刀の打てない理由
「なんや……おお、お前はキョウカか!ごつい別嬪さんになったなァ!」
虎の獣人はキョウカを見てニコリと笑う。
だがその顔はとても怖い。
「ゼフィール、このおっちゃんは刀鍛冶でコテツって名前やねん。」
「コテツ?」
「そや、で、おっちゃんはこの界隈でも腕の良い刀鍛冶として有名やったんやで。」
「おいおいキョウカ、腕の良い刀鍛冶って。お前はここを出た時は五つぐらいだっただろう?」
「そんなもん、リップサービスに決まっとるやん。」
「リップサービス……ハハハハハハハ!言うようになったなァ、すっかり一人前や。」
「へへへへへ」
キョウカは少し照れたように笑う。
「ところで、おっちゃんは今も刀を打ってるんか?さっきまで音がしとったけど?」
「刀か……今は打ってない。いや、打てんのや。さっきまでやっとった音は包丁の直しや。」
「え?セリアンは帝国に関係なくなったんとちゃうんか?なんでや?」
「ワシかて打てるもんならまた打ちたい。でもあかんのや。石が無いんや。」
コテツはハァっとため息をついた。
ゼフィールはコテツの言葉で腑に落ちない点があった。
(石とは何だろう?鉄鉱石なら僕らでも融通はつく。)
「すみません。横から申し訳ありません。お話の石とは鉄鉱石の事でしょうか?」
「ん?」
コテツはゼフィールを上から下まで嘗め回す様に見た。
「ふむ?キョウカの仲間か。そんなら良いか。石ってのは鉄やない、玉石の事や。」
「玉石?」
「鉄鉱石の中で魔力を帯びて別の物になるのがある。それが玉石や。わしらはその玉石で刀を作ってるんや。」
「鉄鉱石が魔力を帯びたものですか。」
「そうや、その玉石の山はこの近くにあるんやが、そこで玉石はとれんのや。」
コテツは忌々しく吐き捨てるように呟いた。
「帝国の奴が魔導人形を放って玉石を取れん様にしたんや。」
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「……と言うわけやねん。」
そう言うとキョウカはこちら側を見ている。
いつもの事ながら、僕は少しため息をついた。
「つまり、キョウカさんはそのコテツさんの為に魔導人形を倒そうと?」
「そうやねん。ダメかなぁ?」
僕はゼフィールに目をやる。
「僕は問題ないと思うよ。ただ働きじゃないしね。」
報酬は参加者の武器もしくは防具一つ。
作成者はコテツさん自身。
コテツさんはこの町でも指折りの刀職人なのだそうだ。
その人物が作る武具(主に刀)は武器としても美術品としても一級品であり、高値で取引されるそうだ。




