流星の化け物とまたね
リビングに行くと荷物をまとめ終えた流星がいた。
「ごみは?」
「また、すぐに来るから大丈夫」
そう言うと俺を抱き締めた。
時刻は、8時だった。
「タクシー呼ぼうか」
俺が、スマホを触ろうとした手を流星が掴む。
「まだ、ダメ」
そう言って、唇を重ねてきた。
優しくて、暖かくて、穏やかな気持ちが流れるキスを何度も何度もしてくる。
しばらくずっとそれを繰り返されて、時刻は10時になっていた。
「流星、帰らないと」
俺は、流星を離した。
「嫌だ、帰りたくない」
また、俺を引き寄せようとする。
「ダメだよ、約束しただろ?」
「まだ、ちゃんとしてない」
そう言って、ソファーに押し倒された。
やっぱり、魔法は溶けるんだ。
触れすぎたせいも合ったかもしれない。
「流星、ズボンおろそうとしてもしないから」
「なんで、こうしたいんでしょ?」
流星は、俺の手を口に含もうとする。
「ダメだよ。やめて」
そう言いながらも、俺も流星がずっと欲しかった。
いっそ、化け物にこの身を捧げてみようかなとも思えるがそれは出来ないのだ。
「月、俺が嫌いなの?」
「嫌いなわけないよ。愛してるよ」
「だったら」
「そんなんしたって、俺達他人にはなれないよ」
流星が、ハッとした顔をした。
「トイレ行くから、タクシーよろしく」
俺は、タクシーを呼んだ。
あっ、そうだ。魔法溶けてないか?
星に、電話した。
魔法溶けてなかったか、よかった。
流星は、しばらく帰ってこなかった。
「ごめん、待たせた」
そう言ってやっと帰ってきた。
「タクシー、もうきてるよ。」
「あっ、帰る」
「里美さん、寝てるかもよ」
「大丈夫、鍵あるから」
そう言って、玄関をでた。
タクシーは、やはり停まっていた。
俺と流星は、何も話さなかった。
流星の家の近くで、降りた。
「マンションあれだろ?歩くよ」
「いい」
「なんで、ここ?」
パフって、優しく抱き締められた。
「こうしたいから、離れとかないと」
そう言ってから、優しくて、暖かくて、長いキスをした。
俺、やっぱり流星と生きていく未来が欲しかったな。
涙が、でてきた。
流星は、ゆっくり唇を離して俺の涙を拭ってくれる。
「ずっと、月を愛してるよ。どんな事があっても忘れないから。だから、月。時々は、病院に会いに来て昼御飯でも食べよう」
「それって、二人で?」
「それ以外に誰と行くの?」
「人がいっぱいいる所なら、いいよ。」
そう言って、笑う。
「今日みたいに出来ないのわかってるから、最後までしないでくれてありがとう。してたら、また月に会えなくなった。もう、月の愛情を完全に失うのは嫌」
「わかってる。だから、もうこんな事はしないで欲しい。」
俺は、流星の包帯の腕をとって触る。
「傷治ったら、一回だけ触ってくれない?」
「兄弟でする事?」
「違うかもしれないけど、一回だけ触って欲しい」
「仕方ない。わかったよ」
俺は、流星の頭を撫でる。
「ありがとう、それだけでも生きていける。」
「大袈裟だよ。」
「月、もう1つだけお願い聞いてくれない?」
「なに?」
「流星兄さんはやめてほしい」
「流星と呼ぶのは、さすがに…」
「流兄とかってダメかな?」
「流兄か、いいよ。流星がいいなら、俺は」
そう言ったら、流星はニコニコ子供みたいに笑ってる。
そんな嬉しいんだな。
「よしよし」
俺は、頭を撫でる。
「犬じゃないから」
流星は、剥れてる。
「なんか、可愛いな」
「俺、こんな風にイチャイチャするのなかった。」
「恋愛って事?」
「うん。もう一回して」
「欲しがるね」
俺は、また流星の頭をよしよし撫でてあげた。
「月との日々が、恋人同士みたいだった。嬉しかった。幸せだった。兄弟じゃなかったらよかった。本気で何度も思った。」
俺は、流星の涙を拭ってあげる。
「大丈夫。これからも、俺は傍にいれるから。ほら、もう帰りなよ。見とくから、ちゃんと帰るまで」
「わかった」
そう言って、流星は歩み出す。
「またね、月」
「またな、流兄」
俺は、流星がマンションに向かっていくのを見てる。
流星は、俺がいるか何度も振り返りながらマンションの中に消えて行った。
それをずっと見ていた。




