鉱山の後始末
「……今の不発なんだよな……。」
「不発?どういう意味だ?」
ゼリースライムの核を粉砕したのだから不発という事は無いと思う。
だがミハイルは納得がいかない様だ。
「銀の盾で加速させるのは上手く行ったけど、最後がねぇ……。」
ミハイルは最後、つまり核を叩くのは体当たりでは無く、拳もしくは足のつもりだったらしい。
だがタイミングが合わなくて体当たりに切り替えたのだという。
咄嗟の判断と切り替えができるのはミハイルならではという所か。
「練習無しではそんなものだろう。後は練習をするしかない。」
「……そうだな。」
???
ミハイルの返事はいつもよりキレが悪い。
何かがあるのだろうか?
「はいはい。今は探索中。ここを起点に枝道を虱潰しに調べますよ。」
ジュリアの号令の元、枝道の探索が行われた。
枝道の幾つかには板の様な魔導警備兵や普通サイズのゼリースライムがいたが、問題なく対処していった。
鉱山の探索は次の日も、そのまた次の日も行われた。
そして五日が過ぎる頃には鉱山内の安全は確保されたと言えるぐらいになった。
鉱山の探索が終わると今度は廃村の修繕である。
本来そこまでする必要は無いのだが、ジュリアはこの村にアルバート商会の出店を置くつもりの様だ。
その為の場所の確保と店の整備を考えていた。
どうやら玉石から作る武器に目を付けた様だ。
村の整備をしていると食料の調達と報告に言っていたゼフィールとキョウカが戻ってきた。
自動車の中には食料だけでなく、鍛冶職人のコテツさんや他の獣人族の人々も乗っていた。
どうやら村の復興を聞いて便乗した様だ。
おかげで村の整備が捗ることになった。
コテツさんの依頼の鉱山の開放は成し遂げられた。
ただ、報酬の武具を作るには玉石の採掘と精錬が必要になる。
その為、報酬を渡すのは早くても一月後という事だった。
ただ、このコテツさんの報酬の時にひと騒動あった。
「鉱山開放の報酬はいらない。その代わり、頼む!コテツさん、俺に武器の作り方を教えてくれ!!」
ミハイルがコテツさんに弟子入りを志願した。
元々ミハイルは自分の知りえない武器やその作り方を知る為にここまで来たのだ。
報酬に武器の作り方と言うのは無理もない。
だがその作り方を習う為には何年もの修業が必要となる。
「いいのかな?お前さんはまだ見ぬ武器を見に旅をしているのではなかったのかな?」
「ああ、そうだ。でも俺は、ニコラやゼフィールみたいに色々なことが出来るわけじゃない。そんなに器用じゃないんだ。」
「そうか、だがそれでは駄目だな。」
「何故だ?獣人族に比べて力が弱いからか?でも俺には”剛腕”のギフトがある。力なら問題ないし、それなりに鍛冶もできる。」
コテツさんはミハイルをじっと見た。
「お前さんはまだまだ世の中を見なくてはいけない。旅は始まったばかりなんだろう?この広い世にはお前さんの知らない武具が山ほどある。その全てとは言わない、数多くを知るべきだ。」
ミハイルはコテツさんに指摘されじっと黙り込む。
「なに、お前さんは若い。多くを見た後で玉石の武具を鍛えても遅くはない。」




