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ゴスロリ・スピカ! その1 ~せめて女の子にしてください!~  作者: 首藤えりか
~せめて女の子にしてください!~編・第一部
3/30

第三部・不死身の誘拐犯?

あ、あのっ! だから僕はいたって普通の男の娘なんだよおっ!

信じてください……シクシク……


再リメイク版です

 我が家には両親がいない。

いや、いないというのは誤解を招くね、正確には両親とも単身赴任で家にいるのが子供だけ、ということなんだ。

現在父は関東のとある地区、母はアメリカに赴任中。ちなみに僕と妹の目がアメジストなのは、アメリカ人である母の影響らしい。

十二月までは父がうちにいたので父子二人でやっていたのだが、今年から父が単身赴任することに決まり、そこで子どもたちをどうするか? という話になったのが妹が帰国するきっかけとなった。僕は既に高校生だし、有名になり過ぎてアメリカに居づらくなった上に、ちょうど高校進学というタイミングが重なった妹が日本に戻れば万事解決! というけっこうアバウトな考えの結果、シエリが今ここにいるわけだ。

入学試験の日程に合わせての帰国だったので、何かと忙しくはあったんだけどさ。

まあうちは地方都市としては大きな方だけど、少し辺鄙な場所にあるからね。両親とも仕事柄いろいろ不便なんだろう。

閑話休題それはともかく

久々に我が家に帰るシエリを連れて在来線に向かう僕。電車を待つ駅の構内でも電車の中でも、僕たちに対する熱い目線は変わらなかったわけで……


「今日は疲れたぜ」


「疲れたってお兄ちゃん、ただ私を迎えに広島駅まで来てくれただけじゃない! 私なんて飛行機で関西空港に降りて、そこから新幹線に乗って来たんだよ? 疲れの度合いが全然違うんだからっ!」


ため息混じりに呟いた僕の泣き言に、唇を尖らせてシエリが抗議する。その顔が妙にかわいくてじっと見つめてしまう僕だけど、シエリは逆に「なに?」って怪訝な表情をしている。


「……今日のお兄ちゃん、なんか変だよ? 熱でもあるの?」


「いや、ないとは思うけど」


「ちょっと動かないで」


妙に不安そうな表情をすると、シエリはいきなり顔を近づけてきて


「おわっ、待て待てっ! 僕たち兄妹なんだぞ!?」


「黙ってじっとしてるっ!」


強く僕を制してさらに顔を近づけるシエリ。あ、甘い吐息が……と思うとぴとっと触れ合う、額と額。

蛇に睨まれた蛙のように、僕は暫くの間身動きすら出来ずにドキドキしているだけ。


「うーん、熱は無さそうね? じゃあ変なものでも拾い食いしちゃったの?」


「なんでそうなる!?」


「だって……顔、真っ赤だよ?」


言われてはっと気づく。さっきのニアミスでまだドキドキが止まっていないことに。


「そ、それはお前が……!」


「あたしがどうかしたの?」


「いや、その……」


キスしようとしたって言いそうになって、慌てて口を閉じた。だってシエリは本気で心配して僕の熱を診てくれただけなのだから。

結局意気地なしのようにドギマギしているしかない僕。これじゃあどっちが年上かわからないじゃないか!


「ど、どうでもいいじゃないか!」


「すぐそうやって話をはぐらかす! お兄ちゃんの悪い癖だよ?」


不機嫌極まりないという顔で説教を始めるシエリだが、そうやってツンツンしている表情もなぜかいいと感じてしまう僕がいる。

やばい、これは、もしかして……恋?

いや待て、シエリは実の妹だぞ? 血を分けた兄妹なんだぞ?

でもでもっ! やっぱりシエリはかわいい! もう手放すなんて考えたくないっ!

今日から二人きりの生活が始まるだなんて、僕の自制心はどこまで保つんだろうか?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 電車に揺られて十五分ほど、郊外のベッドタウンにある我が家はある意味便利なようでけっこう不便。

静かな住宅街っていうのはいいんだけどね。


「だいぶ暗くなっちゃったね」


「あれから少しウロウロしたもんな、お陰で僕もヘトヘトだよ!」


「あたしは疲れてないって言いたいわけ?」


青息吐息の僕に、唇を尖らせて噛み付くシエリ。いや、お前が疲れてないなんて一言も言ってないけど……という反論をしようとした時、何かの気配に気づく。


「誰か居るね」


「うん、あまり友好的な雰囲気には思えないけど」


シエリを庇うように立ちながら、僕は慎重に周囲を伺う。たった一人の大事な妹だ、誰にも手出しなんてさせないぞ!

待つことしばし……


ガサッ……


公園脇に植えられた生垣の陰から姿を表したのは、屈強そうな三人の男たち。

身なりはバラバラのラフな服装だが、顔にはでかでかと「漢」の字が染め抜かれた白い覆面マスク、手にはロープなどのやや物騒なものが握られている。


「気づかれちゃ仕方がねえ、二人とも、大人しくしてな!」


先頭に立つ白ジャケットが凄みのある低い声で忠告する。ここは居住区からは少し離れているので、悲鳴を上げてもそうそう気づかれることはないという判断だろう。


「誰だっ? 僕らに何をする気だよ!?」


「わかってるんだろう? 俺たちはお嬢ちゃんの熱烈なファンさ! だからお嬢ちゃんに協力してもらって、ちょっくら手伝ってもらおうってことだよ!」


「ひ、人違いじゃないのっ!? あたし芸能人とかじゃないし!」


僕に続き、シエリも僕の背後から強気の発言。だが白ジャケットはうろたえる様子など微塵も見せず


「お前のママが全米一のトップモデル、フローラ・ケープなのは先刻承知さ! 紫水晶アメジストの瞳がいい証拠、ついでに言うと、他の誰でもないお譲ちゃん自身が、ちょっと訳あり・・・なんでねっ!」


「そんな……!」


やばいっ! すっかりばれてるじゃないか!

となると、向こうが黙って引き下がることはないよな。今こそ僕が頑張らなきゃ!


「い、妹は、絶対に渡さないぞっ!」


「おやあ? こいつ女かと思ったら男の娘かよ! なら遠慮はいらないな、やっちまえっ!」


「「おうっ!」」


白ジャケットの掛け声に嬉々として応じるゴロツキ二人。シエリを庇って立ちはだかる僕に、二人のパンチがほぼ同時に襲い掛かる!


ぐわしっ!


華麗に避けたつもりが両方をまともに頬に浴び、僕は派手に吹っ飛ばされる。


「痛っ!」


何かとんでもなく重いパンチだ。でもこれで逃げ出したらシエリはあいつらに捕まって、あんなことやこんなこと、果ては……ダメだっ! 絶対そんなの許せないっ!


「ま、負けるもんかっ!」


よろめきつつも何とか立ち上がり、ゴロツキたちをきっと睨む。


「少しは骨があるようやな、けど早めに泣いて逃げ帰らんと、お嫁に行けなくなっちまうぜ?」


「アニキ、お婿にの間違いじゃないですかい?」


「どうせこいつはオカマちゃんだ、この際どっちでもいいさ!」


二人は卑下た笑い声を上げながら、僕を嘲るように好きなことを言い合っている。

悔しいけど反論できない僕がいる。出来るものなら逃げたいよ! だってこいつらに勝てるなんて、これっぽっちも思えないんだもの!

けど……後ろで怯えて震えているシエリのためにも、逃げるわけには行かないんだ! 僕が死んでも、シエリは、シエリだけは助けなきゃならないんだっ!


「うわああぁっ!」


なけなしの喚声をあげながら、大きく振りかぶった拳を二人組に強く繰り出す。けど、二人は余裕の動きでそれを交わすと、腰だめのパンチを僕の腹に叩き込んで……


「あっ……!」


膝の力が抜け、前のめりに倒れてしまう。腹部の重い痛みがギリギリと、僕の心と身体を蝕んでいく。


「そ、そんな……!」


相手はたった三人なのに、僕は命懸けで妹を守ると誓ったのに、もうこれで終わりだなんて……

悔しくて涙がどんどん溢れてくる。僕は最低だ、たった一人の妹も守れないなんて……


「お兄ちゃん!」


僕たちから距離を置いた場所では、シエリが白ジャケットに後ろから羽交い締めにされ、それでも心配そうに僕を見つめている。

彼女の大粒の涙が「これ以上無茶しないで!」と切実なメッセージを僕に伝えている。


「こいつ、威勢の割にはからっきしだな!」


「顔洗って出直してきな、オカマちゃん!」


もがくシエリに当て身を加えて気絶させ、二人に手足を縛らせながら白ジャケットは覆面マスク越しに、侮蔑の冷たい眼差しをこれでもかというほど僕に浴びせ掛ける。

悔しいよ、こいつらに対してじゃなく、何にも力のない自分が悔しい!


「ま、まだまだっ!」


気力だけで立ち上がり、僕はシエリの拘束を監督している白ジャケットに、後ろから一気に飛び掛かる。少しよろめいたものの、そいつは嘲るような目線で僕を見下ろすと、僕の腹に鋭い膝蹴りを叩き込む。


「うわあっ!」


だ、ダメだよ……僕じゃ全然歯がたたないよっ!

悔しいけど、今の僕には何の力もないんだってつくづく痛感する。正直こんな屈辱を味わうくらいなら死んだほうがマシだとさえ思えてくる。


「気がすんだかオカマちゃん? 一晩そこでメソメソ泣いてれば頭もスッキリするぜ! はははははっ!」


倒れた僕の背中をグリグリ踏みつけながら、白ジャケットが嘲笑しながら卑下た言葉を投げかけてくる。けどごめんシエリ、僕じゃこいつらには抵抗することさえ出来ないよ。


妹にとどめの猿轡をかませ、悠然と担ぎ去ろうとする三人組を泣く泣く見送るしかない僕。神様っ! せめて僕にもう少しだけ力と勇気を分けてください! このままじゃ、死んでも死にきれないよぉ……


「お待ちなさいっ!」


倒れたまま悔し涙を流し続ける僕の耳に届いたのは、言葉使いからは似ても似つかない太く強い男の声。

これってオネエ言葉……だよね? ってことは声の主ってオカマ?


「なんだてめぇ!? な、ななっ!」


「マジもんのオカマだぜ! キモッ!」


先ほどの三人組には見えているらしく、口々に不快そうな雑言を並べている。ギシギシという首を捻ってその方向を見ると、そこには夢にまで見た救いの天使!


「世のため人のためパトスのため、メイド服女装戦士アリス・シリウスここに参上! 主人に代わってご奉仕よっ!」


カッコイイ決め台詞セリフを並べてビシッとポーズをとるシンプルなミニ丈水色ワンピース状のメイド服。熱血教師然とした角ばった顔にボサボサ赤毛のオカッパ頭、長身でがっしりとした体格、毛深い太もも、そして……もっこり!?


「さぁいつまで寝てるのゴスロリ・スピカ? あなたの相手よ、起きてあなたも戦いなさいっ!」


水色メイド服はそう叫ぶと、なにやらステッキのようなものをこちらに放り渡す。手を延ばすとそれは吸い込まれるように飛び込んできて


「な、なにっ?」


すっと引いていく身体の痛みと、妙にもりもり沸き起こってくる活力を感じる自分がいる。


「唱えなさい! キーフレーズは『ドレスアップ』よっ!」


「ど、ドレス……アップ!」


言われるままにステッキを高く掲げ、キーフレーズを唱える僕。するとたちまちのうちに着ていた服が消え、全裸を晒す僕の身体に女性用のピンクの下着や、ふんだんにフリルやレース、十字架の装飾をあしらった黒いお嬢様風ドレスがごくゆっくりと、まるでまとわり付くように着せられていく。これ、正直言って普通に着替えたほうが早くない?

スカイブルーをした髪の編みこみがはらりと解け、頭には白いフリルのカチューシャに変装用眼鏡、そして腰にはレースで縁取られた白いエプロン、白いレース付きニーハイソックスに黒のストラップシューズ。


「ゴスロリ・スピカ! 今なら感じるでしょう? その活力こそあなたの情熱パトス! 勇者なら一歩踏み出すの! そして叫ぶの、あなたの決め台詞セリフを!」


「う、でも何て言えば……?」


「それはもうあなたの心にあるはずよ、さあっ!」


水色メイド服の指摘にはっと気づく。そう、僕の心には確かにはっきりと言葉が浮かんでいるんだ。


「……世のため人のためパトスのため! メイド服女装戦士ゴスロリ・スピカ、主人に代わってご奉仕よっ!」


びしっとポーズを決めて宣言する僕。あーっ、言っちゃった! これで僕も変態の仲間入りだ、クスン……


「やっぱこいつ、男の娘だったんだな! お前らはそっちの変態を片付けろ! 俺はオカマちゃんをかわいがってやるぜ!」


「アニキずるい! 同じ相手するなら俺らもかわいい方が……!」


「黙ってそっちを片付けろ!」


白ジャケットはぐずる二人を叱咤して水色メイド服に向かわせると、僕の方に向かって


「化けたねぇお坊ちゃん、けど見た目だけで中身が変わらなきゃ、何も立場が変わらないことは解るよな?」


「で、でもっ、シエリは誰にも渡さないっ!」


「強く出たねえ、本気でお嫁に行けなくなっても知らねえからな!」


叫ぶなり僕にダッシュし、白ジャケットは腰溜めのパンチを素早く繰り出す。慌てて手の平で受け止め……え? 受け止めた!?

凄い衝撃で手がジンジンするけど、あのパンチを受け止められるなんてっ!


「こ、こいつ……!?」


「スピカは……負けないっ!」


下半身からみなぎる情熱パトスがスカートをこっそり持ち上げている。かなりきわどいミニ丈のスカートだから、見る方向によれば穿いてる下着は丸見えなのかも。

けど、頑張れ僕っ! ここで逃げ出したら僕は一生妹を守ることなんて出来ないんだぞっ!


「えーいっ!」


ガンッ!


僕の渾身のパンチが白ジャケットの鳩尾みぞおちに決まった瞬間、とてつもなく硬い音が!


「痛いっ!」


まるで分厚い鉄の塊を殴ったみたいで、手はズキズキ、でも白ジャケットは平気な顔。


「無理無理、今の俺たちは銃弾どころか大砲の弾でもビクともしないからな! オマケに痛みを感じない分他の感覚は凄くパワーアップしてるんだぜ。ぶっちゃけ、無敵ってやつか?」


「そうそう、お前らのようなへなちょこ攻撃なんざ端っから相手じゃないのさ!」


余裕綽々で強がるゴロツキたち、困惑している僕と違って、逆に水色メイド服は満足そう。


「それは結構楽しませてもらえそうね。私たちメイドの心は奉仕の心、だ・か・ら……♪」


嬉しそうに喋りながらも、しっかりゴロツキその二との距離を詰めた水色メイド服、その二はというと、いきなりしなだれかかった水色メイド服に酷く引きつった反応をしながらも


「だ、だから、なんだよ!?」


強気の態度はしっかりキープ。だが水色メイド服は怯む様子など無く


「気持ちよくして差し上げますわ♪」


その二の下半身に手を伸ばすと、「ピー」を摘んで激しく「ピー」し始めた!

とてもじゃないけどその内容は説明できないです……


「何回転くらいがお好みかしら? 一万? 十万? それとも百万回転?」


目にも止まらない速度で手を動かしながら、続けて相手に問いかける水色メイド服、しかしその二はというと……


「あひゃっ、あひゃあひゃ、おぴょおっ!」


すぐに変な悲鳴を上げたかと思うと放心、へなへなと崩れ落ちる。そこをすかさず水色メイド服が捉えて覆面を引き剥がすと、


ぐたっ!


無理な強化の反動からか、もう完全に脱力状態。


「彼らの力のみなもとはこの覆面マスクよ! どんな手段でもいいから取ってしまいなさい!」


「は、はいっ!」


水色メイド服は振り向きもせずに強い口調で僕に指示する。つられて僕が振り返ると、はずみで持っていたステッキの先が白ジャケットの鼻に引っかかってポロリと外れ……って、なんで壊れるのっ!?

ふと気がつくと、白ジャケットがふつふつと怒りを顕にして僕を睨みつけている。


「ふ、ふざけやがってっ!」


鼻を押さえていたヤツが瞳に怒りの炎をぎらつかせ、拳を大きく振りかぶって突進! 慌てて逃げの体制に入る僕。


「おわっ!」


地面に転がっていたステッキの先を白ジャケットが踏んづけ、僕に覆いかぶさるように倒れてきたんですけどっ!?


「いやあぁぁぁっ!」


押し返そうと伸ばした手が偶然、白ジャケットのはだけた胸、ちょうどポッチあたりに当たり、僕がそれを思わずくりっ、と摘んだ途端!


「あ、はにゃあぁぁぁぁっ♪」


不自然なことに満足そうな吐息を吐き、へなへなと崩折れる白ジャケット。見ると水色メイド服の相手をしていた最後の一人も覆面マスクを剥がされ、幸せそうな笑みを浮かべてノビている。


「パトスは情熱! パトスこそ人間の活力! ゆえにパトスは正義なのよっ! オーッホッホッホ!」


ガッツポーズを取った僕の口からこぼれるキメ台詞、って、なんで僕こんなことしてるのさっ!?


「やれば出来るじゃないスピカ! というわけで、これからもよろしくお願いするわね!」


倒れたゴロツキたちの覆面マスクを破り捨てながら、何かとんでもないことを伝える水色メイド服。それって……!?


「えっ? 助けてくれたんじゃ……無いんですか?」


「馬鹿ねぇ、仲間への勧誘に来たに決まってるでしょう? あと変身した上にステッキも壊しちゃったあなたに拒否権はないわよ?」


「は、はいぃ……」


神様、僕は取り返しのない間違いを犯してしまったのかもしれません。

けどシエリに見られなくてよかった♪


「そろそろ変身が解けるわね、どこかに隠れたほうがいいわよ?」


「え? どうして?」


「それじゃ、私はこれで失礼するわ、ごきげんよう!」


軽く手を振ると水色メイド服の男性は信じられない速度でどこかへ走り去った。残されたのはただ呆然としている僕と、縛られた状態で気絶しているシエリ、そして、意味不明の幸せそうな顔で失神している三人組。

とにかく、シエリだけは安全なところへ連れていかなきゃ!


「よいしょっと……」


縛めを解いて妹を抱き抱え、公園のベンチまで運ぶ僕。そっと彼女を寝かせると、「ううっ……」とかすかな呻き声。

よかった、どうやら命に別状は無さそうだ!

あ、あれ? 体が淡い光りに包まれて……?


「……あっ……あたしは……?」


「よかった、心配したんだぞ?」


「あれ? お兄ちゃん♪ って、なんでお兄ちゃん裸なの?」


「え?」


キラキラと僅かな光りが体を包み、ゆっくりと元の服装に変わっていくけどその速度は変身の速度よりはるかに遅く、その間の僕は……


「はうっ! いやあぁぁぁんっ!!」


丸裸であることに初めて気づき、慌てて大事な部分を隠す有り様。自分でもなにかとんでもない悲鳴を上げたような気がするけど、うん、この際だから気にしないっ!


「と、とにかくお前が無事でよかったよ!」


「ありがとう! お兄ちゃんあたしを助けてくれたんだね? だ~い好きっ♪」


「あ、あははは……」


とにかくっ、シエリが無事でお兄ちゃん、すっごく安心したよ! これからも僕、頑張るから!

けど女装にご奉仕は……嫌だなぁ……

あまり変わってないようで、実はひどく変わっている部分が……!

そう、戦闘スタイルなのです!!

うーん、ある意味変態?

お読みいただき、ありがとうございました。

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