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最初で最後のクリスマスプレゼント

想像していたのとは違った。


幻想的な空間が、広がっていた。


一枚の絵のような空間。


お互いを貪り喰うような獣がくる場所には思えなかった。


「お風呂はいる?」


「バレない?奥さんに」


「別に、バレないよ」


氷雨は、笑って話した。


「お湯、いれてくる。」 


そう言って氷雨は、お風呂場に行った。


壁一面に広がる鮮やかな色彩の絵


この場所は、ただ性欲を満たすだけの場所ではないのがわかる。


TVも音楽も電話もない。


あるのは、真っ白なソファーと無機質な冷蔵庫だけ。


向こうの部屋は、真っ白な壁だ。


綺麗なブルーの、布団がひいてある。


「星、お湯いれてるから」


そう言って、氷雨が現れた。


「うん。」


「皺になるよ。」


そう言って、ネクタイをはずされる。


氷雨に触れたかったのは、さっきからずっとだった。


スーツの上着を脱がされた。


氷雨は、ハンガーにかけてくれた。


カッターシャツのボタンをはずされそうになって、その手を止めた。


「どうしたの?」


「僕は、氷雨と心も繋がりあいたい」


「繋がってるよ」


「もっと、繋がりあいたい。」


「どうすれば、いいの?」


「わからない。」


僕は、また泣いてしまう。


「その顔は、本当に反則だよ」


氷雨は、そう言って涙を拭ってくれた。


「とりあえず、お風呂はいろう」


「自分で脱ぐよ」


僕と氷雨は、お風呂に行く。


広いバスタブだ。


僕と氷雨は、湯船に一緒に浸かる。


こんなに、ゆったりとお風呂に入る事はあっただろうか?  


氷雨が、僕にキスをしてくれた。

.

.

.

湯船から、あがった。


体を拭いて、置かれている浴衣を着る。


部屋の温度は、暑くもなく寒くもない。


冷蔵庫から、お酒を氷雨は取り出す。


僕は、常温で置いてある水を手に取って飲む。


氷雨にも、あげた。


冷蔵庫にあるワイングラスを氷雨は取り出した。


「お酒飲もうよ。」


そう言って、隣に座る。


ワインを注いでくれた。


カチンと音を合わせて飲む。


氷雨は、僕にまたキスをしてくれた。


……。


初めてだった。


こんな風に、穏やかなキス。


まだ、化け物の本領が発揮されていないのがわかる。


嬉しいけど、くすぐったい感じがする。


…。




「会うとこうなるね。だから、ダメなんだよね。」


氷雨は、僕の髪を撫でながら言う。


「そうだね。ダメだね」


「これが、本当の最後ってわかってるから」


「うん、僕もわかってる。」


「心が繋がりあえるのかな?いつも、みたいにならないかな?」


「わからない」


さっき、時雨との昔の出来事を思い出したせいで少し罪悪感を抱えてる。


「僕以外を思ってる?」


「う、ううん。」


「星は、もう僕だけのものだよ」


「うん」


「二度と、別の人を思い出さないでよ。」


そう言って氷雨は、僕の唇に唇を重ね合わせる。


「難しい事いうね」


「嫌だから」


「氷雨は、僕以外を思い出した事ないの?」


「ないよ。いつだって、そうする時は泣いてる星を思い出してたから」


そう言って、優しく笑う。


「僕は、氷雨に比べたらずいぶん汚れてる」


「だったら、僕が綺麗にしてあげるよ」


氷雨が、僕の体を撫でるように触る。


「ねぇ、聞いてみてくれない?」


氷雨が、僕の耳に胸を押しつける。


ドキドキと早い鼓動の音がする。


「僕の全部が、星を好きだって言ってるの聞こえる?」


「うん」


「二人で会うと絶対こうしちゃうね。」


「うん、()れないのは無理だから…。」


「僕もだよ。抱き締めたくもなるし、頬にキスぐらいはしたくなる。引き寄せられる力に抗えないんだ。」


「わかってるよ。」


僕は、氷雨の唇を撫でるように触った。


やっぱり、化け物が動き出した。


「今日は、別れる時はすぐに帰ってくれない?」


「どうして?」


「最初で最後のクリスマスだから、別れを惜しむともう友達にもどれない。氷雨の傍にいれない。」


正常な判断が、つく間に言いたかった。


「わかった。」


僕の目から(こぼ)れおちる涙を拭いながら氷雨が言ってくれた。


ほら、化け物よ。


最初で最後のクリスマスプレゼントをあげよう。




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