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新しい朝と穏やかな日々

俺は、隣に眠る(ひかる)を見ていた。


初めて出会った日から、こうしたかったのを思い出した。


髪の毛を撫でながら、頬や唇に()れた。


()れるとじんわり暖かい気持ちになる。


星といると俺の飼ってる化け物はただの小さな動物にかわる。


燃えたぎる炎は、慈悲深い(あめ)にうたれるように消える。


苦しみも痛みも悲しみもない、穏やかな優しさが、身体中を駆け巡るのだ。


「おはよう。」


俺の手を握って、星が言った。


「おはよう。」


「お腹すいたね。」


「何か食べようか?」


「うん」


そう言って、一緒に起き上がった。


パンとコーヒーを出した。


二人で並んで食べる。


「ジャムつけてる」


俺は、星の口のジャムをとってあげた。


「好き」


「えっ!」


「ごめん、言いたくなる。月に」


「ハハハ。可愛いね」


俺は、星に笑いかけた、


朝御飯食べ終わって、お皿をさげるとキッチンまで星がついてきて俺を後ろから抱き締めてくる。


「どうした?」


「月が、好き」


「俺も、星が好きだよ」


そう言いながら、お皿を洗う。


「暖かくて、優しくて好き。大好き」


何度も何度も、星が言ってくるのが嬉しくて笑っていた。


「ずっと一緒にいような」


俺の言葉に星は、俺をさらに抱き締めた。


皿を洗い終わってソファーに座ると星も隣に座った。


何にも話さずにテレビを見ている。


幸せだな。


化け物にいつ喰われるかわからない状態よりずっと幸せだ。


結婚って一番好きな人とするものじゃないんだ。


二番目に好きな人の話を星がしてたけど、そうなんだと思う。


一番目がいるから、星といるのは穏やかなのかもしれないな。


星が、どこにいても何をしてても、俺は星の言葉を微塵も疑わずに信じられる。


でも、流星なら何も信じられない。身体を重ねたって言葉を交わしたって不安が拭えない。毎日疑って消耗する。


考えるだけで、疲れるな。


「そろそろ、僕も仕事しようかな?」


「何するの?」


「なにしようかな」


「時雨さんが退院してから、探したら」


「そうだよね。」


そう言って星は、TVを消した。


俺の太ももに頭をのせてきて、スマホをいじってる。


俺も、スマホをいじってる。


そんな風にして、一日が終わっていく。


穏やかな毎日が、終わっていく。


次の日もー次の日もー


穏やかに過ごした。


俺は、栞の仕事を再開していた。


「月、ネクタイ曲がってるよ」


「ごめん、ごめん。」


「はい、これでバッチリ」


チュッ、頬にキスをされる。


「いつも、それだね」


チュッ…俺も星にお返しした。


じゃあ、行ってくるよ。


仕事終わって帰ってくると風呂もご飯もできてる。


星に、感謝しかないよ。


「月、おかえり。チュー」


「ただいま、チュッ」


と毎回求められてキスをする。


そんな星も可愛い。


穏やかな日々が、毎日続いてる。


破壊的な愛を宿してるようには、感じなかった。


焼けただれた心が、そろそろ治りそうに思えた日に時雨さんが退院をして、退院パーティーが決まった。


「明日だね。時雨の退院パーティー、海の華でするんだって」


「そっか、何着て行こうかな」


「月のお兄さんも、呼ばれてるってちゃんとわかってる?」


「わかってるよ。」


「それって、家族でくるってわかってる?」


「わかってるよ」


「それなら、いい。」


星は、不安そうに天井を見つめてる。


「怖いの?」


「怖いよ。」


「でも、傷つけてもらいたいんだろ?」


「わかってる。」


「また、帰ってきたら俺が抱き締めてあげるから」


「帰ってこなくても、できるよ」


「そうだな。」


「月は、怖くないの?」


「怖いよ。ここ何ヵ月も穏やかだったからさらに怖さが増してる」


「そうだよね」


「でも、久々に会って見てみたいんだ。」


「愛が、干からびてないか?」


「まぁ、そんなとこかな」


そう言って、星の頬を撫でる。


穏やかな日々なのに、目覚めると毎日俺達泣いてるよな。


どんな、夢見てるのかな?





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