サプライズ
クリスマス当日ー
向こうで待っていると、月は、9時には家を出て行ってしまった。
僕は、その15分後タクシーに乗った。
月のサプライズの為にも、少し時間をずらそうと決めたのだ。
月の星公園についた。
モニュメントの前について、眺めていた。
月は、まだ来ていなかった。
何してんのかな?
僕は、モニュメントをジッーと見つめた。
懐かしいな、やっぱりここ。
待ち合わせ時刻の5分前にやっと現れた。
「ごめん、遅くなって。」
その声に、振り返った。
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「なんで?いるの?」
「星が、なんでいるの?」
二人で、顔を見合わせた。
クリスマスの日に、現れたのは…
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氷雨だった。
胸が、急に苦しくなった。
やっぱり、化け物はちゃんと息をしていた。
氷雨は、よくわからないって顔をしている。
「ごめん、何か、僕帰るね」
そう言って、帰ろうとした僕の腕を氷雨は握りしめた。
「夜までは、一緒に過ごす約束してるから」
「誰と?」
「呼び出したのは、兄さんだった。」
その言葉を聞いて、安堵している自分を隠せなかった。
「時雨?じゃあ、時雨がくるんじゃないの?」
「来ないよ。」
「どうして、わかるの?」
「待ち合わせ場所にいたのは、星だったから」
そう言って、氷雨は柔らかい笑顔で笑う。
「どうなってるの?」
「よくは、わからないけど…。クリスマスを一日だけ過ごせって事なのかな?」
そういうと氷雨は、僕の手を繋いできた。
「ダメだよ。人に見られる」
「こんな日は、誰もみないよ」
そう言って、強く握る。
「これから、どうするの?」
「兄さんが送ってきた。昼御飯のお店に行く。予約をとってるって」
そう言って、氷雨は僕を連れて行く。
手を繋いで並んで歩くだけで、胸が苦しくて、僕の化け物は僕に食らいつく瞬間を今か今かと狙ってるのを感じる。
ブーブー
「見たら?」
氷雨に言われて、スマホを見る。
月からのメールだった。
(星、クリスマスプレゼントだよ。すごく悩んだけど、俺は流星と行く事にした。でも、俺だけ会うのは違う気がしてて。だから、時雨君にお願いしたよ。どうか、今日の夜まで星が氷雨君と素敵な時間を過ごせますように…。メリークリスマス)とはいっていた。
「誰?」
「月からだった。クリスマスプレゼントだって」
「じゃあ、今日は夜まで凄そう」
そう言って、氷雨は、さらに手を繋いでくれた。
胸が、ドキドキする。
こうやってまた手を繋げる日が来るなんて思わなかった。
涙がスッーって流れてきた。
キスぐらいなら、神様許してくれないだろうか…。
「そんな顔しちゃダメ」
氷雨は止まって、僕の涙を拭ってくれた。
胸の奥の扉が、トンってノックされた感覚がする。
「いいのかな?こんなの」
「もうないね。この先、絶対」
そう言って笑う氷雨の笑顔に胸が締めつけられる。
化け物よ、いっそ僕を喰らってくれないだろうか?
そしたら、罪悪感をもたずにいれる
涙がどんどん溢れて止まらない。
氷雨は、その度僕の涙を指で拭ってくれる。
「悪いって思ってる?」
「うん」
「じゃあ、僕の方が、もっと悪くなったら星は泣き止む?」
その言葉と共に重なった唇
ドクンと胸が、波打った。
まばらだけど、月の星公園は、カップルがイチャイチャしている。
誰も、僕と氷雨には興味がないのだ。
氷雨は、ゆっくりと唇を離した。
涙は、止まっていた。
「泣き止んでよかった。行こうか」
そう言って、また手を繋いで歩きだした。
もう、どうなっても構わないとさえ思えた。
クリスマスに氷雨といれる事なんてこの先、一生ないのだ。
まして、二人きりでなどとあるわけがないのだ。
せっかく、月が僕にくれたクリスマスプレゼントなのだ。
大切にしたい。
「たくさん、写真撮っていい?」
「いいよ。」
そう言って、氷雨が満面の笑みで笑ってくれた。




