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竜のお世話係24

竜騎士達が飛び立った後、リズ達は食堂で遅い夕食に向かった。

深夜まで食堂は開いているためいつでも利用する人はいるが、今日は夜遅い時間にしては混んでいた。

マーシャルとリズは空いている席を探して座って一息つく。


「はぁ、心配で食事が入っていかないわ」

「マーシャルはずいぶん繊細なのね」


クロワッサンのパンと紅茶だけ載ったマーシャルのトレイを見てリズが鼻で笑う。


「リズとは違うのよ私。それにここで話をするのも気をつけろとか言われているじゃない」


後半はリズにしか聞こえないように小声で話すマーシャル。

城の中にも敵がまだ居る可能性があるから余計なことは決して話さないようにとエレノアに注意をされたばかりなのだ。

セドリス達も心配だが、自分たちが居る城の中でも気を付けなければいけないストレスに休憩中も休まった気がしない。


「そうねぇ。早く食べて仮眠しましょ」


そう言って、親子丼を食べるリズにマーシャルはため息を吐いた。


「あんた、こんな夜遅いのによく食べられるわね」

「食べなきゃ、体力持たないわよ」

「無理。ストレスで食べられないわ。これもあげるわ」


一口だけちぎったクロワッサンをリズのトレイに載せ、マーシャルは紅茶を一口飲んだ。


「仕方ないわねぇ」


親子丼をかき込んでからゆっくりとクロワッサンを食べきり、同じく紅茶を飲んで席を立った。

今夜はいつもより城の中も夜勤でいる人間が多いのだ。

いつまでも席を占領しているわけにもいかない。

立ち上がると、同じ竜のお世話係の先輩のマロンとジョン夫婦に声をかけられた。


「ゆっくり食べられたかい?」


いつもと変わらないマロンの様子にマーシャルは少し青い顔をして首を振る。


「私食べられなかったわ。なんか緊張しちゃって。リズなんて親子丼を食べてたのよ・・・」

「マーシャルはずいぶん繊細ねぇ。リズぐらいにならないとね」


そういって大きく笑うと、マーシャルとリズの背中を叩いた。

マロン夫婦は昔と変わらずリズとマーシャル達を気にかけてくれる。


「さぁさ、少し仮眠タイムだよ。少しでも体を休めておきましょ。訓練から帰還するのは何時になるかわからないからね。もし、訓練で竜が、怪我でもしたら私たちは大忙しだよ」


「はい」


リズとマーシャルは頷いて、仮眠室へと向かった。

仮眠室は男女分かれており、2段ベッドが二つ置かれている部屋が数部屋ある。

大雑把に職種分けされており、今日のように泊まりの人数が多い場合は細かく寝るベッドと時間も指定されている。

リズとマーシャルとマロンは同じ部屋に割り当てられていた。

少し埃っぽいベッドへと横になり、窓から見える空を見る。


「今日は星がよく見えるわね」


興奮して眠れないわという二段ベッドの下にいるマーシャルに話しかけると眠そうな声で返事が返ってきた。

「そうね・・・」

「父さん達、今頃何しているのかしら。無事に竜は取り戻せたかしら」



リズの問に答える者は誰もない。

音を立てないようにそっと起き上がって下で寝ているマーシャルを覗き込むと、静かに寝息を立てていた。


「寝れそうにないわと言っておいて、良く寝ているじゃない」


小さく呟いて向かい側のベッドへと目を向けると、マロンも鼾をかいて寝ている。

リズも少しでも体を休めようと目をつぶった。




強く揺すられてリズは目を覚ました。

知らない間に寝ていたようで何度か瞬きをして揺すっている相手はマロンだった。


「起きたかい?竜騎士が一部帰ってきたよ」


帰ってきたと聞いて慌てて飛び起き、急いで顔を洗って廊下に飛び出した。

マーシャルも眠い目を擦りながらリズとマロンの後に続いて走ってついてきた。


広場まで向かう城の中では、他の部署の騎士やらが慌ただしく走っているが、竜のお世話係の姿を見ると慌てて道を譲ってくれた。


「お疲れ様です」


譲ってくれた人たちに挨拶をしつつ走り抜けていくと、城の広場に竜がすでに降りていた。

団長が輪の中心におり、戻ってきた竜騎士達の報告を受けていた。

戻ってきた騎士達は怪我はしていないようで、リズは一安心する。

だが、その中に父とセドリスの姿がなかった。


「竜の世話係はそれぞれ竜の世話に行ってくれ。セドリス達は後処理中だ。数時間後には戻ってくる」

後半はリズに言うように団長が言った。

一安心したリズをマーシャルが背中を叩いた。

「良かったわね。みんな無事みたいで」

「ちょっと安心したわね」


お互い喜んでいると、団長が近づいてきてリズとマーシャルの頭を撫でた。


「かわいいなぁ、喜んでいる姿が。ずっとおじさんとお話ししていようか」


「えっ」


遠い目をして言う団長にリズとマーシャルが驚いていると、それを見ていた戻ってきていた竜騎士の一人が軽く声をかける。


「団長~、現実逃避に癒しを求めてないでこっちも指示をお願いしますよぉ」

「おう。もう少し現実逃避させてくれよなぁ」


どこか寂しそうに見える団長にリズは首をかしげる。

「何かあったんですか?」

「うーん、ま。後処理がなぁ・・。セドリスが帰ってきたら聞けばいい」

「はい・・」


リズとマーシャルは頷いてほかの竜のお世話係のお手伝いへと向かった。

まだ、戻らないセドリス達が心配だが無事だという団長達の言葉を信じよう。


空はまだ暗い。

夜明けまでまだ時間がありそうだ。

リズは空を見上げてみんなの無事を祈った。



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