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冒専(冒険者協会専属冒険者)クレハ・マイラー



 

 カルラの怖い笑顔を目の当たりにして、ケルトはガクリと項垂れた。

  「分かったよ」「昼飯奢るから、食いに行こうか」


  団員とセルアル達から歓声が上がって、現場の後始末を

   全員で手伝い、捕縛した奴隷商人を連行する為に呼んだ

   馬車が到着するのを待ち、それを見送った後全員で

   食堂に向かったのだった。


   

  ケルト団長の奢りで昼食を食べ終えると、そこで解散となり

   ケルトは一旦城に戻り、団員達は残党が居ないか念の為に

   町を見回りをしてから帰ることになった。


  そしてカルラは冒険者協会に、セルアル達は買い物の続きを

   終わらせる為、市場へと向かったとは言っても買い物は

   ミラーとカーシェに任せて、セルアルとスハノは念の為に

   護衛として辺りを警戒していた。


  買い物を終えて、四人が家に向かっていた時

   突然、鳥が飛んできてセルアルの肩に停まり

   四人は驚きの声を上げた。


  「あれ?」「その鳥って、カルラ様が召喚してた鳥じゃない?」


  「あ〜カルラさんの部屋に来た鳥か!」「ビックリした〜」

  「ん?この足に巻いてるのって、手紙かな?」

  セルアルが鳥の足から紙を取ると、肩から羽ばたいて

   空高く舞い上がった。


  「それで、何て書いたあったの?」


  「いや、それが冒険者協会に来いとだけ…」


  「カルラ様らしいわね」

  

  「仕方ないから、ちょっと行ってくるよ」

  「もう夕方だし、ご飯は済ませてくれていいから」


  手を振りながら、歩くセルアルの後ろ姿にスハノは叫んだ。

  「帰ったら、何があったか話しなさいよね〜」


  そしてスハノ達は、家に戻りセルアルは冒険者協会に向かった。

  

  それにしても、何の用事だろう?ミラーの件は片付いた筈だし

   まあ行けば分かるか。


  そして協会に着いて扉を開いて中に入ると、セルアルに気付いた

   冒険者達から、歓声が上がった。


  「セルアル、凄いじゃないか〜」


  「ミノタウルス三体を、一人で倒したって聞いたわよ〜」


  「しかも二メートル級だろう!」


  「え?あ、はい、一応そうですけど」


  突然の歓声と質問攻めに、オドオドしていると受付嬢が

  「はいはいはい」「セルアルさんが困ってるでしょ」

  「セルアルさん、お疲れ様でした」「ギルマスがお待ちですよ」


  「あ、そうでした」「はい、有難う御座います」


  セルアルは、集まっている冒険者達に愛想を振り撒きながら

   ギルマスの部屋へと向かった。


  部屋の扉をノックしながら

  「カルラさん、セルアルです」「入っていいですか?」


  「ああ、どうぞ」


  セルアルが部屋に入ると、カルラがソファーに座る様に促した。


  「失礼し・」

  座ろうと腰を下ろしかけたが、ビクッとして立ち上がり

   少し後ずさった。


  ギルマスの部屋の中央に、長方形のテーブルが置いてあり

   そのテーブルを挟む様に、ソファーが向かい合って置いてあった。

  そして、セルアルが座ろうとした、ソファーの向かい側にいつの間にか

   メガネを掛けた、女性が座っていたからだった。

   

   「え?誰?」

  いや、そうじゃない。この部屋に入ってきた時、カルラさん以外

   誰の気配も感じなかった。

  だけど、状況から見てこの女性は俺が入ってきた時には、既にここに座っていた?

  

  セルアルが動揺している姿を見ると、ニヤリと笑ってカルラが口を開いた。

  「コイツは冒険者協会専属の冒険者」「クレハ・マイラーだ」

  「仲良く頼むぞ」


  「セ、セルアルです」「宜しくお願いします」

  セルアルはゴクリと息をのんだ。


  「クレハと申します」「こちらこそ宜しくお願い致します!」

  クレハがオドオドしながら、メガネをクイっと指で上げる仕草を見て

   セルアルが頭をかきながら、口を開いた。


  「どうして意味のないメガネを掛けて、弱そうな振りを

    しているんですか?」

  「まぁ、俺的には強さをひけらかす様な輩よりは

    そっちの方が、何倍もいいですけど」


  すると、カルラとクレハが突然大声で笑い出して、クレハがメガネを外した。


  「へぇ〜、カルラさんが言うだけの事はあるって事ね」


  「そうだろう」「なんせ、ミルセ姉のシゴキに十年耐えた奴だからね」


  「え?」「それ・・・マヂですか?」


  「嘘言ってどうする」「なあそうだろう」


  セルアルの方に視線を向けて、ソファーに座る様に再び促すと

   今度こそソファーに、ゆっくりと腰掛けた。


  「ミルセ姉さんの様に、強くなりたかったから」

  「まぁでも、何度か死にかけましたけどね」

  「ハハハハ」

  

  笑うセルアルを見て、カルラとクレハは首を横に振り呆れた…

 

  「セルアルだったわね」「ミルセさんは、元気かしら?」


  「そりゃもう、めちゃくちゃ元気ですよ」「ってご存知なのですか?」

 

  「まあちょっとね」「また会いたいわね」「ところで、私と手合わせしない?」

  「ミルセさんに鍛えられた、その腕前に興味あってね」


  「お断りします」


  セルアルの即答に、カルラとクレハは驚いて妙な声を発した。

 

  「おいおい、セルアルらしくないね」「どうして断る?」

 

  カルラの問いにも、セルアルは即答だった

  「だって俺じゃあ、クレハさんに勝てないからです」


  カルラは唖然となった。

   いやいや一人でミノタウルス三体を倒す程の男が

   百七十センチそこそこの、クレハを見て敵わないと思ったのか?

   何故、そう思える。セルアルには言ってなかったがクレハは、

   数少ないSランク冒険者の一人だけど、それでもひょっとしたら、

   セルアルが勝つのではないかとさえ思ってたと言うのに。

   

  すると突然クレハが大声で笑い出した。

   「セルアル、君面白いね」「でも何故、私に勝てないと思った?」

   「聞けば、ついさっき二メートル級のミノタウルス三体を

    一人で倒したそうじゃないか?」

   「それなのに、私には勝てないと思うのかな?」


  「そりゃ、魔物は知力が低いですからね」

  「高ランクの魔物を倒したからと言っても、高ランクの冒険者の方に

   勝てるとは思えないです」「まぁ相手にも、よりますけど」

  「クレハさんには、勝てない」「俺には断然、実戦不足だと思います」


  「凄いな君!自分をそこまで冷静に判断できる人は、初めてだよ」

  「とにかく冒専(冒険者協会専属冒険者)として

   一緒に、頑張ろうじゃないか」


  「こちらこそ、宜しくお願い致します!」


  「そこでな、早速だけどお前達に頼みたい事があるんだよ」

  そう言うとカルラは、クレハの横のソファーに座り、話し始めた。


  

  

  

   

  

 

  

   

  

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