ミハイルの新しい技?
僕はゼリースライムの核とミハイルと二枚の銀の盾が直線状に並ぶように調整する。
左手の盾はミハイルの前に、右手の盾はミハイルの後ろに配置する。
ミハイルは後ろに配置した盾をもう少し下げる様に合図してきた。
僕はその合図の通り盾の位置を下げミハイルに尋ねる
「だけどミハイル。あの技は体に影響があるのではなかったのか?」
「大丈夫だ、ニコラ。あれは俺がギフトについて勘違いしていたからなのだ。」
二人で練習していた技はミハイルの体に負担を掛けるもののはずだった。
”大丈夫”と言う事はそれを解消するすべを見つけた様だ。
「魔導警備兵から収納した”炎の効果”をゼリースライムにぶつける。これで二、三秒、時間を稼げるはずだ。」
「よし。それだけあれば十分だ。」
ミハイルの位置からでもゼリースライムの核まで20m。
どんなに急いでも二秒はかかる。ギリギリの時間だ。
だが、時間は全く足りないはずだが、ミハイルは大丈夫だという。
僕はしばらく考える。
ミハイルの方法が失敗した場合のリスクを考慮した。
「……判った、ミハイル。目の前の銀の盾が消えた時が合図だ。」
「よし、こちらは何時でもいいぞ!」
僕は魔導警備兵から収納した”炎の効果”を左手の銀の盾から放出する。
銀の盾から火炎が伸びゼリースライムの体を焼く。
”炎の効果”を放出した銀の盾を消すとゼリースライムの核がむき出しになっていた。
僕は右手の銀の盾が受ける衝撃に備える。
ミハイルは後ろの配置した銀の盾に猛然とダッシュし、飛び蹴りを行った。
「!!」
僕がミハイルと行った技は銀の盾を殴った反動を利用し拳の威力を加速させる方法だ。
銀の盾に与えられた衝撃の半分は僕にもう半分は与えた本人に返る。
それを利用し、拳を再加速させるのだ。
ただ、この技は殴った時の反動で拳を痛める危険があった。
それをミハイルは拳よりも威力の高い足で行ったのだ。
僕は思わぬ衝撃に倒れそうになるがぐっと堪えた。
いつもより加速されたミハイルの体は地面をけりさらに加速を続ける。
ゴオォォォォォッ!
ミハイルの体は唸りを上げ体ごとゼリースライムの核に突撃した。
ドゴッガガガガガガガ!
ミハイルの体当たり(タックル)で轟音が鳴り響きゼリースライムの核にひびを入れ吹き飛ばす。
吹き飛ばされた核は後ろの壁に激突するとひびが入っていた為かそのまま砕けた。
核を失ったゼリースライムはあっという間にしぼむ。
そして床には大きな黒いシだけが残った。
「あの大きな核を一撃か……。」
ゼフィールが驚きの声を上げる。
体の柔らかいスライムだが核は固い。
その固さはスライムの大きさが大きいほど固くなる。
ミハイルの壊した核は僕らが知る限り最大の固さと言えるだろう。
「ところでミハイル、手や足は大丈夫なのか?」
あの核を壊すぐらいだから反動は相当なもののはずだ。
「ニコラ、大丈夫だって。技の時に手を痛めたのは俺がギフトについてよくわかっていなかったからなのだ。」
そう言うとミハイルは自分のギフト”剛腕”について判った事を話しだした。
「そもそもギフト”剛腕”を使った時に力だけ上がるのなら、どんな時も体を痛めないとおかしい。」
ミハイル曰く、力を伝えるには筋肉だけでなく、それを支える骨も重要になる。
たとえ力が強くても支える骨が脆いと骨が筋肉に負け砕けるのだ。
「それを考えると、”剛腕”と言うのは腕の筋肉だけでなく、それを支える全ての要素を強化しているのではないかと考えたのだ。」
その結果、あの固い核も一撃で壊す技を手に入れたわけだ。
「とは言ったものの……今のは不発なんだよな……。」
キョウカ 「ミハイル、技名をなんにするんや?」
ミハイル 「蒙古覇……」
キョウカ 「やめれ!(ビシッ)どこぞの獄長かっ!チンギスかっ!」
ミハイル 「ジャイアントボム?」
キョウカ 「五秒で倒されたいんか?」




