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収納力ゼロ、僕の空間収納で物は収納できません。  作者: 士口 十介
獣人の国

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地下での戦闘

天井から落ちてきたそれは部屋の三分の一を覆った。

その不定形の体は半透明でぶよぶよしており時々波打っている。

半透明の体には剣や鎧やつるはしが浮かんでおり、中心には虹色に輝く丸い球の様な物が浮いていた。


「ヒュージ・ゼリースライム……。」


ゼフィールがポツリと呟く。

彼の識別のギフトで名前を見たのだろうか?


ゼリースライム

半透明なその体で洞窟やダンジョンに迷い込んだ動物や人間を襲い消化してしまうスライムの一種である。

ゼリースライムが吸収できるのは生命だけである為、その体には犠牲になった者が着けていた武具はその体の中にとどまる。


僕たちはその名前を知っていた。

洞窟やダンジョンで出現する要注意な敵としてスカディ先生達から教えられていた。

実際に実習で戦ったこともある。


だが目の前のそれは、通常の物よりはるかに大きくコアの形や色も異なる。

十中八九、魔導帝国がこの鉱山に配置した最終ラインだろう。

目の前のゼリースライムの体の中につるはしがある所から察すると鉱員も犠牲になっている様だ。


「みなさん!驚いている暇はありません!!鉱山を開放するにはここが頑張りどころですよ!!」


ジュリアの叱咤激励する言葉に一同は気合を入れ直す。


「よっし!行くぞっ!!」


ミハイルは両拳を目の前で合わせるとゼリースライムに飛びかかった。

そして、全身の力を乗せて一撃を撃ち込む。


ぶみょん


ミハイルの拳はゼリースライムの弾力のある厚い皮膚に阻まれた。

そして止まったミハイル目掛け、ゼリースライムから体の一部が触手の様に素早く伸びる。


僕はミハイルとゼリースライムとの間に銀の盾を出現させその攻撃を防ぐ。

だが、ゼリースライムの攻撃はそれだけでは無かった。


ゼリースライムはブルブル震えたかと思うと体に紋章の様な物が輝き、呪文に似た何かを発した。

僕は咄嗟に銀の盾が呪文を吸収する様に切り替えたが素通りする。

呪文に似ているが呪文ではない様だ。


「ぐっ!体が痺れる!」


その呪文の様なものを受けたミハイルは体が痺れて動きが止まる。

再度、ミハイルにゼリースライムの触手が襲い掛かる。


バィン!バィン!バィン!バィン!バィン!


怒涛の攻撃を何とか銀の盾で防ぐ。


「炎よ!刃となり我が敵を貫け!火焔槍(フレームスピア)!」


ミハイルに触手を伸ばすゼリースライムにマロリオンの呪文が突き刺さる。

炎の効果でゼリースライムの体を少し削るが次の瞬間にはもう元に戻っている。


「白き光よ、戒めを解きたまえ!麻痺解除(パラライズフリー)」


カエデの呪文によりミハイルの麻痺が解除される。

ミハイルは再びゼリースライムに向き合うが攻めあぐねている様だ。


ゼリースライムを倒すには虹色に輝く核(コア)を壊さなくてはならない。

それには周りを覆う透明なゼリースライムの体を排除し間髪を入れず攻撃する必要がある。


対峙しているミハイルはこちらを向き僕の顔を見る。


「ニコラ、道を作れるか?あれをやるぞ!」


「道は作れるが、あれをやるには距離が足りないぞ?」


「大丈夫だ。」


ミハイルは両拳を突き合わせる。


「大丈夫だ、ニコラ。お前のギフトに裏技がある様に、俺のギフトにも似た物はある。」

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