのかな〜?」
「さっきの冒険者がですよ」
「クレハさんにボコられずに済んで、よかったです」
「え〜なに〜それって酷くない〜」
いや、クレハさんって、こんなキャラだったか〜。
「でもクレハさんみたく強い人が、一緒だと心強いですよ」
「セルってば、嬉しい事言ってくれるじゃない〜」
「いやいや」「それで、ずっとつけられてますよね」
「おお流石セルっち」「気づいてたのね〜」
「四人」「いや六人でしょうか?」
「大正解だにゃ〜」
クレハがそう言った時。
前方に三人、背後に三人。
全身黒づくめで、体格からして男達だろうと思われる者達が飛び出してきて
一瞬にしてセルアルとクレハは、取り囲まれた。
「早速のお出ましかにゃ〜」「仕事が早いって、言われるでしょ〜」
「それは、とてもいい事ですにゃ〜」
「クレハさん、ふざけてる場合じゃ…」
「そうだね」「じゃあ、ちゃっちゃと終わらせますか」
クレハの言葉にセルアルも身構えた。




